体育祭準備2
俺と紅は、当日人混みが多いことを想定した要危険場所をチェックしていた。……勿論のことかもしれねぇーが、今この場の雰囲気には恋人らしい甘い雰囲気は一切ねぇーぞ。
こう言ううちの子の命に関わることの役目の時、一切俺は私情を持ち込んだりはしねぇーし、紅だってそうだ。……腐男子で普段はハイテンションな紅だが、仕事に関わればそう言う面を一切見せることはねぇー奴。
紅は体育祭当日、俺とは別行動だ。……紅の才能は、運動系ではじゃねぇーからな。彼には一応、覆面風紀委員が二人つく予定だ、これもまた俺個人の私情とかの関係ではなく、紅もまた隠れ“護衛対象”だからである。
紅の場合、親の立場からとかじゃねぇーからな、逆に風紀副委員長として表舞台に立ってて貰えた方が……彼の才能を宝の持ち腐れにしなくて済むし、護衛していると気づかれないようにするカモフラージュでもあるんだけどな。
紅の才能は社会的に需要性が高く、誘拐される危険性を持つほどである。
「紅、頼んだぞ」
「はい、わかっています。桃原高等学校のうちの子達のために、僕の持つ手段を惜しみ無く使い、楽しい体育祭で終わるように……僕は全力で与えられた業務を全うします」
紅は自分の得意分野になると雰囲気が変わり、冷たい印象になるらしい。
得意分野になると雰囲気が変わるのは、俺も同意見なんだがなぁ〜……。
印象が冷たくはなるとは感じたことがねぇーなぁと前に覆面風紀委員に言ったんだが、それは貴方がハイスペックだからですと……素っ気なくそう言われちまったんだよなぁ。
ひどくねぇ?
俺はあくまでも、オカン系の平凡中の平凡な風紀委員長なのになぁ。
そんな話はおいといて、俺は紅に向けて満面の笑みを浮かべた後……、
「頼りにしてるぜ、紅」
とそう言うと紅は、
「……ッ!はい」
そう動揺したように返事をした。