3/6
認識
―――午前10時頃。
彼は、もう一度目を覚ました。
やはり自分の体は男になっていた。
夢では無かったのだ。
そこで彼は、母親の元へ向かった。
驚かれるのだろうか。それとも……
「母さん」
「ん?おはよう」
驚いている様子は…無さそうだ。
何故…?
元々自分は女でいたのに…何故この体に驚かないのだろうか。
まさか、母親の中では、彼は元々男であったことになっているのか…?
そんなことが自分の身に起きている…とは、やはり全く信じられない。
彼は、外に出てみようと思った。
もしかしたら、街の雰囲気が微妙に違うかもしれない。
それに、もしクラスメートと外で出くわしたら。
どんな反応なのだろうか。
母親と同じように、元々自分は男だと認識されているのだろうか。
彼には確かめたいことが沢山あった。
それには、まず外に出るしか無さそうだ。