第1章 ドラン平原辺境にて4
お母さんはまだ40代にいってないです。
それに対してお父さんは50代を超えています。
年の差結婚設定です。
「ん?あれ?ここどこだろ?」
「おっ、目が覚めたな?」
あれ?
私は何時の間にか、布団に横たわっていた。
状況が掴めないので、思い出そうと頑張って考えてみる。
そうだ、確か私は遥にチョップされて…
遥にチョップされて…
遥に…
遥に!?
何故に遥にチョップされたの!?
「おぅお、咲也が混乱しているっていうのが目に見えて分かる。」
いや、待てよ。
私は途中自分がまるで神様になったような感覚になって…って、私が悪いんじゃん!
独り言なんてつぶやいてるからこうなるんだよね…
自業自得ってやつかね。
つぶやくのはtwit○erだけにするって決めてたのに。
「咲也、そろそろ帰って来ないか?」
「え?」
そこには、お父さんがいた。
よく周りを見てみると、私たちの2人だけ。
「お主は、本当に咲也なのか?」
答えは…
No.だ。
私は、咲也だけど咲也じゃない。
でも、私は正真正銘の咲也
咲也だけど咲也じゃない
咲也じゃないけど咲也でもある
じゃあ、私はいったい?
「そう混乱するな、戦場ではつねに冷静でいろだ。」
そうか、だからお父さんは17年間も眠ってた子供が起きても素っ気なく…いや、冷静でいたんだ。
まっ、戦場じゃないんだけどね。
「今、ここは戦場ではないと思ったろう?」
ギクッ
「いつここが戦場になってもおかしくない。ほら、お前の家も危険な戦場になるかもしれんのだろう?」
もう…
なってる。
私の所為で。
というか、罠で。
「さて、咲也との出会いを祝福したいところだが、一刻の猶予もないくらい切迫している状況だ。もう、私の部下がお前の家に向かっている。」
えっ!?
「ちょっと、待って‼」
「ん?どうした?」
「その…私の家、危ないから入らない方が…ゴニョゴニョ」
「よく聞き取れない。何て言ってる?」
「その…私、一晩かけて家中に罠を仕掛けたの。罠によっては死んじゃうくらいのやつを…」
それは、言い過ぎかもしれないけど、当たりどころによっては本当に死ぬかとしれないし。
「まぁ、大丈夫だろ。私の自慢の部下だ。直接育てた直属の兵ではないが、咲也が一人で作った罠で死ぬ程やわではないだろ。」
なんか、暗にバカにされてるような…
いやいや、普通に直球でバカにされてる?
「そうお父さんがいうなら。誰も怪我しないことを祈ってます。」
時刻は午前1時。
先程まで寝てた…というより、気絶してたとはいえ、なんとなく眠たい。
人間は夜になると眠たくなる習性があるのだろうか?
一度目を瞑るとお父さんそっちのけで深い眠りに落ちてしまった。
「それでどうなんだ?」
「はっ、先程帰ってきた間宮小隊長によると、『家は、荒らされた形跡があった。』とのことです。」
「荒らされた?ということは、やはり?」
「はい。誰かが、家に押し入ったようです。」
「そうか、やはり咲也は廉氏伝第4精神伝の子か…」
「そういうことになりますね。やはり、このことは内密にした方がよろしいと思います。」
「そうだな。頼むぞフレデリック君。」
「チュンッチュンッ」
ふぅわ~
朝?
まだ、眠いのに小鳥の囀りのせいで目が覚めちゃったじゃん。
「あれ?なんで姉ちゃん起きてるの?」
「ん?あ、遥おはよう。」
「えっと、おはよう姉ちゃん。で、何でこんな時間に起きてるの?」
「何でって?それは、私が早寝早起きをモットーとする、健全な女子高校性だからに決まってるじゃない。」
ズテッ
私の弟がドリ○の人並のコケを見せてくれた。
「冗談は止してよ姉ちゃん。それよりさ、お父さんから姉ちゃん呼んで来いって言われたんだ。だから、参謀室に行ってね。」
お父さんが私に用?
もしかして、昨日…というより今日かな、勝手に寝ちゃったからかな?
怒られるとか!?
でも、それなら何で参謀室なんだろ?
「はぁ~い、顔洗ったら行きまーす。」
「失礼しまーす。」
「おう、咲也か。入って入って。さ、ここに座って。」
入るとお父さんが手招きしてくれた。それにしても、なんか偉そうな人がたくさんいるよ。
あっ、態度がじゃなくて。
「あの、私に何か用でも?」
「ああ、そうだな。単刀直入に言うと、今日の朝方お主の家に誰かが押し入った。それでな、昨日派遣した部隊がつい先程帰還してな、何人かの捕虜を連れて帰って来たんだ。」
「続きは私が。」
私の知らない人が名乗り出る。
他の人に比べると筋肉がある人で、多分実際に戦闘に出る人だと思う。
「それじゃあ、頼む。
この人は、間宮小隊長といって、実際にお主の家に行った部隊の隊長だ。」
「間宮です。どうぞお見知りおきを。」
「どうも…」
返事がぎこちなくなる。
朝からこんなハードな部屋に入れられるとは思わなかったし…
「それでは、本題に入ります。私が部下と家に着くと、ドアは無造作に開け放たれていていました。ただ事ではないと判断した私はすぐさま家に乗り込みました。玄関をすぐ曲がった所には倒れこんで唸っている人が数名おりました。何がなんだか分かりませんでしたが、ここにいるということは敵部隊だと判断し、部下に命じて拘束。私は奥に入って行きました。」
玄関をすぐ曲がった所…
あそこには確か、マキビシを置いた気がする。
あと、オイルを巻いて置いたからマキビシが刺さって片足立ちになった人は転ぶ仕組みになってるはず。そしたら、背中とかにマキビシが刺さる算段だったけど、今考えると頭に刺さったら死んじゃうよね…
「奥には、主犯格と思われる人物が棚の下敷きになっていました。」
「だそうだ、咲也。何かこの件について心当たりがあるか?」
ありまくる。
でも、味方に被害がでていないなら、問題ないかな。
「それと、私の部隊の隊員も罠にかかり、半数の隊員が病院送りになりました。」
と、間宮小隊長。
ああああぁぁぁーーー!!
「すいません!本当にすいません!すいません!」
「あの、どうかしましたでしょうか?」
「そ、その、罠を仕掛けたの私です。」
「え!?それは、本当ですか!?」
「はい…」
ど、どうしよう正直に言ってしまった!
あれかな?
ここで、責任をとるために切腹とかするのかな?
確か、切腹って自分でお腹を切るんだよね?
腸が空いた穴から落ちて来るって聞いたことある。
でも、それじゃ死ななくて…
痛みに苦しみながら後ろから首を落とされるって…
あぁ、私さよなら
「咲也殿!!正気になってください!」
「え?ああ…」
どうやら私は死ぬ寸前のような顔をしていたようです。
「咲也殿、すごいではないですか!私が育て上げた兵をああも簡単に倒してしまうなんて。私もまだまだということですね。」
「あ、あの、その」
「咲也殿に感謝しなくては、これで自分の未熟さに気づく事が出来ました。最近少し慢心していたのかもしれません…これからも精進致します。それでは、大尉失礼致します。」
「分かった。」
間宮さんが参謀室から出ていった。
やる気に満ち溢れた顔をしたまま…
「さて、今日はこれにて軍議は終わりだ。皆のもの各自解散。それと、龐陽とフレデリック、咲也は残ってくれ。」
なんだろう?
「さて、まずは自己紹介からでもしようか。」
他の人がいなくなった後、お父さんがそう切り出した。
「この、がたいのいい青好年はフレデリックという。」
軽くお辞儀をしてくれた。
前にも言ったかもしれないけど、多分お父さんの護衛役。
「こっちの、少し背の低いおじさんが龐陽だ。」
「もっと第一印象がよくなるような紹介の仕方はないのか?」
初めて見る人だ。
背は、私と同じくらいかな。
私は、150cmくらいだったかな。
「さて、本題に入ろうか。」
「待ってお父さん、もうちょっと紹介してくれない?まだ名前しか聞いてないんだけど…」
「あぁ、そうだな。それじゃあ自分から紹介してもらうかな。」
「初めまして、フレデリックと申します。私の仕事は大尉の護衛です。ちなみに、偽名ではありません。別の国出身なので、このような名前なのです。以後お見知りおきを。」
「初めまして咲也殿。私の名前は龐陽 統明だ。この材辰砦の軍師をやっている。官職は、少尉の位置だな。これからよろしくな。」
「えっと、私は田宮咲也…です。」
そう、私は『田宮咲也』だ。
誰がどう見ても田宮咲也なのだ。
でもどうしてだろう?
この胸につっかえている虚無感と罪悪感は…
私がこの世界に来なければ本当の『田宮咲也』はどうなっていたのだろうか?
今こう考えてみれば、不思議な事が重なっている。
ドラン語と呼ばれる漢字。
自分でも分からない言語。なのに、話せてしまう。
前の世界と同じ食物。味も変わらない。
だから私は差して違和感を感じずにいるのだろうか…?
「…………」
ハッとする。
自己紹介の途中で黙りこくってしまった私を心配そうな顔付きでフレデリックさんが見つめてくる。
心配をかけてしまった。
だから、なるべく笑顔で返さなくては!
「あはは…ごめんなさい。ボーッとしちゃいました。心配をおかけしてすいません。」
「咲也、無理しなくていいぞ?まだ目が覚めて数日しか経っていない。寧ろ動き回れる方が不思議なほどだ。」
「いえ、大丈夫です。」
「いや、今日はこれでお開きにしよう。咲也、部屋に戻って休むといい。悪いがフレデリック君、咲也を部屋まで連れて行ってもらえるかね?」
「分かりました。」
私は、フレデリックさんに連れられて参謀室を後にした。
お父さんは私に何を伝えたくて残ってと言ったんだろう?
そういえば、どうしてどこかの悪党が私達の部屋に忍び込んで来たんだろう?ナポリタン
は交渉の材料に使われる的なこと言ってたような…
う~ん…
私が思いつく限りでは、人質っていう意味だと思うんだけど、どうして人質なんて欲しがったのだろうか?
お母さんは、ここら辺一帯は安全って言っていたのに…
どこかの誰かさんが戦争..じゃなかった、戦を起こそうとしてたのかな?
なんて、物騒な事をまるで他人事のように考えながらまだ慣れない砦の中をフレデリックさんの後を追いながら歩いていた。
字より空想が先走って、何を書こうとしていたのか忘れてしまう…