体育祭当日1
体育祭当日。俺は元々から、体育祭出場禁止令がおじいちゃん先生から出てるからな、風紀委員長だろーがなかろーが、どのみち体育祭には俺は参加出来ねーのよ、わかります?
まあ? 俺は皆のオカンだからな、見回りしつつも内心では全生徒(キラキラ集団は除く)のうちの子達を応援している訳よ。
今日は生憎の晴天。曇りぐらいが調度いいっつーのに……、マジ暑いわ。
つーか、何故に風紀&生徒会に制服とは別に、行事の際に着る制服を作りやがったんだ!生徒会だけで良いだろ……って言いたくはなるが、仕方がない。風紀は表舞台に立つからな。
でも、何故に多種類配布されているのか疑問だ、二種類ぐらいで良いんじゃねーの、《表》しか知らない生徒には……とも思うが、まあ……カモフラージュだろうがな、知られないようにするための。
この話はおいといて、この高等学校のOGの親御さんから興味津々な視線で見られているんだが……放置するか。……五十年ぶりに風紀委員長の座がうまったからとは言え、視線を浴び、彼らを相手にする必要性を感じねぇーからな。
俺の今の役割は二つだけ。見回りをすることと、……不審な動きをする者は直ちに様子見をし、不審者だと確信した際は……直ちに執行する。それが今回の俺の役割だ。
“風紀委員長”にはなるもんじゃねーな、……特にこの高等学校の風紀委員長にはな。普段の“役割”が多すぎんだよ、うちの子を護るためには仕方がないことだけど。
この高等学校の風紀委員長は、強ぇーからってなれるもんでもねぇーよ。
……とある“条件”を満たさなければなれねぇーし、全ての“役割”をこなすことが出来ねぇーから、“条件”を満たす者が現れない限りは……風紀副委員長が風紀の長なのだ。
『風紀委員長!』
「何だい、そんなに大声をだしやがって。何か問題でも発生したか?」
『……いえ、呆然とされていたようだったので声をかけただけです……』
「そうか、頑張れよ」
『……ッ!はい!委員長こそ、…………見回り頑張って下さいよ』
とイヤホンの先の紅と会話をし、……俺は思考に入り浸っていた脳を切り替え、気を引き締めるのだった。