さよなら日常④ 『変化を求めたのは』
「それではで、本題に移りましょう。あなたが何故ここにいるかでしたっけ?その答えは簡単です。私に連れてこられてたからですよ」
「・・・・・・・・・」
つっこむだけ無駄だろこれは。
「冗談ですよ、私は先程名前自体は決まってないと言いましたがあることにはあるのですよ。世界構築、ワールドクリエイトと呼ばれる魔術を使えることによって、人間じゃなくなった人間です。その頃には名前がありましたが忘れてしまいました。私は自分の作り上げた世界が嫌になりまして、ざまざまな世界を移ってはそこで過ごしまた移るを繰り返していたんですよ。でも大きな魔術を使うには条件がありましてその条件が空気中に存在する因子、俗に言う魔力の数、及びその濃度が一定に達しないといけません」
すまん、何言ってるか全くわかんない。けどどうせそれを説明されてもわかんないだろうし、黙っておこう
「あなたの世界でその濃度が急激に下がる事態が発生しまして、私はそれに巻き込まれてしまい、あなたの世界から出られなくなったのですよ」
「そこで俺との契約ってわけか」
よし決まった。話は分からなくてもここだけは分かった。
「まー正解ですね。契約はその人間と魔力量を共有します。まー殆どの場合術を展開するには足りなすぎる魔力量しかないんですけどね」
「てことは俺には魔力の才能があるってことか」
「そうではありません大きな魔術を使う際に使う魔力の量は決まっています。使う際に魔力量を使い切らないように空気中にある魔力を使うのですが、魔力は集められませんのでそこにある分しか使うことができません。なので共有した魔力を全部吸い取るのですよ。吸い取ることによっていつも以上に体内の魔力の濃度を変えることができます。足りない分はこうやって集めるので正確には、あなたで集まりきったってことですね。ですのであなたはあの世界では少し魔力量が多いだけで、別に最少の魔術に使う魔力量には達していません」
「なんだよ、・・・・・・ってなら俺から必要量取ればそれで良かったんじゃないか?俺がここにいる理由にはならねーぞ」
「それがそうでもないんですよ、あなたとの共有はあなたといることででしか有効になりません。つまりあなたが残って私が違う世界にいくと共有が無くなりあなたから借りていた量の魔力を私が負担しなくてはなりません。まーそれでも魔力が全て無くなることはないとは思いますが。念には念をということです」
「んな理不尽な」
「まー良かったではなんですか、あなたも変わらない日常から脱したかったのでしょ」
俺はアルのこの言葉で初めて気が付いた。そうだこれは俺が待ち望んでた。変わらない日々からの脱出じゃないか。でもなんでこんなにも心が踊らないんだろう。変化が大きいからか。違う。旅の仲間がアルだからか。違う。じゃあ何なんだろう。分からないがどうやら変えたかったのは日常ではないと非日常になってから初めて気が付いた。まーあと三日もすればこの生活にもなれるんだろうとさっきつまらないと思った慣れに頼る事にした。