風紀委員長の秘密
「……お父さん?」
俺を見て、うちの子達は不思議そうな表情を浮かべて……俺を呼ぶ。
そんなうちの子達に対して俺は、
「オカンだっつーの」
と苦笑しながら、俺はそう言った。……俺は“名前”で呼ばれてはいけない、“お父さん”と呼ばれるのは逆に好都合。そう呼ばせるために、俺は“オカン”と言う自称に拘らなければならない。
……紅、君の名前を“声”に出して呼ぶことを俺は許されない。
“山口和樹”その名前は偽名と言えるだろうし、……うちの子達を“風紀委員長”として護ることで、俺の“役目”に繋がる。
この学園に居る時は、《表》だけの俺を知られていればそれで良いのだ。
と考えながらうちの子達の声に答えた後、俺は人通りの少ない廊下へと足音を立てずに、俺は足を向けていた。
「山口、やっと気づいたのか。……自分の抱いている気持ちの正体に。相変わらず疎いな……そう言う話題は」
と急に現れた声に、俺は驚きもせずに声が聴こえる方へと振り返り、その人物の言葉に答えるようにこう声を出す。
「それをアンタに言われたかねぇーよ、……“おじいちゃん”センセー」
「そりゃそうか、……“元祖”には言われたかないよな、“遺伝”だしな」
と会話をし、俺はおじいちゃんセンセーとすれ違うように歩き出した。
茶化された訳だが、さて紅を探しにいかないといけねぇーな。……俺の想いを伝えなければならないから。