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体育祭当日3

 俺は風紀室へと一旦戻り、その途中でうちの子達から貰った菓子やら、熱中症対策グッズやら……しまいには体育祭には関係のない一切関係のないものを貰ってしまった。


「はっ? 忘れていたの、和さん!振替休日の日……和さんの誕生日でしょう? うちの子の皆さんは結構、照れ屋さんが多いですからね……。どさくさに紛れて渡したのでしょうね、特に皆の“お父さん”である和さんのことが大好きですから、ついつい素直になれないのでしょう」


 とニッコリと可愛らしい微笑みを浮かべながらそう自分のことのように喜び、うちの子の気持ちを代弁するかのように興奮した様子でそう言う紅に、俺の疲れきった精神状態が凄く癒されちまったぜ。

 ……にしても、俺の恋人の紅は素直で、良く表情がコロコロと変わる可愛らしい奴だなぁと考えながら、きっと俺は満面の笑みを浮かべていながら、紅にこう言った。


「お父さんじゃねぇーよ、オカンだっつーの。……だけど、素直じゃないうちの子達も俺はもちろん大好きに決まってんだろ。まあ、一番好きなのは……(べに)だけどな」

 と俺はそう言うと、腰が抜けたのか紅の横に座る俺に寄りかかり、俺の肩に真っ赤な顔を隠すように埋めた後、蚊の鳴き声くらいのとても小さな声で紅はこう言った。


「……僕も好き……」

「ああ、わかってる。今はたくさん甘えてろ、その分午後も頑張れよ」

 俺は紅の言葉に対して、緩みきった口元を覆い隠しながらそう言った。

 俺の言葉通り、甘えてくる紅を時おり撫でながら、俺は紅が作ってきてくれたお弁当を頬張りつつ、親孝行ならぬ……うちの子達からの風紀委員長孝行である大量のプレゼントを眺めながら、俺は少しだけ申し訳ない気持ちになった。


 彼らが知っている“俺の誕生日”は、《裏》の存在を知った日にちだから。

 俺の本当の誕生日は……とっくに過ぎているような気がする。……本当の誕生日は何日かは忘れてしまったのにな、おかしいよな。


「……それでも、すげー嬉しいよ。ありがとうな、うちの子達」

 と紅に聞こえないようにそう呟いた。



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