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残暑
彼は、急いでもしょうがないとは思いながらも、
早く真実が知りたいという思いから、着替える手が早くなっていた。
だが、服に腕を通した時に分かったが、
元の自分の服では小さすぎる。
身長も高くなり、体型も全く違うのだ、あたりまえだろう。
ズボンなんかは特にそうだ。
仕方がない。
彼はこっそり、父親の部屋の服とズボンを手に取り、
それに着替えた。
少し小さいが、まぁいいだろう。
彼は、せっかく外に出るのだから、男物の服や小物を買っておこうと思い、
サイフにあるだけのお金を詰めて、家を出た。
外は、9月とは言えないほどの、気持ちの悪い暑さだった。
まだまだ夏は残り続けるような、そんな感じがした。
どこへ行けば知り合いに会うのかなど全く分からないが、とりあえず歩くことにした。
いつもなら、会わないようにと避けているばかりなのだ。
いや、逆にいつも避けている場所を行けば会うかもしれない。
そう考えながらダラダラと、夏が残る道を歩き出した。
次話から、第三者sideではなく、『主人公(彼)side』となります。