プロローグ
何となく書いてみました。
更新は月1でできればいい方だと思います。
新人サラリーマン。中年男性。僕と同い年くらいの女性。
「59年、28年、42年。」
よぼよぼのお婆さん。
…4日。
アパートの中、僕は通りすがる人達を見ながら呟いた。
今日も消えていてはくれなかった。
朝焼けの中、雀の声にも耳を傾けず僕は通行人を見ながらポツポツと時間を言い続けていた。
さっきの数字は、彼らの寿命だ。
新人サラリーマンはあと59年と79日、12時間と41分22秒生きるし、働き疲れてそうな中年の男性は28年と52日、4時間と21分13秒生きる。
そして、あのおばあさんはあと4日と6時間21分35秒しか生きれない。
そう。
僕には寿命が見える。
まるでデジタル時計かのように、その人の残り時間が見える。
忘れもしない、去年の今頃だ。
いつも通り眠り、いつも通り目覚めた僕の目には、いつもと違う数字が表示されていた。
最初は何のことか分からなかったが、目の前で車に轢かれた男の数字が0になったのを見て、それが寿命なのだと確信した。
はぁ、と深々ため息をついて僕は少し冷めたトーストを頬張った。
何故僕にこんなものが見えるのかは分からない。
正直うんざりだ。
外に出たって、あらゆる人の頭上に数字が見えるもんだから寿命が短い人を見て悲しい気持ちになることしかない。
外出を嫌うようになるには十分すぎる理由だ。
だけど、僕はこう考えた。
この力を必要としている人がいるのではないか、と。
だが一年経った今でも、そんな人は訪れていないし、この能力も消えてはいない。
だから僕は大学の夏休みを利用して自分から探しに行くことにした。
この旅が終わる時、この力が消えることを願って。
僕は最寄り駅の改札を通った。
読んで頂きありがとうございました。