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銀杏の山15
本日1話目
「私のモデルになった人の話だがね・・・。」
ギンコさんは昔話(?)を語り始めた。
「甘い!」
女性がゴム弾で青年の眉間を撃った。
「いや、見つけて仕留めろなんて無理ですよ。」
「そうかい。それじゃ、見えるならば撃てるんだね?」
そう言うと女性は青年の目の前に現れた。
「・・・。」
しかし、青年は女性を撃つ事をしなかった。
「はぁ、やっぱり、アンタ、人は撃てないみたいだね。的に当てるのは上手なのに。・・・それなら兎を1羽でもいいから仕留めてみな。」
「・・・。」
青年は黙っている。
「アンタね・・・。熊が相手でも撃たないつもりかい?」
「・・・。」
青年は無言のままだった。
「・・・アンタ、やっぱり傭兵は向いてないよ。」
女性は心底呆れ返った。




