体育祭準備1
晴れて、紅と付き合うことになった訳だが……紅は照れ屋で、俺が甘やかすたびに腰を抜かしたり、紅の中の甘やかしの限界を超えちまうと……気絶しちまったりして、毎日紅を横抱きしながら移動しているような気がするのは気のせいだろーか?
照れ屋だな、紅は……と前に言ったことがあるんだが、「誰だって貴方に甘やかされれば腰くらい抜けます!」と言われ、紅に盛大にすねられちまったぜ。……甘やかしすぎに気をつけつつ、ご機嫌取りを頑張ったけどな。
それでも、桃原高等学校の自称オカン精神を忘れたりはしてねぇーぜ。
紅と付き合ってる今でも、俺の人気度は相変わらずのトップをキープ。
相変わらずのうちの子達からの“お父さん”呼びも変わってねーし。
紅と付き合ってる以外は、以前とほぼ変わらない生活を続けているんだよな。
「お父さん!嫁さんはどうしたのー?」
「んー? 風紀副委員長の仕事してるぞ。……てか、俺はオカンなんだけど」
「嫁さん出来たのにぃー、まだオカンだって主張するのー、お父さん!」
とそんな会話に、周りのうちの子達も楽しそうに声をあげて笑っていた。
……ちなみに“嫁さん”と呼ばれているのは、紅のことだぜー。
俺はそれ以上何も言わず、片手を上げて無言のまま、うちの子達をあしらう。その仕草を見ると、彼らはもう構ってくれないことを察したのか、「またねー」と言って俺の側から離れていった。
「体育祭準備頑張れ、お父さん!」
「おーおー、頑張るよ。うちの子達の為だもの……って、だから俺はオカンだって何度言えばわかるんだ」
そんな俺の言葉に、キャーお父さんが怒ったぁ!と言って、うちの子達は俺の元から逃げる演技をしながら、自分の教室へと向かっていった。
やれやれ、だぜ。