35話
コバルトブルーの青年と対峙し、しばしの沈黙が流れる。
私達を見た青年は僅かだが瞳を揺らせた。だが、戦闘の緊張はまるで解いていない。油断のない動きは相当の手練れ。『戦闘狂』と並ぶほどの威圧感。お互い、油断せずにじりじりと間合いを詰める。
「ロイ、様?」
と、こぼしたのはギルだった。私は目の前の強敵から目を離さずに問う。
「ギル。この強そうなの知り合い?」
「俺も小さい頃一回会ったことあるだけだ」
その言葉に少し青年の緊張が削がれたようだ。
「会った……?君、どこの……?」
綺麗な唇から紡がれる青年の声はとても耳に心地よい。困惑する顔も似合っているイケメンだった。カチと、揺れる青年の持つ武器に私は見覚えがあった。スラリと伸びた刀身は片方だけが切れるようになっている。
完全に日本刀そのものであった。ギルは構えた私のナイフをそっとおろさせた。
「あ、と……アル。この人敵じゃないよ『監査人』ロイ様だよ。Sランク冒険者だ」
「げっ」
その名前聞いたことある。『戦闘狂』が会わせたがった人物だ。たぶんそうだ。Sランク冒険者でロイなら十中八九その人だろう。思わず『戦闘狂』の事を思い出して「げっ」という声が出てしまった。
「なんて声出してんだよ。この馬鹿。この人の事だからこの船に『監査』に入ったんだと思う。だから、子供ももう安全だ」
「痛っ。そ、そう……」
バシッと叩かれる様子に青年は完全に戦闘する気が削がれてしまったようだ。刀を鞘に納めている。私もギルに窘められて戦闘態勢を解く。
「君たちは……?」
「えと、会うのは二回目ですが、まぁ子供の時だったので覚えていらっしゃらないでしょう。ですが、ドートリッシュ家は覚えておいででしょうか?俺はその息子のギルバートです」
「ドートリッシュ家!?ああ、ああ!覚えているよ。彼らには結構世話になったんだよ……そういえば銀色の髪の子がいたね。あの時の子か。いや、すまない。久しぶりだね」
ギルとロイは互いに握手を交わした。
「ところでそのドートリッシュ家の息子さんがなんでこんな遠方に……?」
「ご存じ、ないのですか?ドートリッシュ家は取り潰されたんですよ。両親も……」
「なんだって……!」
なんだか盛り上がってますね。私はというと敵さんが動いてないかチェックしてまっす。
「俺も殺されかけたんですが、このアルに助けてもらったんですよ」
ガシッと頭を掴まれて話に入れられた。やめて。
「そうか、すまない。そんな事情があったとは……助けてあげられなくてすまなかった」
「いえ、とんでもありません。ロイ様は忙しいでしょうし。俺も運が良かったんで」
グリグリとギルに頭を撫でられる。やめて。
「とりあえず、子供助けた方が良いんじゃないですか?」
と、提案してみる。
「そうだね、話は後でにしよう。君たちは外で待っていなさい。外はもう安全だから」
「そうですね」
よし、その間に逃げるか。
「いえ、内側から敵を倒してるんで中も安全ですよ。付いていきます。子供達もアルの顔を見た方が安心するでしょう」
ぎ、ギルー!なんでそこは付いていくの!いつもは行くななんだと言うくせに!
「そうか……流石はドートリッシュ家という事か」
「いや……どちらかというとアルが……」
船内を歩きつつそんな会話をする。やめて。
「アルはいつも突っ走って突っ込んで割と解決していくんですよ。今じゃ『閃光』なんて二つ名もついてるんです」
「『閃光』!聞いた事あるな。クラーケンを倒した奴だろ?まさか、この子が?」
「そうです。あの時もヒヤリとさせられましたが、まぁ無事で良かったです」
「へぇ……」とジロジロとイケメンに観察される。そんな顔も似合ってますよ。というかギルもその二つ名広めるのやめてくれないかな。つか二つ名が独り歩きしている気がする。
会話をしている間に子供が監禁されている場所に着く。子供達は皆無事だった。ロイが誘導し、子供達が確保される。任せておけば近日中には親元に帰されるだろう。
「君たちは、これからどうするんだい?」
「俺達は事情があってしばらくは滞在するんです」
もう何も言うなよギル……。なんでそんな饒舌なんだ。はしゃぎすぎだろ常識的に考えて。しかし『監査人』ロイか……確か『戦闘狂』が言ってたな「命を粗末にすんな」って怒る人だと。
そしてこのギルの慕いよう……この人、良い人なのでは!?ニコニコ穏やかに笑う顔に少しの気苦労が見える。おお……苦労人だ。イケメンなのに苦労人だ。
良い人そうだし聞いてみようかな……その腰の日本刀の件について。
「すいません、えーと、ロイ様?」
「うん?ロイでいいですよ……なんですか?」
「その日本刀はどこで手に入りますか?」
「はい?」
「えっ?」
聞いたら硬直された。私も思わず固まってしまう。何かしただろうか?しばらく見つめあった後……ガシッと両肩を掴まれた。
『君、日本人?』
『……まじで?』
ロイが呟いたのは懐かしき日本語だった。久しぶりに聞くので返事をするのが遅れてしまった。日本語って、日本語ってまさか……。
「「えええええええええええええええええええええ!!」」
ロイと私は共に絶叫した。二人揃って激しく動揺した。オロオロした様子にギルも何があったのかとオロオロしている。
『ちょ!マジで!日本刀とか言うからまさかと思ったけど!』
『うわ、ちょ……まさかの転生者がこんな所で会えるとか!』
「ちょ、何言ってるか全然分からんのだが!」
ロイと喚きあっているとギルが分からないと喚く。そりゃそうだ。日本語だからね。
『えと、転生者でいいですよね?日本人離れしてますし』
『そうだよ。アルくんも?また『閃光』なんて二つ名つくくらい有名になってきてるね』
『はいはい、やめてください。なんか厨二っぽくて嫌なんです』
『ははは!久しぶりに聞くなぁそれ!うわ、いいな。これ。なんか中学の時思い出すわ』
『ロイさんも『監査人』とかSランク冒険者やってんじゃないっすか』
『くっ……人の事言えなかったね。なんか非常に恥ずかしくなってきたよ……』
ロイさんは我に返ってカァと顔を赤らめさせている。いやぁ、恥ずかしいよね。日本人的感覚でいったら自殺ものだよね。かっこよくキメちゃってロイ様なんて呼ばれているなんて。ニヤニヤしていると不機嫌な顔をしたギルに引っ張られた。
「アル。何話してんだよ?」
「うえぇ?えっと……私の知ってる土地にロイさんも行ったことあるんだって話を」
「そんな話しててなんでロイ様が赤くなるんだよ!!」
え、ええ……?いや、カッコつけすぎてて非常に恥ずかしいよねって話でもあるんだけど。でも、日本人だからこそ分かる恥ずかしさというか、説明できないというか。
「はは、ごめんごめん。ちょっと恥ずかしい思い出があってね……」
と、遠い目をするロイ。思い出というか現在進行形で黒歴史製作中ですもんね。私は苦笑してしまった。まぁ私も割と黒歴史なんだが。ニヤついていたらギルの機嫌がどんどん悪くなる。
「ぎ、ギル?どうした?」
「……別に。ロイ様と知り合いだったのか?」
「そういう訳でもないけど」
「じゃあなんでそんな親しげなんだよ」
ギルが私の両肩をつかんで詰め寄ってきた。少し顔を赤らめて口をへの字に曲げてしまっている。かなりご立腹のようだ。私はどう説明していいものか分からず、ロイさんに視線を向ける。
すると、ニッコリ笑われた。
『ちなみに刀は鍛冶屋でオーダーメイドだよ』
『そうなんですか!いいな~どこで作ったんですか?私も日本刀持ちたいな~ぐっ!?』
ロイさんの情報に食いついていたらギルに顔をガシッと掴まれた。
「その分かんない言葉で話すのやめろ」
「ふぐぐ、むぐ」
「ははは!」
かなり強く顔を掴まれてもがく。おいそこの転生者!笑ってんじゃねぇ!
「アルくん好かれてるね~」
「な!あ?ち、違います!こいついつも意味わかんなくて!」
ふぅ、手を離されてホッと息をつく。ギルは赤くなって慌てている。
「もう行きます」
「ちょ、ちょ、ギル!?」
慌てて帰ろうとするギルをなんとか止めようとする。もっとロイさんと話がしたいんだけど。
「最後に聞いてみても?」
「は、はい?」
ロイさんが後ろから声を掛けてくる。私に聞きたいこととはなんだろうか。
『俺の名前は神薙竜輝。アルくん、君の前世の名前を聞かせて貰っても?』
『……井上、優樹』
『……そうかなんだか不思議な感覚だねぇ』
『ふっ、まぁ……どうせ死んだ名前ですが』
「……そうだね」
ロイさん……前世の名前で神薙さんは重々しく呟く。前世の記憶でも思い出しているのだろうか、少し切なげな顔をしている。前世になにか置いてきたんだろうか……。そう考えているとギルがグイグイ腕を引っ張って来たので、私は仕方なく歩き出した。
獣人の拉致・監禁を解決させて宿屋へ帰ると日が暮れていた。機嫌のすこぶる悪いギルと宿屋に帰ると、マリアとリョウが宿屋の前で立っていた。私とギルの顔を見るとすぐに走り寄ってきた。
「遅い」
「アル……アル良かった。帰ってきて」
マリアは少し唇を尖らせているが、嬉しそうにしている。リョウは涙目になってしまっていた。リョウが飛びついてきたので抱き留めてあげる。そして背中を撫でる。
「ごめん、心配かけて」
「別に。心配とか、してないし。帰ってくるって、分かってたし」
マリアが恥ずかしそうに言い訳する。はいはい、そういうことにしといて上げますよ。ギルを見るとサッと目を逸らされた。まだ機嫌は直らないらしい。私がため息をついているとリョウが話しかけてくる。
「アル、アル」
「ん?」
しっぽがパタパタ振れてめちゃくちゃ可愛い。
「今日櫛買ってきたから。アルの髪梳かせて?」
「え?」
なんだろう突然。
「……ダメ?」
「いや、そんなことないよ。ありがとう」
悲しそうな顔で言われたら絶対に断れないだろ、常識的に考えて。まぁ髪梳かすくらい全然構わないんだけどね。
夕食を済ませて、今か今かとしっぽを振って待ち続けるリョウに髪を差し出す。3年も伸ばしているから結構伸びた。下ろしたら肩甲骨あたりになると思う。いつも手櫛で髪をまとめて括っていた。サラサラと零れ落ちる髪がたまに引っかかる。それをリョウが一生懸命解いていく。
私が床に座り、リョウがベッドに座って髪を梳かしている状態だ。
「どうしたの?急に髪を梳きたいだなんて」
「やっぱりダメだった?」
後ろから不安そうな気配がして慌てる。
「違う違う。嬉しいよ、でも、なんでかなって思っただけ」
「マリアがね、髪を解いてたんだ」
「うん?」
「髪が長い人は引っかかるんだって。でも、アルは櫛なんて使ってなかったから。ボクが代わりに出来たら、アルにお礼が出来ると思って」
「お礼?」
「うん。ボク感謝してるんだ。あの暗い場所から連れ出してくれて。見た目も変えてくれて。見るのも見られるのも全部新鮮で凄く楽しくて、何かお返しがしたかったんだ」
お礼、か。やっぱりリョウは良い子だな。別に良いのにって言っても気にするんだろうな。大して役に立てないと思う。いつ死ぬかも分からないし、魔王だし。勇者が召喚されたら死ぬつもりだし、その時は責任もなくリョウを投げ出す事になる。それまでにリョウを一人でも生きていけるようにするつもりだけど……。
髪の色はどうしようかな。闇属性で新しく作った魔法だからな……。光の屈折を変えるモノだから、勇者に後任させようかな……無理かな。本当に無責任だ。無責任にも助けてしまった。こういうのが、私はダメなんだ。
「……ありがとう」
私はそう言う事しか出来なかった。心地よい髪を梳く感覚に目を閉じる。ごめんね、と心の中で謝った。
2週間が経ち、ギルマスから召集を受けた。
「確認が取れた。本当に壊れているとは……」
「あー……ええ、まぁ……」
「これが報酬だ。受け取れ」
じゃらじゃらと重い袋を受け取る。中身を見ると金貨が大量に入ってた。ひっと声を出してしまった。
「多すぎないですか?間違ってないですか?」
「それで合っている、あの村の危険を軽減してくれたんだ。謝礼金も入っている」
そうですか……まぁ、貰えるなら貰っておくか。正直助かるし……でも金貨何枚入ってるんだこれぇ?
「ありがとう、ございます」
「またギルドを利用してくれよ。といっても大陸とは離れているが」
ククク、と笑うギルマスが渋くてカッコいい。ただ、たぬきの耳が可愛らしいのだが。やっぱり似合わないな。ギルマスに礼を言って冒険者ギルドを出る。
「さて、どうする?お金は余裕が出たし、また観光する?まだ依頼を受ける?」
「あーどうすっか」
「むぅ……」
4人で考え込む。
「リョウのギルドランク上げようぜ。まだ登録もしてないだろう?」
「ああ、そうだね。それがいいかも」
ギルの提案に私は頷く。さっき出てきたところなので、また戻って登録しよう。
「リョウ、冒険者なる?」
「うん!!」
リョウはとても良い返事をした。リョウなら軽くAランクいけるだろう。かなり優秀な魔術師だからね。さて、戻ろうか。と引き返そうとした時、鋭い殺気が向けられた。反射的に剣を抜き去り、迫りくる銀色の煌めきに対応する。
ガキィン―――!
ニコニコと無邪気に笑う顔。爽やかなのにダダ漏れる殺気。
「『戦闘狂』……!」
「あっはは!覚えててくれたんだ?嬉しいねっ!ひっさしぶり!」
『戦闘狂』グレアムはひゅんひゅんと剣を軽く回して鞘に剣を戻した。流石に街中で戦う気はないらしい。
「ひっどいよねー待っててって言ったのにさぁ」
「誰が待つか」
「うわ、ひっどいなぁ。まぁ良いけど。今丁度ロイと来てるから」
グレアムは機嫌よくニコニコと笑っている。が、その後ろから思いっきりシバかれていた。
「ぐはっ!」
「この狂犬がっ!街中で剣を振り回すなとあれほど言っているだろう!!」
「あ、ロイさん」
「やぁ、アルくん。ごめんね?いやでも凄いね。グレアムの不意打ちを受けるなんて」
「だってこの人殺気ダダ漏れなんだもの」
「あれ?もう知り合い?」
復活したグレアムがきょとんとしている。その姿がなんだか幼くて可愛く見える。見えるってだけで実質剣を振り回す『戦闘狂』であることに変わりがないので油断はしないが。
「うわ、グレアムの言ってた死にたがりってもしかしなくてもアルくん!?」
「ちょ、『戦闘狂』!変なあだ名つけんなっ!」
「でもお似合いでしょー?」
死にたがりって……頭が痛くなってきたよ……。私は手で頭を押さえる。ロイさんが詰め寄る。
「ちょ、アルくん。なんで?なんで死にたがってんの?せっかく……」
「うう……これには深い訳が……」
「おお!説教してくれロイ!更生した暁には僕が殺すから!」
「黙りなさい。この狂犬が!」
グレアムの言葉にキレたロイが思いっきり腹を殴っていた。「ぐっは!」といって崩れ落ちるグレアムがなんとなく嬉しそうなのは何故だろう。Mなんでしょうか。……ああいや、強いと認める者との会話が好きなんだろうな。多分だけど。追い打ちを掛けるように蹴りを入れるロイ。紳士的ないつもの態度との豹変ぶりに、普段から苦労させられていることが窺える。
「あ……アル?あの人……」
と、ギルが恐る恐る声を掛けてくる。見ればマリアとリョウもポカンとしている。
「あー……ごめん。あの人はSランク冒険者の『戦闘狂』グレアムだよ」
「えええええええええ!あの『戦闘狂』!?」
「……っ。怖いの。恐怖なの」
「え?え?」
ギルとマリアが驚愕し、リョウは訳が分からずキョロキョロしている。
「ずっと前に一回会った事あったんだけど……その時目を付けられて……」
「『戦闘狂』に……!?あの強い者しか目に付かない強い者を殺すのに快楽を覚えるあの戦闘狂いに!?」
凄い言われようだな。まぁ合ってるんだけどな。本人も公言してたし。
「そうだよ~!せっかく強いのにさぁ、全然生きる気力がないんだよアルは!それじゃあ殺すのは詰まらないでしょ?だから、生きる希望が出来たら思う存分殺り合えるよね!みたいな!」
復活したグレアムが喋る。そしてじっくりと私の仲間を眺める。
「うん、仲間が出来たようで何よりだけど、まだ死にたそうなその顔は頂けないよね」
グレアムが余計な事ばかりを口走るから、ロイとギルに睨まれている。え、保護者さんが増える感じですか?
「どういうことですか!?アルくん!事情を説明してください!」
「おいアル!危険なことばっかすると思ったら本当に死にたがってたのか!?」
う、うわわ。イケメン2人に言い寄られるって乙女の憧れだよね。でも全然喜べないよ。どう言い訳しよう。私は冷や汗を流しながら後ずさる。すると、スッと前にリョウが立ちふさがった。
「アルを責めるの許さない」
リョウ……私の天使。リョウが私を守るように両手を広げてギルとロイを止める。幼い天使を前にして2人とも口をつぐむ。
「アルはボクが守る。それでいいでしょ?」
そういってぎゅっと私に抱き着いて上目使いで見てくる。流石獣人あざとい。
「で、ですが……」
ロイが何か言おうとしたらキッとリョウが睨む。ロイはそれを見て怯んだ。うわ、リョウめちゃ良い子だよ……。リョウマジ天使。私は愛しい天使を抱きしめてスリスリする。もふもふの耳が気持ちいい。しっぽは触っちゃダメなのかな?触らせてくれないかな?いいよね?ダメ?
スリスリしているとロイがため息をつく。その後、日本語を使って穏やかな口調で話しかけてきた。
『あなたは転生者でしょう?せっかくの二度目の人生なのに……何故?』
『私は……あの日が……あの日常が一番幸福だったから。転生なんて望んじゃいなかったから……まぁ、他にも色々あるんですよ』
魔王とか、黒の忌み子とか、あるのですよ。
「そうですか、分かりました……」
「ロイ様?」
その言葉でロイは一旦引き下がってくれるようだ。その様子にギルとグレアムが怪訝そうな顔をする。
「何?今の、言葉?おいロイ。何諦めてんだよ」
「うるさいですね。諦めなさい。人の事情に首を突っ込みすぎるのはいけませんよ」
はぁ、と深い深いため息をつくロイ。
「ですが、早々に死ぬつもりはないんでしょう?」
「そうですね、今は。まだ」
「なら今回はそれで許してあげましょう」
おお!ロイさん凄いな。これが大人対応なのか。「色々あるんです」で引き下がってくれるんだから凄いよね。まだ不満そうな顔してるグレアムやギルとえらい違いだ。
「今度はアンに説教させよう……」
「こらグレアム。あまりアルくんを困らせるな」
うう、今度は違う人に説教される予定が入ってしまった。なんでこの人こんなしつこいの。あ、『戦闘狂』だからか。戦いたいんですね、分かります。
ロイとグレアムと別れ、冒険者ギルドに足を向ける。そこでリョウの登録を済ませ、依頼は次の日からにした。




