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追放

「お前は仲間を奴隷にするかもしれない!追放だよぉ!」

そうして俺は追放された。


何故こうなったか。

まぁテンプレ通り、学校の教室で授業を受けていたとき、急に魔法陣が現れて気づいたら王城みたいなところにいた。

そして王様らしき人が言った。

「ようこそ!異世界の勇者たちよ!どうか、どうか!8大魔王を倒してくれ!!」

8大魔王!?8人もいるのかよ!魔王!

まぁクラスも僕も突然のことで驚いている。

皆は仲の良い友達と騒いでいる。

まぁよくいるオタクの男子達が特にギャーギャーキタコレキタコレ言っている。

「皆!一先ずこの人たちの話を聞こう!」

良く居るテンプレなセリフを言うのはテンプレ通りにクラス委員長、武田直人たけだなおと

眼鏡の真面目キャラ、生徒会長だ。

「ええ、こういうときこそ落ち着きましょう。」

学校一の美人の副委員長、宮咲香里みやさきかおり

クラスの中心の二人により沈静化したところで王様が口を開く。

因みに担任のうらちゃん先生こと、浦道酉子うらみちとりこはアワアワと何もできずにいた。

「急な召喚をすまなかった。私はオリヴァルト王国の王、アリニック・オリヴァルトだ。我らは8大魔王の軍勢に力及ばずかつて過ごしていた八割の土地を奪われ我らは縮こまりながら生きることしかできなかった。だから異世界の勇者たちを召喚することにした。それがそなた達だ。どうか、どうか!我ら人間を助けてはくれまいか!!」

「なっ!人間がそこまで追い詰められているのか!なら良いでしょう!我等が勇者ならば!魔王達を倒すすべが有るということなのでしょう。ならば全力で力となりましょう!」

「なんと!ありがたい!確かに、伝承では勇者達は強いスキルを得ると聞く。」

「では!」

「直人君!?」

そこでストップがかかった。

アワアワと何もできずにいたうらちゃん先生だ。

「駄目ですよ!貴方達は生徒です!私は教師として、危険なことをさせるわけにはいきません!ゲームではないのですよ!」

「ですが!この世界の人間は!死に瀕しています!なら、戦うべきです!」

「そうです。私達には力がある。何かわからないけれど、力が満ち溢れているの。この力で人々を助けたい!」

「皆さん…。」

委員長と副委員長に押される形で先生は撃沈。

僕は個人的には戦いたくないけれど皆に流されるしかないよなぁ…


皆の意識が揃ったのでステータスの確認をすることになった。

この世界ではステータスと念じることで自分のステータスを見ることができるらしい。

それが僕たちにも適応されているはずとのことでやってみた。

僕のステータスはこうだった。


ステータス

輪霧燐

レベル1

スキル『契約』『○〆¥$→・*』

体力10

力10

防御10

素早さ10

知力10

魔力10

運10


カスだった。

オール10ってなんだよ。

文字化けしてるのは何だよ。

やっぱり僕は何処でも駄目駄目なのかな。

両親は凄い。

すごいだなんて言い切れないくらいに凄い。

父親は政治家で総理大臣。

それも今年で16年連続でだ。

母親は女優で毎年毎年最優秀賞を子供の時から取り続けている。

学生時代もトップだった両親。

なのに俺は普通普通普通。

平凡だった。

陰口を言われてきたしいじめも受けてきた。

努力しても駄目で才能もなくて。

けれど諦めることなく生きてきた。

不撓不屈の言葉はお前にあると言ってくれる叔父さんにはとても救われたものだ。


それより、契約とは?

何だろうと調べようとしていると皆のスキルを公開していくらしい。

それで僕の番で開示するとやはりわからなかったらしく説明を求めてきた。

前の人が説明されたとおりに見てみるとこう書いてあった。


取引の証明ができる

相手を奴隷などにできる

・基本相手の同意有り

・レベル下なら同意なしでも良い


ここまで話すとオタクの一人、皆川拓人みながわたくとが声を出した。

「じゃあレベルが下の者は奴隷にできるって我らを奴隷にする気ですな?性奴隷や労働奴隷とかにする気ですな!?」

「え?そ、そんなことするわけないじゃないか!」

「どもった!なればする気満々ですな!?皆!燐殿は親の脛をかじるだけでなく我等をこき使う気満々ですぞ!こんな危険な存在と一緒に戦えますかな?俺っちは無理ですな!」

「確かに。輪霧。俺はクラス委員長として、皆を纏める者として危険分子をここにおいておくわけにはいかない。帰るときは呼ぶ。だからここからでてひっそりと生きていてはくれないか?但し奴隷を無理矢理作るのであればその限りではないが。」

何なんだよ。

ステータスも低い。

スキルも最低。

皆から危険分子として蔑まれる。

「わかったよ…僕は出ていくから。」

「うむ…そうか。勇者達の総意は最もでもある。生きるためにお金を貴殿に差し上げよう。達者でな。」

王も名残惜しいように言いながら止めるわけでもなく、最低限のお金だけ。

「というわけですな!最低でもこの街からは出ていくのですな!というわけで燐殿!お前は仲間を奴隷にするかもしれない!追放だよぉ!」

煩い。

分かったよ。

そんなに僕が嫌なんだろ?

いつも一人でクラスの片隅にいて。

みんなは優秀で。

僕だけが取り残されて。

本当になんで僕がこうなるんだ。

両親が偉いからって表向き媚びへつらって。

そして大人の目のないところで静かにいじめを受ける。

お金を受け取り軽く説明されて僕はこの城、城下町を出た。

未知なる世界に一人、取り残された。


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