セントの塔・1階層1
塔の扉を開け中に入ると、そこには草原が広がっていた。
辺りを見渡すと魔物は湧いていないようだ。
ネームドさんに貰った地図には色々書き込まれており、5階層毎にボスがいるとのこと。
(例外もあるとの噂も書いてあった。)
また、一度踏破した階層は飛ばすシステムもあると書かれていた。
地図を頼りに二階層まで進もうと歩き出すと、愛くるしいリスの団体さんが目の前に現れた。
この時、私は自身のステータスの事を、すっかり忘れていた。
そして、ここがダンジョンであると言う事にも。
リスを撫でようと近づくとリスの表情は恐ろしいものに変わり私に噛みついて来た。
噛みつかれた後、一度目の前が暗転し、明るくなるとギルドのある街の教会に佇んでいた。
「やっぱり、ここか。」
教会にメディさんが入ってきた。
「リスに自分、やられたんやろ?」
メディさんに言われて頷いた。
「あのリスはマロンラットいうてな、歴とした魔物や。あの愛くるしい見た目のせいで、主に女性プレイヤーが餌食になるんや。」
それじゃあ、メディさんやミライも?
「ウチもやられたなぁ。ミライは・・・」
メディさんは複雑な表情になっている。
「半日リス狩りしとった・・・。」
えー!?
「調査やな、はぐれマロンラットの出現率とレアドロップや。」
はぐれモンスターは解るけどレアドロップ?
「はぐれマロンラットの通常ドロップは普通の栗を落とすんやけど、レアドロップは運気の栗と呼ばれる希少品や。」
運気の栗?
「運のステータスを上げられる有難い栗やな。このゲーム、運特化型でも中々レベルアップボーナスでも上がらんし。」
へえーそうなんですか。
「話が逸れてしもうたな。もう一度、塔に行くならコレ持ってきや。」
メディさんは、そう言って盾と剣を差し出した。
「ウチが始めた頃に買うたやつや。装備せんと意味あらへんで。」
ありがとうございます。
お礼を言ってワープを使い塔に行き、リスに近いたら、また教会に戻ってきていた。
・・・装備し忘れた
「・・・初心者あるあるやな。」