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都市ノ侍  作者: 鍔芹藍
序章…ロクとシーザー
3/5

第2…[裁ち鋏]其の二

第2…どうぞ〜!

ロクは缶ビールを冷蔵庫から持ってきて、禅太郎に近付く。ピッチャー大きく振りかぶって…投げた!豪速球が空を切り、風を巻き起こし…ストライク‼︎禅太郎の顔面ど真ん中に、缶がめり込んだ。

缶が落ちると同時に、171センチの身体は足下を軸に倒れる。頭が倒れた先は、夢の足元。夢は真上から禅太郎を見下ろし、いや見下して微笑む。そして、禅太郎は闇に包まれた。

ロク目線から解説。夢が禅太郎の顔を踏みつけた。


なんでこんな惨劇に遭っているのかと言うと、大した理由はない。それ相応の、致し方ない理由がある。

1分前、禅太郎は右手で夢の、左手でロクの胸を鷲掴みにして言い放ったのだ。「ぶり返してきたから抜いてくれ。」そして物語は冒頭へ…。


なぜこんなことを、平気で平然と自然に言ったのかといえば、やはり疲れていたのだ。始まりは今月の初め、つまり五月二日のこと。朝日の気持ちいい午前7時、東は電話をかけた。


「あの、もしもし…東と申します。東京アズマケイ東京トウキョウと書いて東京アズマケイです。失礼ですが、都市侍シティーザムライさんでよろしいですか?」


「ハイハイよろしいよろしい。なんだいね?東京トウキョウさんとやら。」


電話口に出たのは、10歳そこらの幼女だった。その向こうで、大人の男の声がした。


「あ!何をするのだいね!」


しばらく争うような音がした。


「ウルセェ‼︎接客は俺か夢の担当だ!冷蔵庫のコーラ飲んでいいから、あっち言ったろ‼︎…はいお電話変わりました、どちらさんでしょうか?」


わたくし、東と」


「あ、いえ!ロクのやつがスピーカーホンで出たので聴いてました。こちら都市侍シティーザムライです。妖怪、幽霊、呪いやその他、あらゆる怪異に対応しております。依頼は会って聞くので、取り敢えずいつどこで会うか決めるのと、どうして手前どもを知ったかを教えて下さい。」


「知り合いに以前お世話になった方がいて…庇算ヒサシカゾエって言うんですが…」


「あぁ、鬼兜オニカブトの…」


「鬼?」


「いえ、なんでも…では日時と場所を指定してください。」


「午後五時半に黄木浜市役所の前の、[エイリーナ]と言うカフェでお願いします。」


「わかりました。それでは」


「あの!」


「はい?」


「それが怪異だとか、妖怪だとか幽霊だとか呪いだとか…何の確たる証拠もないんですが…大丈夫でしょうか?」


「それを調べることから、手前どもの仕事となります。勿論、話を聞いて違うと判断した場合は、料金は頂きません。その辺の打ち合わせも、会ったからいたしますのでご安心下さい。」


「ありがとうございます。それではまた後ほど。」


「はい。後ほど、カフェ[エイリーナ]に17時ですね?」


「はい。ありがとうございます。」


「それでは。」


こうした何気ない、いつもの仕事の依頼だったのに。それがどうしてこんな偶然、悪意すら感じる偶然になったのだろう。


禅太郎は起き上がると、缶を拾った。プシッと気持ちの良い音。缶ビールを飲み干した

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