おまけ
【登場人物】
私(主人公) 一人称:私
二人称:お前
貴族出身。許嫁がいたが、亡くなっている。それ以来、信仰心を失っている。和歌の才がなく、出世が厳しそうだったため、戦に出ることとなった。
友 一人称:俺
二人称:あんた
田舎出身。大家族の次男。結婚済み。楽観的で、悲観的になりやすい主人公の良き友。
許嫁
才女であったが、体が弱く、若くして亡くなった。
【挿入歌】
ぬばたまの闇夜を照らす朧月雲隠れども巡りあひなむ
意味:
射干玉のように黒い闇夜を照らす朧月(暗かった世界を照らしてくれた淡い光=君)は雲に隠れてしまっても(死んでしまっても)きっと顔を出すだろう(必ず会おう)。
白妙の袖が乾かぬ友あれば ながめながるる干る間はなし
意味:泣いている友がいるので、長雨(物思いに沈んで)が流れて(涙が)乾くことはない。
※下の句は、「長雨流るる干る間はなし」と「眺め泣かるる干る間はなし」と読み分ける。
〈注釈〉
ぬばたま(射干玉)の:
枕詞。この場合は闇を導き出している。
白妙の:
枕詞。この場合は袖を導き出している。
枕詞:
意味がない言葉。特定の語を導く。
袖が乾かぬ:
「袖が濡れる」は泣くという意味。乾かない=濡れたままだから、泣いているということ。
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