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銀杏の山4
何でだよ!?
「何でって・・・。アンタ自覚ないみたいだね。試しにコレで鹿を仕留めてみな。仕留めたら考えてあげるよ。」
女性は持っていた銃をコチラに投げた。
「鹿?そんな簡単でいいのか?」
「・・・坊や、自然を舐めちゃあ、いかんよ。」
鹿が湖で水を飲んでいる。
隙だらけだ。今なら確実に当てられる。
・・・何でだよ、何で引き金を引けないんだ?
そうこうしている内に鹿は視界から消えていた。
そして、いつの間にか、自分の目の前にいて角で突かれた。
角に突かれて身体が宙に舞った。
そしてそのまま地面に叩きつけられた。
「・・・アンタ、命を奪った事無いだろ?」
・・・そうだよ。傭兵だけど、人を殺めないように格闘術で無力化してたんだよ。
「・・・アンタ、傭兵は向いてないよ。」
女性は呆れつつそう言い放った。




