21話
ここからスパッと成長します。
「そこまでよ!!」
女性の声がしたので後ろに目を向ける。ギルの首にはナイフが突きつけられている。そのナイフを突きつけている女性はエルフで、黄色でもマイルドな色味の髪をポニーテールにしている。その髪はポニーテールにしてもなお腰まである長い髪だ。緑系統の服を纏っていて、どこか質が良いように見える。
職業はシーフだろうか。それにしても綺麗な人だ。
「Sランクの私が来たからにはもうおしまいよ!悪党め!最近の所業は聞いてるわよ!観念しなさい!!」
おお、Sランクだと!なんて遭遇率の高さ!その物言いは正義感に溢れてて実に良い目をしている。
あれ、でもおかしいな。なんでギルにナイフ突きつけてるの……。
「あの……」
「黙れ悪党!貴様のような虫と会話する気なんて起きないわ!仲間の命が惜しければ諦めて投降しなさい!」
そう言って私の言葉を遮ってギルにナイフを突きつける手に力を込める。
……うん。
ええーーーーーーーーーーーーーーー!!こっちか!こっちなのか!いやいや、違います!ああ、何て事……。こちとら被害者なんだよっ。
せっかく追い詰めて脅して恐怖に染めてから殺そうと思ってたのに……あ、うん。こっちが悪党かもしれない。私はさっきの状況を思い出して苦笑する。あれはないなー。魔王感丸出しにしてたし。
ギルを殺されたくはないし、正義に溢れるお姉さんを傷付ける訳にもいかない。大人しく剣を捨てて両手を上げる。あいつらはマークしてるので何時でも殺れるからね。
あ、ほんとに私が悪党だわぁ。はっはっはっ。
「ふふん。なかなか聞き分けがいいじゃないの悪党!あなたは正義の鉄槌の前に崩れ去るのです!」
爛々と輝く黄金の瞳。あれ、殺る気満々なのですか。
「ふふん。大いなる力の前にひれ伏すなんて小悪党ね!まずはあなたから葬ってあげるわ!」
ささっとギルの手と口を拘束して私に対峙する。こうなっては魔術師のギルはどうしようもないだろう。無抵抗の人間ではなく、まずは私に刃を向けるところに好感が持てる。ギルの目は逃げろと訴えていた。
逃げないよー。この人が分かってくれるまで誠心誠意尽くします。私が逃げたら、ギルがどうなるか分からないじゃないか。絶対に逃げないよ。喩え、剣を持っていないとしても。ギルの良い人ブリに思わず笑ってしまった。
「な、なんで笑ってんのよ……。こんな子供から悪事に手を染めるなんて、悲しい世の中よね」
シーフの女性は悲しそうに俯く。でもキッと決意を固めて私を見据えた。
「でも、これは悪いことなのよっさぁ観念しなさい―――――」
ヒュッと凄いスピードで距離を詰めてくる。流石に速い!『戦闘狂』より速いのではないだろうか。だが、みえる。みえるぞぉ。どこへ行こうと言うのかねぇ。げへへぇ。まぁでも速いって言っても『戦闘狂』と比べると単純で真っ直ぐで避けやすいな。
ヒュンヒュンと目にも止まらぬスピードでナイフを振るってくるシーフ。それを全力で避ける。避ける度にシーフの女性の顔は驚愕に染まっていく。全く攻撃が私に通らないのでバッと後方に下がる。
「なっなんで当たんないのよっあんた化け物でしょっ」
本日二回目の化け物頂きました~。へへっ……もういいっすよ別に化け物でも……。綺麗なお姉さんに化け物呼ばわりされたのでちょっとショックを受けて落ち込む。
私の心を悟ったのかギルが哀れみの目を私に向けてくる。やめれぇ……。
私が落ち込んでいると、バタバタと4名の騎士の装いの男達がさらにやってきた。
「シオン様!あなた誰と戦っているんですかっ」
と、一人の男が叫ぶ。走ってきたようで、少し息が乱れている。
「誰ってルーキー狩りよっ!この子強いわっ!油断するんじゃないわよっ!」
「その子は違いますっ!!!!」
シンと辺りが静まる。時折遠くでスライムのねちょついた音が聞こえる――――。シオンと呼ばれたお姉さんは完全に硬直していて、目から光が消え失せている。
「え、だって……この子達が冒険者を追い詰めてて―――」
「ああ……恐らく襲われて反撃をしたのでしょうね。目撃情報ではトカゲの、そこの男の方がルーキー狩りだと報告されていますから。仲間に顔中に刺青をした魔術師と斧を持ったドワーフが―――」
シオンさんは構えた状態のまま青ざめてガタガタ震えだした。脂汗も凄い。そして涙目になってしまっている。
ギルは他の騎士に助け出されていた。騎士に謝られて「いえいえ」なんて言っている。実に平和だ。騎士達はガクガク震えているドワーフ達を難なく拘束していく。私は素手で手を上げた状態でガクブルしているお姉さんを視姦しておく。
「だからあれほど特徴だけは聞いておけとロイ様も常日頃言っているでしょうに……」
はぁと騎士がため息をついた。それが止めになったようで、シオンさんはかぁあ!と顔を真っ赤にさせてついに泣き出した。
「ご、ごめんなさぁあああいっ」
シオンさんは私に勢いよく土下座した―――――。
彼らはルーキー狩りの報告を受けていた。その者達は騎士たちのレベルでもなんとかなるレベル。Sランクのシオンさんが出る幕なんてないはずだった。しかしシオンさんは神出鬼没の『放浪者』という二つ名を持つSランク冒険者。
「ルーキー狩りだなんて許せない!私みずから正義の鉄槌を!」
盗み聞きしていたシオンさんがそう叫んで迷宮に走り出した。焦ったのは騎士たちの方だった。シオンさんはルーキー狩りの特徴を聞いていなかった。なまじ強いシオンさんでは迷宮に居る冒険者を根絶やしにする可能性もあった。根絶やしは無いにしても好き勝手に生きる『放浪者』は突っ走って失敗する事が多いことで有名らしい。ロイと呼ばれるSランク冒険者に説教を食らう事ばかりをやらかすのだとか。
ロイって人は皆に説教してんのかな……苦労性だなぁ。
慌てて飛び出したシオンさんを追いかけた騎士たち。シオンさんはSランクで最速のスピードを誇っている。とてもじゃないが追いつけず、遅れてしまったのだとか。それを滅茶苦茶謝罪された。
ついでに賞金首になっていたトカゲ達の賞金も貰えたので、それで良いと言ったのだが、シオンさんは納得しなかった。
私がシオンさんの速さについて行けたから平気だったのだ。これが別の人間だったとしたら簡単にSランク冒険者の前で倒れていたことだろう。だけどまぁ……。
「でもまぁ死んでないならイイじゃない」
私がヘラリと笑ってそう答えるとシオンさんと騎士達が涙を流した。えっ何っ引く。私は大人5人に泣かれてオロオロしてしまう。
「わっ……私こんな良い子にナイフ向けてっ……」
「この幼さでその寛容さ……うう……お労しや……」
えっやめてっ。何それ。私は顔を青ざめさせていると、ポンと肩に手を置かれた。手の主はギルだった。生温かい目でこちらを見ている。えっやめてっ。
「えと、じゃあ銀貨30枚で手を打つのはどうですか?あの、あまり謝罪されても、困るので……」
私はそう提案する。賞金首の賞金が銀貨30枚だったので、それと同等でどうでしょう?
「銀貨30枚なんて言わずに金貨30枚でも100枚でも持って行ってっ」
いやそれもうそれ白金貨になっちゃってますよっ!?そんなにいらないですよっ馬鹿じゃないですかっ!!いや、貰えたらそりゃ嬉しいですけど、その金額は無いわっ。宝くじ当たったレベルだからっ。
「いえ、銀貨で。銀貨でお願いします。この話はこれでナシです」
パンと私は手を叩いて納める。もうやだこの人たち。
銀貨を大量に入れた袋をカバンに押し込み、騎士隊の駐屯場を無事抜け出した。抜け出した頃にはもう外は真っ暗になってしまっていた。
現在銀貨140枚。もうそうそうお金に困ることもあるまいて。冒険者やってたら実入りは良いので、多少の無駄遣いをしてももう大丈夫だろう。
「大変だったなーアル」
「全くじゃ……」
ふぅ、とため息をついて急に年寄り風に話してみる。なんかもう達観した年よりの気分だからな。
「でもアルも悪いぞ。自分はどうでも良いや~な、態度が相手をより恐縮させてしまったんだからな」
「えっ私!?私が悪かったのかっ!?」
私は驚愕してギルを見上げてしまう。ぶはっとギルは急に笑い出した。
「はははっ……あのアルのオロオロし具合……ざまぁみろって……ははは」
ななな……失礼な!可笑しそうに笑うギルは涙を浮かべてまで笑っている。畜生そんなに面白かったのかっ当事者になってみろよっ!ギルだってそう答えるでしょう?ひとしきり笑った後、ギルはポンポンと私の頭を撫でる。
「こんな目に会いたくなければもっと自分を大切にするんだな……」
そういって微笑むギルの顔は優しいものだった。くそう……。それは私には了承しかねるぞ。私が不満げに唇を尖らせているとデコピンされた。
「なんでそんな顔するんだよ。ちゃんと自分も守れ。……いいな」
少し、怒っていた。うう……なんで、そんな。私は価値のある人間じゃないよ。ギルだって見ただろう。シオンさんがパッと見で悪党と判断するに足りる行動を。楽しく追い詰めて、殺そうとしていた私を。
「ギルは私を化け物だとは、言わないのか?」
少し前を歩くギルにそう尋ねる。怖くはないのか。私が。
ギルはピタリと止まった。そしてバッと振り返る。顔を目一杯顰めさせて、怒っていた。そして両手で私の両頬を引っ張った。い、痛いです。それに滅茶苦茶怒ってるギル、怖いです。
「そんな事言う口はこれかぁ?ええ!?」
ギルはグイグイ頬をつねる。
「アルは、強い。信じられないくらい、強い。でも―――アルはその力を間違った方向に使ったりなんてしない」
「そんなにょ、わからはいひゃひゃいか」
そんなの、分からないじゃないかって言いました。頬をつねられていると喋りにくいことこのうえない。私の反撃にさらにつねる手に力が篭った。
や、やめて。痛い。痛い。
「分かる。アルは絶対に人を守る為にその力を使うんだ。それは、とても心強いものであっても、決して化け物なんかじゃない。もう二度とそんな口を叩くな。―――――本気で怒るぞ」
「ひゃ、ひゃい……」
私は顔を青ざめさせて返事をする。憤怒の表情がフッと和らぐ。
「化け物は頬をつねられて青ざめないからなぁ……」
ギルはニヤニヤして笑っている。弄ばれた……だと!
「失礼なっ!!」
つい何時ものノリで怒った。さっきまでの雰囲気はどこへやら。
彼の優しさに、信頼に、思わず泣きたくなってしまう。けれど、いつものように涙は出てこない。
私はあの日、涙を持って行かれたんだ。もう壊れてしまっている。壊れているんだよ。嗚呼、でもやり直していいなら彼と―――ギルともっと旅をしても良いだろうか。彼となら私の心も癒されるような気がした。私の罪も許してもらえるような気がした。
それは多分気のせい。でも、それでも良かった。私の狂気を見ても彼は私と目を合わせてくれるのだから。一緒に笑ってくれるのだから。
これからは本当の意味で仲間になろうじゃないか。これからも末永く宜しくしてもらおうか、ギル。
私の―――――親友。
……
ギルと旅をして2年が経過した。私ももう10歳になっていた。
様々な街を練り歩き、これといったトラブルも起きることもなかった。実に平和で充実した異世界ライフ。特に問題はなかった。『悪夢』を見ること以外は。『悪夢』は私が大切にしたいと願っている者を私が殺す夢。
あの夢は未だに見ている。その現実とも夢とも判別し難いその映像は未だに慣れない。1週間に1度程のペースであの悪夢を見る。正直疲れた。寝るのが少し恐ろしい。
「――――!!」
今日も、またあの夢だ。殺される人は日によって変わる。殺し方も変わってくる。けれど、私が殺している事は変わらない。これは夢なのか、はたまた未来で起こる出来事なのか。ドッドッドと動揺した心臓を押さえつけ、ベットで寝ているギルを眺める。安らかに眠っており、静かな寝息を立てている。その度に安心し、落ち着くことが出来た。
もはやギルが精神安定剤と言っても過言ではない。ギルが無事に寝ていたら、あれは夢なのだと実感出来る。
「……ふっ」
と、思わず笑みが溢れる。そういえばギルももう13歳なんだよなぁ。出会った時はギルは10歳。丁度今の私と同じ年齢だった。大きくなったなー。と、母のような気分になってしまう。頭を撫でてやると、少しくすぐったそうにしている。下を向いて撫でていたら長くなった髪がさらりと前に落ちた。髪、伸びたな~。長い髪は何時も後頭部の中腹辺りにまとめている。括った状態でも肩辺りまでの長さになっていた。
なんか髪が落ちてくると思ったら。ゴムが外れてる。さっと見回したら切れたゴムが落ちていた。結構長い間使っていたし、寿命だったのだろう。明日買いに行くか。そんな事を考えつつギルを撫で続ける。
前は長いのが邪魔だったが、現在では意外と気に入っている。髪質がサラサラで枝毛もなく触ってて気持ちいいというのもある。トリートメント無しにここまで良い肌触りもなかなかあるまい。
自動洗浄が髪にも良かったんだろうか、もしくは色彩変化で太陽の光による傷みも遮断しているおかげだろうか。
まぁどっちでも良いが、まだ伸ばすつもりだ。切るのは少し勿体無い。
「……ぁ」
ギルの瞳が少し開いて私の顔を見つめていた。まだ真夜中なので、本当に眠そうだ。ずっと撫でていたせいで起こしてしまったようだ。
「悪い……」
取り合えずギルの頭から手を除けておく。しばらくしたらまた瞳を閉じてギルは眠りについたようだ。その様子にほっと息をついて私も眠りにつくことにした。
ギルドランクも現在ではBランクになった。Aランクの依頼だと一筋縄ではいかないモノも多い。まぁ、ギルがいるから手こずっている節もあるんだが、そこはどうでもいい。連携して討伐する事にこそ意義があるのだ。俺ツエーしてもあんまり楽しくないからな。
しかしギルとの旅は面白い。なんというか反応が面白い。突っ込み属性があるのだろう。安心して走り出せる。
現在滞在しているのは『炭鉱の街』と呼ばれる所だ。近くにドラゴンの住処がある山があり、ここの人間はドラゴンにより守られているのだとか。ドラゴンと人間の関係は概ね良好。昔魔王討伐のために共闘した事から友好関係は続いているのだという。勿論、人間が嫌いな危険なドラゴンも存在し、討伐対象になる事もある。
その場合、他のドラゴンと同席の上での討伐となる。『炭鉱の街』では石炭が多く輸出されている。その際山を削るのだが、危険がないようにそこにドラゴンの守りがあるという。
なるほどねー。『炭鉱の街』自体はそれほど面白くは無いが、ドラゴンには会ってみたいな……。
「あっアルくん。ギルくん。いらっしゃーい」
「こんにちわーいつものください」
「はいはーい。じゃあ適当に座っててねー」
私は食堂に来ている。他の店の料理は代わり映えしないのだが、ここの料理だけは少し違っていて私の舌に合うので、毎日のように通わせてもらっている。
「こんにちは」
「はい、こんにちわ」
てとてとと歩いてきたのはここの食堂の娘さんで5歳の可愛い幼女だ。名前はメル。座っている私の膝に登ろうと試みる。可愛いので持ち上げて膝に乗せてあげる。
「おまちどう、いつもすまないね」
「いえ、可愛らしいので大丈夫ですよ」
「アル大好き」
ぎゅっと私に抱きつくメル。実に可愛いものだ。甘えるその頭を優しく撫でてやるとても嬉しそうな顔をする。これもいつものことで、ちょっとご飯が食べにくいが可愛いのでどうということはない。
「……」
ギルは少し不機嫌そうに黙々と食事を続ける。これもいつものことだ。何故かメルと凄く仲が悪い。良く解らないが目と目が合うその瞬間に好きになれないとお互いに分かるものがあったらしい。
今も私の腕の中でバチバチとギルと火花を散らしている。何が彼らを駆り立てるのか……。
私は気にしないように、メルに食事を落とさないように気をつけつつ食事を続ける。
―――殺気?
微かだがこちらに向けられた殺気を感じた。周りを見渡したり、索敵で検索しても殺気の持ち主はいない。気のせいだったのだろうか?この世界は物騒だからなぁ。特に恨みがなくったって殺したりする世界だ。
ギルと旅をしていてトラブルがなかったと記述したが、それはまぁこの世界基準だ。
日本基準で言ったら結構殺伐としている。詐欺とか、スリとかね。
しかし殺気を向けてこられるような何かをしたっけ?この前の詐欺師とか?逆恨みとか?
「どうした?」
少しだけ動きの止まった私を心配そうに見つめるギル。こういう微かな私の反応にもキチンと気づけるのは彼位のものだろう。
「いや……まぁ気のせいだと思うが……」
「気のせいでも言ってみろよ。お前はなんでもしまい込むからな」
と、苦笑している。まぁ、そうなんだけど……。撫でる手が止まっていたのでメルが少しだけ不服そうな顔で見上げてくる。わぁ、ごめんねー可愛いなー。と、撫でるのを再開する。気を取り直して撫でながらギルとの会話に戻る。
「ちょっと殺気を感じて、ね」
「なんだって?」
急に険しい顔で辺りに気を配る。が、見当たらないのか再度私の顔を見る。
「特に……いないが」
「だから気のせいだって言ったんだよ」
「いや、アルが気づいたって事は何かしら狙ってる可能性があるだろう。ちょっと気を引き締めよう」
「あー……そうだな」
なに、その全幅の信頼は……。私が黒だと言ったら白だとしても黒だと言いそうだな、彼は。その様子に少しだけ笑ってしまう。ああ、でも私もそうかもしれないなぁ。
ギルが白だと言い切ってくれるならば黒でも白だと思ってしまいそうだ。彼の真っ直ぐさにはいつも救われている。
「何笑ってんだよ……」
少し顔を赤らめさせて視線を外している。照れているようだ。いやぁこっちも可愛いな。メルも可愛いけど、ギルも可愛いな……。じゅるり……へへ、おばさんが良い事教えてあげるよ……。おっと落ち着け。平常心平常心。
「ふっ……別にー」
「アルー私に『あーん』してー」
「ああ、うん。いいよーほら、あーん」
「あーん」
急に話に割り込んで来たメルがとても可愛い要求をしてきた。おおおお、可愛いな、是非ともこの矮小な私めがその役割をやらせて頂きますっ!お、落ち着いて、ゆっくり、そう、ゆっくりだっ。
私がデレデレしているとギルが虫を見るような目線を向けてきた。うっ……な、ち、違う。ロリコンじゃないよっ。可愛いものが好きなだけの普通の女の子(笑)だよっ!く、しかしこの可愛さからは逃れられないっ。
「アル……本当女好きだな」
「うっ……決してそのような軟弱なことは……」
くっ違うぞっ。そんな冷たい目で見るんじゃないっ。
「えーアル私の事キライー?」
「好きです」
少し悲しそうな顔されては胸が痛んでしまう。好きだと即答せざるを得ない。ああ、君を笑顔にするためならばいくらだって好きだと言おう。だ、だって可愛いし……普通だよっ……ろ、ロリコンじゃないもんっ私だって少女だしっ。
私の言葉を受けてメルは満足そうな笑顔になる。そして何故かギルに勝ち誇った顔でフフンと鼻をならせていた。それを受けたギルが悔しそうにメルを睨む。本当に仲悪いのね……。いや、ある意味仲は良いのかな?




