俺と紅1
「大丈夫です!熱なんてありませんから、保健室に行かなくても平気です!」
とそう言って、紅は保健室に行くことに抵抗してくる。そんな紅を見て、俺は珍しーなと思いつつ、うちの子に何かあると心配だから、横抱きをしていた紅を床におろした後、俺は紅と目が合うくらいまでしゃがみ込み、珍しく我儘を言う彼にこう妥協案を俺は出すことにした。
「じゃあー、保健室が嫌なら俺の部屋に泊まれ。一日経って、熱が下がれば自分の部屋に帰っても構わねぇーからよ」
これが俺からの妥協案。これさえも拒否するならば俺は、最終手段として保健室に紅を強制連行するつもりだ。……俺が誰かに妥協案を出すなんてな、紅くらいじゃねぇーの?
そこまで抵抗されると……あまり強制したくないのも、後先考えても紅くらいだと何故かそう思う今日この頃。
と考えているうちに、紅の頬はさっき以上に真っ赤に染めあがっていて。
心配になった俺は紅を自分の懐へと引き寄せ、彼の額と俺の額をぴったりとくっつけ、紅に熱がないか俺は自分の体温と比べていると……。
紅の頬は、林檎のように真っ赤に染め上がり、涙目に上目遣いで俺を睨みつける彼は俺の首に腕を回し、……俺の唇に触れるだけのキスをした後、早口で俺にこう言った。
「僕が熱っぽいのは、委員長が好きだから!せいぜい、悩むが良い!……こンの鈍感風紀委員長がぁ!」
そんな紅の言葉に俺はただ無言のまま、呆然していたせいか逃げる彼を追いかけることが出来なくて。
思考回路が正常に働いた時にはもう、考えるまでもなく彼の告白に対する答えは、俺の中で自然と出ていた。
そこまで言われたら、流石の“鈍感風紀委員長”な俺でも気づくよ、紅。