セントの塔10階層イレギュラー1
「く・・まぁ・・・。」
巨大な根の下敷きになったポラリスちゃんは今にも力尽きそうだ。
「ナラ、ポラリスを早く石に戻すんや!」
石に戻す?
「指輪をポラリスに向ければ戻る!急がんと、奴らが来る!」
奴ら?
『御主人、急ぐっス!』
急いでポラリスちゃんの方に指輪を向けて、石に戻した。
「回収できたんやな?ナラ、攻撃に当たったらアカン!」
え?
「向こうを見ればわかる。」
クワガタやカブトムシと言った虫のモンスターと働き熊が戦い始めていた。
働き熊は虫型のモンスターに倒された。
その直後、働き熊が黒く塗りつぶされていき、ドロドロに溶けた。
そして、働き熊が居た場所から、巨大な蟷螂が出現した。
何あれ・・・。
「・・・ミライが言うてたんやけどバグや。」
バグ?
「このゲーム虫型の魔物はおらんらしいんや。女神様が嫌いらしくてな。・・・囲まれたか。」
私達は気がついたら虫型のモンスターに囲まれていた。
「・・・ナラ、ウチが囮になる。」
ダメです!相手はバグなんでしょ?
「ミライか女神様呼んでくればどうにか対処できる。ウチより速いステータスのナラの方が良いやろ?」
え、でも・・・。
虫型のモンスターは私達に襲い掛かってきた。
その瞬間、足元から煙が上がった。
煙に触れた虫型のモンスターはひっくり返って絶命していた。
『キモいっスよ。』
「はぁ、好きじゃないから実装しなかったんだよ・・・。後でプレイヤーの皆さんには補填、会社として原因究明と再発防止しないと・・・。」
誰かが助けに来てくれたようだ。
「コホン、無事ですか?」
『何とか間に合ったっス。』
女神様とクロちゃんが、私達の前に立っていた。