恋と友情
教室のカーテンがひらひらとなびいている
それを鬱陶しげに払い、教師の言葉を一つ一つ頭に詰め込んでいく
「で、ここの現代語訳を…夏乃」
当てられたのは友人だった
慌てたように、教科書を持ち、どこだどこだと睨んでいる
その様子が可笑しく、思わずふふふと笑みを零した
笑ったことに気づいたのか、夏乃はこちらを睨んできた
「…夏乃、できるか?」
そのことに気づいた教師は、夏乃に質問をした
「あっ、えっと、はい!」
夏乃の後ろの人がどこか教えていた
頬がほんのりと赤く染まっていた
(恋してんのかねぇ…?)
恋というものはよく分からない
やはり、友人が恋してると気になるものだ
(甲高い声を上げて、今目があったー!とかペアになれたんだよー!とか…こう聞くと恋というものは不愉快になってくる)
苛立ってくるのだ…何故なら、いちいち全ての事を報告されてもうんざりするだけだ
(夏乃はそんなことしないけどさ…)
カーテンがまたもや、視界を塞いできた
「うざったいなぁ」
ボソッとそう呟き、カーテンを叩いた
パンっと音を立てて、へこんだカーテンに皆が気づき、注目を浴びることになった
「どうした?カーテン邪魔なら別に開けていいよ」
「はい、そうします」
先生が許可を出したから立って、カーテンをしまう作業を行った
終わり次第、すぐに席に着く
夏乃はもうぐったりしている
(これ、先生に怒られるパターン…どうなるかな?)
後ろのやつが起こすのかな…と考えると、少しイラついた
(…なんでイラついたわけ?)
考えても終わらず、ついにはチャイムが鳴り響いた
授業終了の号令をすれば、夏乃はすぐに私のところに来る
「もう!ひどいよー、笑わなくてもいいじゃんかー!」
漫画ならば、プンプンというSEがつきそうなポーズをして怒る
またもや、私は笑みをこぼした。
…嗚呼、分かった。親友を取られるのが悔しかったのか
ふと、視線を感じた。後ろの奴…夏乃の好きな人が夏乃をじっと見ている
私は夏乃を後ろに隠して、挑発するような笑みをそいつに向けた
(夏乃はまだ、私のだからね)
親友として、付き合って大丈夫か見なくちゃね…なんて
カーテンは紐が解けて、、白く白く透き通って空を美しく彩っていた
*
「えへへ」
夏乃はにやけながら、歩いている
「…夏乃に変なことしてみろ、三枚に捌いてやる」
私はムスッとしながら歩いている、そして親友の隣に立っているこいつを睨んでいる
「そんなムスッとすんなよ、夏乃は俺の大切な彼女だから大丈夫だぞ。つか、怖っ…!?」
少し笑いながら、腕を抱え震える振りをしているこいつを本気で三枚に捌きたくなった
「もー、純華ちゃんはいつも心配しすぎだよー!…えへへー、私幸せ者だなぁ!」
太陽のような笑顔を私たちに見せる
なんでとでもいうかのようにこいつは首を傾げている
その様子を見て、ニッと笑って、言葉を続けた
「ふふふー、大好きな親友と大好きな彼氏に大切に思われてるからー…なんて?」
最後の疑問符は謎だったが、私は嬉しくて口角を痛くなるほどあげてしまった
ふと、隣にいる彼氏君を見れば、私と同じようににやけている
「…もー!二人ともにやけすぎ!」
少し照れたように足早に歩いていく
「あっ、待てよ!」
「ちょ、早い!」
「捕まえれるもんなら捕まえてみろー!」
次の瞬間、走っている夏乃を私たちは走って、交渉をした
「先に捕まえた方が明日夏乃とショッピングね!」
「あ、おい!待てぇ!夏乃は俺の彼女だぞ!」
「早く捕まえてごらーん!」
ふざけて帰る私たちを横目に歩行者たちは、微笑ましげだった
少し恥ずかしくて、でも楽しくて、スピードを上げた
夏乃を捕まえる頃には澄んでいた空も赤く色づく頃だった
…ちなみに二人同時に捕まえたから、明日は三人でショッピングになった
(楽しみだなぁ)
空を見れば、月も一緒に微笑んでいた
そんな青春あればいいのにね




