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体育祭当日2

 人が多いと招かざるお客様方も多いッつーのに、うちの子達には見えないから体育祭自体をやらねぇー訳にはいかねぇーし、本格的に探すとするか。これがまた“必要”ならば。

 ちっ。また、“一般客”がうちの子達を襲ってやがるぜ、招かざる客だけを祓わなければならないな、しかたねぇ。

 雑魚ばかりで助かるものよ、…………こればっかりはカイチョー様に感謝しなきゃならねぇーな。

 お礼を言いに行くのは体育祭が終わった後だが、……お礼を言うのは正しくはカイチョー様のお連れ様だけど、ソイツがカイチョー様に従っているんだもんな、……カイチョー様にお礼を言いに行くのが筋ってもんよ。

 と考えながら俺は、次々と招かざる客だけをこの高等学校から追い出していく。

 ……強き人間がいれば、アイツらはその気に惹かれるように現れるからな。

 その強者が治安を護るのも、巻き込んでしまっていることについてのけじめ。


『風紀委員長、覆面風紀委員の配属を見回りの方に増やしますか? 今日の見回りは何かがおかしいような気がするんですが……』

「……必要ない。良いか、べに。お前らはそこから出てはいけない、絶対にだ。これは風紀委員長としての命令だ、見回りは今配属している者だけで構わない。お前は俺に……指示さえ出してれば良いんだ、あとは俺が何とかするからな」

 と俺は言う。

 ……お前が知る“権利”を持つ者ならば、その答えは必ずしも現れる。

 それまでは俺からは何も言えねーんだ。


『……わかりました』

「……すまないな」


 俺は紅にそう謝り、襲いかかってくる招かざる客だけを、一般客を気絶させることで次々と追い出していく。

 息を乱すことなく、淡々と無心に。


「随分と強か(したたか)な者よ。……そんな人間は私は嫌いではないぞ。安心しろ、私はもう鎖で繋がれておる。お主を喰らうことは主の命に反するからな、だが……良きものを見れた礼に……」

 と“彼”が言おうとした言葉の先を遮るように俺は淡々と無心に雑魚を蹴散らしながら、こう言った。

「……必要ない。アンタはカイチョー様を守ることだけに集中してれば良い。彼は俺にとって、護りづらい存在だから契約しているから当たり前なんだろうが、礼を行っておこう。……ありがとさん」

 そんな俺の言葉に、“彼”はフッと笑った後、何も言わずに去っていった。


 それと同時に体育祭の昼休憩の知らせるアナウンスがグラウンド中に響き渡るのだった。



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