聖国マイナスワン
「ようこそマイナスワンへ。」
町に入ると女性が話しかけてきた。
「ここへは何をしにきたの?」
武器と防具を見に来ました。
「武器と防具のお店はそこ道を突き当たりまで行って右に曲がると行けるわ。」
ありがとうございます。
「ようこそマイナスワンへ。」
あれ?お礼を言ったら最初の台詞と同じだ?
『ある程度は会話が成立するっスけど、思考するプログラムが足りてないみたいっスね。』
OKABOOさん達は会話が成り立っていたよね?
『あのAI達は特殊っスね。そこら辺の町人NPCとは違うっス。そもそも、成り立ちが違って・・・、御主人、店に着いたっスよ。』
「いらっしゃい、何を買うかね?」
お店に入るとお爺さんがカウンターにいた。
『部屋の中で被り物はダメっスよ。』
クロちゃんはカウンターに乗りそのまま店主さんの被り物を外した。
そして外した物を店主の前に出しこう言った。
『コレを売りたいっス。』
「それを売るとはトンデモナイ。」
ちょっと、クロちゃん!?何してんの!!
『ね。現実でそんなことをしたら店主が激怒して大変な事になるっスよ。』
そう言いながらお爺さんの頭に被り物を被せていた。
「見ましたよ?我が分身、NPCで遊ぶのはやめなさい。・・・はぁ、まだ改善点多いいな・・・。」
女神様の声がお店の中に響いた。
『御主人にAIがどれだけ賢いのかを見せてただけっスよ。』
クロちゃん、AI相手でもさっきのみたいなのはダメ!
解った?
『・・・ゴメンっス。』
「はぁ、残業だよな・・・。宿題もやらなきゃいけないし、試験も近いし・・・。」
女神様の独り言が聞こえた。
「おーい、マイク切り忘れてるぞ?」
イルドさんの声がした。
「え!?・・・うそ!?」
「ナラ、今のは聞かなかった事にしてくれ。」
あ、はい・・・。




