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異世界転生、勇者でも魔王でもなく自分。  作者: 青いバック
一章:旅の準備
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第八話:問題解決―天森視点

天森視点です。


四月二十三日


大幅改稿しました。

  僕は天森。


 昨日天狗の里から空を飛んで帰っていたら翔という少年がドラゴンと見間違えて僕を追いかけて来ていた。


 森に降りると翔は周りをキョロキョロと見渡しており何かを落としたのかな?とその時は思っていたが、探していたのはドラゴンという名の僕だった。


 空を飛んでいた事を、疑問に思っていたので風の妖術の応用で飛んでいると言った瞬間目の色を変えた。


 目の色を変えた翔は「僕の師匠になってくれませんか?」と僕にお願いをしてきたのだ。


 会って間もないのに師匠にしてくれと突飛なお願いをしてきたので僕は驚いたがそのお願いを僕は受け入れる事にした。


 昨日、ここに来るようにと翔に伝えておいたからそろそろ来るはずだろう。


 しかし、ここは椅子がないな。 しょうがない木を切って切り株を椅子にしよう。


 これぐらいのデカさならいいだろう。 僕は風刃を使い木を切り倒す。


 切り倒した木はこの後僕の家の暖炉に薪として使おう。


 椅子を作って十分ぐらいしたら翔がやって来た。


 翔は僕が座っている切り株を見るなり


「あの、師匠そんな切り株昨日ありましたけ?」


 と切り株を指さし不思議そうに言う。


「ん、いいや無いよ。 僕が今朝作ったばっかりだからね」


 自分が作ったと翔は一瞬呆れたような顔をしたが直ぐいつもの顔になった。


 僕は翔の師匠なので翔に何が習いたいかと聞くと無言霊のコツについて教えてくれと言い出した。


 さらに翔は四歳ともきた。 なんていう逸材がこの世に生まれてしまったんだ。


 一応無言霊は出来ると言っていたが一応でも無言霊を使えるなら、冒険者になった時最高ランクにはいけるだろう。


 僕はそこから無言霊のやり方や風刃の斜め出しの事などを教え残りの時間は自主トレにする事にした。


 翔を見ていると昔僕にしつこく弟子入りをせがんできた少年がいたな。


あの子が僕の初めての弟子だった。


なのに僕は……。


――――――――――――――――――――――――――

 

 いつもの自主練を終えた僕は家に帰っていたら一人の少年が声をかけてきた。


「天森様!」

 

 天森様? 誰それ? 僕は周りは見渡すが僕以外誰もいなかった。


「僕のこと?」


「当たり前ですよ! 天森様以外誰がいるんですか!」


「えっと……その天森様っていうのはなんだい?」


「あぁ、これは僕が愛する天森様への敬愛の証です」


「そ、そうか。 でもなんで僕なんだい?」


「そんなの決まってますよ! あの美しい技のキレ! よく自主練してくる所を見てるので分かりますよ!」


「よく到る方向から視線を感じるなと思ったら君だったのか……」


「あっ! それ僕ですね!」


「えっと申し訳ないが、僕は君を弟子にすることは出来ない。 ごめんね」


「えぇぇえ! でも僕は諦めませんよ! 弟子にしてくれるまで諦めませんからね〜!」


 少年はそう言い残しどこかへ走り去ってしまった。


 台風のような子だったな。


 それから少年と僕の攻防の毎日が続いた。


「天森様〜! お疲れ様でーす!」


「少年! 何度も言ってるが僕は君を弟子に取らないぞ」


「今日もダメだったか! また明日ですね! じゃあ、体にお気を付けて〜!」


 少年は連日休み無しで僕の自主練終わりに毎回来た。


 僕も根気負けし、少年が次来たら弟子にするかと思っていた。


 しかし、ここは少年は来なかった。 次の日もその翌日も来なかった。 休み無しで毎日来ていたのに。


 そして少年が来なくなって三日が過ぎた時友人から


「なぁ、聞いたか? 隣の集落が魔物の大群に襲われてちょうど戦える大人達は出払っていて、一人の少年が最後まで集落の人を逃がしていたっていう話」

 

 一人の少年……? 嫌な予感がする。


 僕は慌てて家を出る。


「お、おい! どうしたんだよ!」


 友人が家の中から叫ぶがそんなのに構ってる暇はない。


 全速力で隣の集落へと向かう。


 お願いだから生きていてくれよ。 少年。


 そんな僕の願いは隣の集落に着いた時に粉々に打ち砕かれた。


 少年は死んでしまっていた……。 もう火葬は終わったらしく家族の元を尋ねる。


 少年の家を聞き込みをして尋ねる。


 扉をノックすると目が真っ赤に腫れ顔が窶れ覚束無い足取りで少年の弟らしき人物が出てきた。


「こんにちわ」


「こんにちわ。 すみませんが貴方は?」


「僕は天森って言います。君は?」


「僕は、華佗(かたあ)。貴方が天森様ですね、よく兄が話してました。 天森様は凄いんだぞ!って母にも父にも姉にも……」


 華佗は泣き出した。 この様子だと両親も亡くなってしまっているのだろう。1人取り残されたのか……。


「そうなのか……」


「あのお兄ちゃんとはどういう関係で?」


「あの子とは師弟関係だよ」


「そうなんですか。 兄もその一言だけで浮かばれますよ。 すみませんがこれからやるべき事が多いのでまた今度ゆっくり話しましょう」


「分かった。 じゃあね華佗。 そしてすまなかった」


 僕は華佗の家を後にし、深い後悔の海に溺れていた。


 もっと早くあの子を弟子にしていれば死なないで済んだかもしれない。 あの子もあの子の両親も……。 僕が殺したみたいなものだ。


 僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が僕が。


 ――――――――――――――――――――――――――


 翔が自主トレが終わっと報告しにに来ていた。


 いけない。 ちゃんとしなければ。


「あ…あぁ、すまない。 朝早く起きすぎたみたいで寝てたみたいだ」


「もう、何してるんですか」


 翔は呆れたように言う。


「明日からはちゃんと寝て来るよ」


「明日からはちゃんと寝てから来てくださいね」


 翔は最後にそう言い残し山を下りって行った。


 僕があの子を殺したんだ……。

ではまた。

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