学校
「綾瀬くん!今日の放課後さ」
「潤く〜ん!今日もかっこいいね♡」
「綾瀬先輩!これ受け取って貰えませんか…!!」
な、なんだ…この、女子の群れは…!!
――――――――
「学校一のモテ男」と言われた次の日。
まさかここまで…女子に囲まれるとは。。
だが、こんなことがあっていいのだろうか?
男になれたことだけでも嬉しいというのに、
ルックスの良さや、周りからの好意まで手に入れてしまって…。
「潤!」
この声は…?
まさか、僕は彼奴とも今では仲がいいのか?
「おはよう」
「「「きゃあぁぁ〜〜♡♡♡」」」
…この、今の僕と同じくらい女子に騒がれているのが、
瀬戸 悠真。
僕が…3年前から、ずっと想い続けてきた相手だ。
僕は、自分の心が男だとしても、恋愛対象は同性の、男だった。
でもそれは、まぁ都合が良かった。
僕達くらいの年齢の女子は、恋愛話が絶えない。
その時に、素直に好きな人として名指し出来るのが楽だった。
いちいち、嘘をつかずにすんだから。
だけど、僕が女だった頃は、瀬戸とはなんの接点もなかった。
席は遠く、委員会も違う。
常に(積極的な)女子に囲まれている瀬戸に近付くなんて、出来るわけもなかった。
だけど、男になった今。今は…
学校の美男子TOP2として、仲の良い親友なのだ。
こんなに幸せが続いては、後が心配になるな。
「ごめんね皆、今日の放課後は潤と2人で出掛けるんだ。な?」
「う、うん」
いや、浮かれている場合でも無いんだ。
ちゃんと、確かめなくては。
今ここでの、周りや瀬戸との関係。僕の在り方を。