セントの塔10階層2
背中から私を降ろしたポラリスちゃんは養蜂熊の方へ行き話しかけていた。
「クマァ!!」
「グルルゥ・・・。」
「くまくまぁ!」
『何か交渉してるみたいっスね。あ、戻ってきたっス。』
「クマァ!」
交渉は上手くいかなかったのかな?
それならそれで倒すだけなんだけど、ポラリスちゃん、準備はできてる?
「くまぁ・・・。」
ポラリスちゃんは首を横に振った。
え?何?どうしたの?
「くまあぁ!」
ポラリスちゃんは必死に何かを訴えている。
『1人で戦いたいみたいっスよ?』
「くまぁ!」
クロちゃんの声はポラリスちゃんにも聞こえているみたいで首を縦に振っていた。
「ぐぉぉぉ!」
養蜂熊が雄叫びを上げると働き熊が数匹出てきた。
「グルル・・・。」
養蜂熊が働き熊に何かの指示をすると、働き熊達は地面に線をひき始めた。
これは一体・・・?
『養蜂熊の決闘方法みたいっスね。』
決闘?
『モンスター図鑑に書いてあるっス。最初に決めた円の中で1対1で戦う。円の外に出たり、絶命した場合敗北となり生き残った勝者はランクが上がる。』
へぇー、そうなんだ。
『召喚獣であるポラリスはトドメを刺す事ができないっスから円の外に出たら御主人がトドメを刺すっス。』
そんな美味しいところだけ貰っても良いのかな?
「くまぁ・・・。」
ポラリスちゃんは良い表情をしなかった。
それなら今回は終わりまでこの子に任せてみようと思う。
『そうっスか。御主人が決めた事なら口は挟まないっスけど、友達が待ってる事だけは忘れたらダメっスよ?』
うん、大丈夫だよ。
ポラリスちゃん、頑張ってね。
「クマァ!!」