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脱☆戦友紀  作者:
4/6

第1章 ドラン平原辺境にて3

久しぶりの投稿

自分乙


「ねぇお母さん、その材辰砦っていうところまではどのくらいかかるの?」


「そうねぇ、大体20kmくらいかしら。だから、半日くらいだと思うわ。」


半日もっ!?

私もうだめ…

疲れた…


「姉ちゃん!まだ歩き始めてから1時間経ったか経ってないかくらいだよ!もう少し頑張ってよ‼」


そ、そうよ!

私はここで頑張らなきゃいけないの‼

私を信じてくれたお母さんに報いるためにも‼


「よし!頑張るぞ‼」


「ふふっ、咲也その意気よ。」


それにしても、お腹がすいた…

昨日は朝食しか食べてないから丸一日何も食べてないようなものだからさ…


「はい!姉ちゃん!」


「ん?」


遥が私に手を広げて伸ばしている。

その手の中には、小さな飴が2つ入っていた。


「一緒に食べよっ!」


遥、あなたは本当に私の弟なの?

こんなに優しいDNAが私に組み込まれているとは思えない。

転生とはいえ、肉体はお母さんから生まれてきたはずだから、同じ遺伝子のはずなのに…


「ありがとうね。」


「うん!」


私は遥から飴を受け取り、早々に口の中に入れる。


イチゴ味の飴でとても甘い。


「うわっ!とてもおいしい‼」


「あははっ、大袈裟だよ姉ちゃん。」


「そんなことないよ?この視界一面に広がる草原と、20kmに渡る長い旅…その道中で食べるイチゴ味の飴のおいしさはクッ○ング○パが作る料理にも勝る‼」


伝われ!私の熱意‼


「えっと…姉ちゃんが何言ってるか僕には分からないけど、とにかくおいしいって思ってくれてるってことだよね?よかった。姉ちゃんの好みとかまだ分からなかったから、どうしようかと思ってたんだ。」


ほら!

言葉が通じなくても心は通じ合うことができると私はここに立証するわっ!


どちらかというと、単に遥が気を使ってくれただけと、私が気づくのにはまだ時間を要するであろう。










現在午後4時

歩き始めてから11時間が経った。途中、休憩を挟んだものの、お腹のすきは埋まらない。

なんの用意もせず出てきたので、食料があるわけじゃない。それに、あの家の中にもう一度入るなんて自殺行為だ。

でも、あと1時間という後ろ押しがあるおかげでまだ歩ける。


「はぁ~、なんで草原には木があんまりないんだろうね?」


「姉ちゃん、ばかな事いってないで歩こうよ。」


は、遥が私の事をばかって!

そんなのひどすぎるわっ‼


今は7月下旬

夏真っ盛りだ。

日陰もない平原を半日近く歩いて脳が暑さでやられているのだと思う。

もちろん、休憩は少し高い丘の下の小さな日陰だよ。さすがに、日向で休憩はしないもの。










歩けど歩けど、同じ景色の平原の奥にやっと建物が見え始めた。


「咲也と遥、あれが材辰砦よ。」


「やっとなの?やったー!もう少しで食べ物にありつけるのね!」


私は心底喜んだのだが、お母さんに遥はあまりいい顔をしていなかった。

それもそうだろう、憎みもしたお父さんの所に泣きつきにきたのだから。言い方が悪いわね、逃げてきたのだから。それも、私の一存で。お母さんに奇襲の事を言った事は後悔していないが、ここに来るのは反対しておけばよかったなんて少し後悔している。


「ついたわね。」


どうこう考えてるうちについたみたいだ。

お母さんの顔はより一層険悪になっている。


「やっとついたね!これでお腹いっぱい食べれるよ姉ちゃん!」


「うん。そうだね。」


遥は無理して笑っているのが目に見えて分かる。

少し震えているのも。


「遥… 無理しなくていいんだよ。」


遥を優しく包んであげる。

胸に温かいものを感じる。


「ほら、行くわよ。」


お母さんが門の前に私達を先導するように歩いて行った。










「………」


「………」


「………」


空気が重たい。


私達は、門番に軽い事情説明をした後、お父さんに会えるよう言った。

その門番はお母さんと面識があるのか、快く門を開けてくれた。

その後、つまりは今、面会室でまたされている。


早く来てよお父さん~


ガチャッ


そんな事が頭をよぎったとき、ドアが開かれた。


「お、お父さん?」


私は面識がないので開かれたドアから出て来た人がお父さんかどうか分からない。でも、男性だったので、お父さんだろうと思って声をかけた。


「え?わ、私がですか?」


あちゃ、お父さんじゃないみたい。どうしよ?どうやって取り繕うかな…


「申し訳ありませんが奥さん、こちらの女の子はどちら様で?」


「はい、私の娘で御座います。」


「前にお越しになられた時にはおらっしゃられなかったようですが?」


「今までずっと、事故に会ってしまい眠っていたのです。」


「本当ですか?それを証明できるものなどはありますか?」


「証明ですか?ありませんけど…」


「それなら、こちらで身元を確認させて頂いてもよろしいでしょうか?」


「よい、フレデリック君。」


「大尉!?どうしてここに?」


大尉?フレデリック?

私には話の流れがよく読めない。

この大尉と呼ばれる男は、このフレデリックという人とお母さんが話している間に入って来た。

この二人は両方とも大柄な人で、180cmはゆうに超えていて、何やら軍服のような物を着ている。


「お、お父さん!」


ずっと黙っていた遥が言う。

と、いう事はこの大尉って呼ばれている方がお父さんってこと?


「えっと、あなたがお父さんですか?」


当たり障りのない言葉を言ってみる。


「お主、もしかすると咲也か?」


「えっ?あ、はい。」


お主って…

何故だかナポリタンを思い出すわね。


「そうか。」


え?

何それ?

そんなに素っ気なく返してくるの?


「お父さん…」


お母さんがそう言って、お父さんを真剣な目で見つめる。


「フレデリック君、席を外してくれるかな?」


「え?それでは…」


「よい。私は大丈夫だ。」


フレデリックさんってお父さんの護衛役みたいな感じなのかな?

それにしても、お父さんは見た目と違い、意外に丁寧な言葉遣いだな。なんて、呑気な事を私は考えていた。

命がかかわるような今回のような事に対して私は恐怖心を感じていなかった。

一度死んで、心が図太くなったのかな?

女の子としては、あまり言い話しじゃないな…


「分かりました。それでは私はここで失礼させていただきます。」


フレデリックさんが礼をしてから出て行った。


「お父さん、実は…」


「よい。話しはだいたい聞いておる。」


多分、門番あたりに聞いたのだろう。でも、門番に言った事なんて、『我が家に危険を感じたので逃げて来ました』なんて感じな説明しかしてない。

今思えばよく通してもらえたものだと思う。

よくは知らないけど、身内を使ったスパイとか昔の時代にはあったんじゃないかな?

でもだからこそ、ここではお父さんとお母さんへの信頼は厚いものなんだと実感した。遥もそれを思ってか、もう怯えてはいない。


「お父さん、そうじゃなくて…」


「よい、分かっておる。」


ここまで言われると、お母さんも黙るしかない。


「咲也が危険を察知したのじゃろ?」


えっ!?


「えっ!?どうして分かるの!?」


もうすっかりいつも通りに戻った遥が、私の代わりに驚いてくれる。


「それはだな、昔の人が書いた兵法というものがある。その中に、精神伝があってな、著者は(れん)という人でな、その人は廉氏伝という書物を残し後世に役立てようとしたのだ。その兵法が今の戦でも使われており、策士の基礎として広まっておる。廉氏伝は今から800年近く前に書かれた書物にもかかわらず、今でもよく戦に使っておるな。おっと、話がずれてしまったみたいだな。とにかく、その廉氏伝の精神伝の中に、『17年の時を超え生まれしものは神と通じ、危険を察知し、敵大軍を破る能力を持っている。』と書かれている。私もわしも最初は疑って信じておらんかったが、まさかそれを証明するのが自分の娘だったとは…まだまだ人生すてたものじゃないわい。」


ふぇ?

私?

私がなんだって?


「……」


黙ってうつむいて何かたまにぶつぶつ言っている私に対して、皆が見ているが、私にはそれに気づく余地もない。


「私が何?昔の人に予知されてたって事?それとも、偶然同じ条件の人が昔に現れたって事?確かに、17年間眠ってたし、神っていえば、ナポリタンと一応知り合いって感じだし、危険を察知というのはきっと、今日みたいなこというんだろうし、でもそれなら危険を察知というのは私の能力じゃないわね。あれ?今冷静に考えてみると、どれもこれも私の才能とか全く関係なし?」


周りから見たら、変な人なのだろう。

ただでさえ独り言というのはあまり好まれるものではないのに、それに加えて急に「あぁ~、ナポリタン出て来て〜」なんて言い出した時には引くであろう。


「あれ?待ってよ、最初の3つは私の才能とは関係ないけだ、最後の一つは私の才能によるものじゃない!?そうだよきっと‼お父さんは大尉って言われるくらいなんだから私にだってそういう才能があってもおかしくないじゃん‼‼きっとそうだ!!そうと分かるとなんだか恥ずかしいな。サインとかせがまれちゃったりとか…えへへ///」



「ね、姉ちゃん…どうしちゃたの?あっそうだ‼こういうときはナナメ45°からのチョップを首に‼」


ガンッ‼


私は自分の口から何か出ていくのを感じつつ視界が暗くなっていった。


この先の展開どうしようかな?


そうだ!

この先こうしてほしいとか、こうやったらどう?とか、募集してみまーす(おい



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