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神様たちの冒険  作者: くずす
3章 Dランク冒険者、勇者の師匠となる
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裸の付き合い・裏

 僕たちがお風呂で男子な会話をしていた頃、ノアさんとソニアさんも同じようにお風呂でガールズトークを展開させていた。

 ただ、親友同士の二人であるから僕たちの会話よりも遠慮がない。


「やっぱり広いお風呂はいいわね~」


 浴槽のへりに腰かけたソニアさんは、メリハリのきいた裸体を惜しげもなく晒している。


「……イヤミか、コンニャロウ……」


 そんなソニアさんを前にして、ノアさんは口元まで湯に浸かる感じでボソリと漏らした。


「ん?イヤミって何よ?私は広いお風呂がいいって言っただけで―――」

「私にそんな大きいのを見せつけるようにしている時点で十分イヤミなのよ」

「ああ、そういう事ね」


 それを耳にしたソニアさんは、最初こそ意味が解らなかったものの、すぐにその意味に気づく。

 まあ、話そのものは難しくない。


「なんかちょっと会わない間に、病気が酷くなってない?」

「病気とか言わないでっ!」


 ノアさんは小柄な上に童顔で、ニーズやナコちゃんと比べても遜色がないほど完璧な幼児体型であった。

 そして、そんな自分の体型を気にするあまり、胸の大きな女性を敵視していたりもする。

 重度のコンプレックスによる妬み・恨みというだけで、だから何かをするというものでもないのだが……


「み、皆が無駄に大きいだけだもん……」

「皆?皆って……ああ、新しく入ったコたちね。でも、サクヤちゃんはともかく、リサちゃんやミントちゃんはそこまで大きいって感じじゃなかったような―――」

「そうだけど、そうじゃないの。着やせするとか都市伝説のはずなのに、あの二人もあるの。ないのは私だけなの……」


 闇落ち寸前のなんの感情もうつしていない虚ろな瞳で、ノアさんが事実のみを告げる。

 モデル体型のサクヤほど大きくはないが、リサもミントも平均以上の大きさはあったのだ。

 そして、その事実がノアさんに更に過酷な現実をつきつける。


「ミントちゃんなんて、私とかわらないぐらいなのに……」


 身長だけでいえば、ミントとノアさんはたいして違いはない。

 だからこそ、余計にその差が浮き彫りとなる。


「毎日毎日そんな過酷な現実を突きつけられているんだよ。それはおかしくもなるよ。今はお姉ちゃんもいないし」

「ナチュラルにナナエさんまでディスったわね。ナナエさんだって、スレンダーなだけで、ノアよりはあると思うけど?」

「お、お姉ちゃんは私より年上だし……私もお姉ちゃんぐらいになれば、あれぐらいにはなるんじゃないかという僅かな希望が―――」

「いや、流石にこの年でそんな大きく成長したりはしないと思うけど?」

「現実を突きつけるのはヤメテっ!」

「ああ。だからこそ、なのね。自分より年下の女のコが遥かに成長しているのを目の当たりにして、いつも以上に凹んでいるんだ」

「そうだけど、そんな冷静に分析しないでよ……」


 ソニアさんの指摘にますます肩を落とすノアさん。

 しかし、ソニアさんの分析はそこで終わらない。


(よくよく考えたら、この数ヶ月の間にノアの周りも大きく変わったわけだしね。クランの危機を乗り越えたり、ナナエさんに恋人が出来たりした結果、ノアにも少し余裕ができたのかも)


 だから―――


「というか、ノアには見せるような相手もいないんだし、気にするだけ無駄じゃない?」

「なぁっ!?た、確かにそうだけど!そういう相手はいないけどっ!私にだって、いつかは―――」

「いつか、ねぇ。来るといいわね。その、いつか」

「むぅうっ!わ、私だってその気になれば、恋人の1人や2人くらい簡単に作れますぅ~!い、いちおう、私にだってカワイイって言ってくれる人だっているし―――」

「え、だめよ、ノア。その人はやめた方がいいわ。間違いなくロリコンだから」

「うわああんっ!自分がちょっとおっぱいが大きいからって調子に乗ってぇ!ソニアちゃんだって、今までずっと彼氏なんていたことないクセに~!」


 からかい半分の挑発で、ノアさんを焚きつけるソニアさん。


「いや、私はこの街に来る前に彼氏がいたからね。それにこっちに来てから彼氏を作らなかったのは、いろいろと面倒だったからよ。言い寄ってくる男はいたけど、付き合いたいって思うような相手がいなかったってだけで」

「うぐっ……」

「まあ、それはノアも同じなのかもしれないけどね。でも、ノアは恋愛に夢を見すぎっていうか、理想が高すぎるっていうか。もう少し現実を見ないといつまでたっても男なんてできないと思うわよ」

「ベ、別にそんなことはないと思うけど……」


 親友だけあって、ソニアさんはノアさんの事をよくわかっていた。

 ノアさんは自分の苦手な分野になると弱気になる傾向があり、恋愛関連もそのひとつ。しかし、意外と負けず嫌いなところもあるので、今回のように挑発されたりすると、わりとあっさり話に乗ってしまう。

 良くも悪くも裏表のない人なのだ。

 だからこそ、ソニアさんもいろいろ心配であったわけだが―――


「というか、実際、いいなって思う人とかいないの?」

「え?」

「たとえば、ルドナ君とかどうなの?結構、可愛い顔しているし、性格もよさそうじゃない?」

「流石に彼女が三人もいる人はちょっと。あの三人を押しのけていくような自信もないし」

「じゃあ、マブオクさん―――は、ないとしても、後の二人は?」

「メビンスさんたちも悪い人ではないと思うけど、ちょっと年が離れすぎかな?お姉ちゃんとコナンさんでさえ、10歳近く離れているんだよ。私だと15歳近く離れている事になるから、そういう対象と見るのは難しいかな?」

「じゃあ、ウチのカズキは?」

「み、未成年の子供もちょっと……」

「見た目だけならそれほど違和感はないと思うけど―――」

「あのねぇ!私だって、流石にそこまで子供じゃないよ!」

「えっ……?」

「えっ、じゃないっ!流石にそれは馬鹿にしすぎ―――って!やめてっ!その目をやめてっ!そんな真顔で見つめられると―――」

「……そ、そうね。ノアだって、もう少し、ほんの僅かぐらいなら、歳上に見られなくは……ない、かな……?」

「うっ、うううっ……うわ~ん!ど、どうせ、子供だもんっ!子供に負けるくらいの幼児体型だもんっ!こんな私に彼氏なんて出来るわけがないのよぉ~~~っ!」


 ソニアさんが少し踏み込み過ぎた結果、ノアさんはこの日、心に大きな傷を負う事となった。





前の話と分ける必要がなかったような気がします。


しばらくは三日に一度の投稿ペースでいく予定ですが、年末年始を間に挟むので多少ずれるかもしれません。

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