ギルドマスターと女神と猫
「それは私が説明するよ。」
ギルドマスターの執務室の隠し扉から女神が現れた。
『お、創造神様の登場っスね。』
「次回イベントの執筆とプログラムは終わったのか?」
「終わったよ。今は、ミト爺の要望と睨めっこ中。」
「そう。それなら後日、会議の方にお願い。それで色々聞きたいんだけど、まずは・・・。」
「はぐれ妖精猫の召喚石の事だね。データは、あるよ。本来は私専用にするつもりだったんだけど・・・。」
『少なくともアンタら運営に従う気は無いっスよ。アタシはアタシの意志で動くって決めてるっス。』
「ね?我が強すぎて、私には従わないでしょ?」
「一体、誰の人格データを基にしたのさ?」
「『だーれかな、だーれかな』」
イルドには目の前の1柱と1匹を交互に見て大きなため息をついた。
「・・・成る程、そりゃ、無理だな。」
『ギルドマスター、アタシが言うのも何だけど・・・アンタの苦労が解る気がするっス。』
イルドはイラッとしたので黒猫を軽く睨んだ。
「・・・アホ女神、この黒猫がギルド内で出てこれる理由は何だ?黒猫、お前も心当たりがあるか?」
「『多分、バグ』」
1匹と1柱はハモリながら答えた。
「バグなら修正しないと・・・。」
「言いたい事は解るよ?今は様子見。この子に使われてるプログラムが多くてね・・・。この子だけに時間は割けない。」
「けど、今後深刻な事にならないとは・・・。」
『堅い事ばかり言ってると恋人出来ないっスよ?』
「黒猫ちゃん・・・イルドに、それダメ・・・。」
「誰のせいだと思ってるんだ!」
「何で私!」
女神様の悲鳴が聞こえたのでギルドの職員数名がギルドマスター室に駆けつけたが、職員達が見たのは、イルドにお尻を叩かれている女神様だった。