病院ジャック!
今から半年くらい前に、私は交通事故にあった。
青信号にも関わらず、横からトラックが突っ込んできたのだ。
元々私はタフなので、なんとか一命を取り留めたものの、入院先の病院が無差別テロリストに病院占拠され、人質となる。
自分で言ってはなんだけど、私は頭が切れる。これは自慢だけど、IQ180だ。そこで私は考えたわけ、テロリストの気を引けば警官隊の突入を手助け出来るんじゃないかってね。その時私は、「きゃーっ、なんて妙策を思いつくの!」なんて思ってたんだよね。恥ずかしいことに。
寸分も自分の事疑わなかったから、すぐに
実行に移しちゃったんだよね…
結果は、縄で拘束される。
全く、相手にしてくれなかったんだもん。それどころか、この仕打ちだよ?酷くない?
「ねー、ちょっとさぁ、縄きつすぎて痛いんだけど。」
私は次の行動に移したわけさ。
このままじゃ、手伝うどころか邪魔者になるって思って。
「うるさい!黙ってろ‼」
「そっそんな…
うっ…ううう…」
喰らえ!必殺泣き落とし‼
ってあれ?涙でないよ?
「泣真似して助かると思うなよ‼」
あちゃー、ばれちゃったよ。これじゃ何やっても嘘だってばれちゃうな。
だから、私はとりあえず自力脱出は諦めたの。
今、「自分勝手な奴」とか思った奴いたら放課後体育館裏に来い‼
まぁ、そんなこんなで私は試行錯誤即実行を何回か繰り返してみたけど、ダメだった。
そのうち、日が暮れてきた。
そういえば、警察の動きってどうなってるんだろう?私達を助ける目処はたってるのかな?そもそも、このテロリスト達は何が目的で病院占拠なんてやってるんだろう?
「ねぇ、あなた達は何が目的なの?」
「お前にはかんけいないだろ」
「そんな事ないわよ。だって、私の親は国会議員なんだから。」
「それは、本当か⁉」
「もちろんよ!だから、どうしてこんな事してるのかいいなさい!」
嘘に決まってる。
天才の親は貧乏と相場は決まっている。
↑自分で言うのも…
「かねだよ。金。」
「へっ?カネ?」
「俺たちには、今すぐ50万円が必要なんだよ。」
なんだ、テロじゃないみたい。でも、なんで病院?
「どうして、そんなにお金が必要なのかしら?それに、どうして病院なんか選んだの?普通は銀行とかじゃない。」
「実は、俺の親と子がこの病院に入院して
てな、2人を助けるには多額の手術料が必要なんだよ。それに、病院にしたのは、もしかしたら俺はこれで捕まるかもしれない。いや、十中八九捕まる。そしたら、もう二度とこの2人を見れなくなっちまうかもしれない。だから…でも、どうしても手術料が必要だったんだ。ただ黙って死を待つだけなんて悲しすぎるから…それに、俺の子に言われたんだ。もう、まともに息出来ないくせに俺に言ったんだ。『僕の分も頑張って生きてね。』って…」
「……」
なんだか、いい話だけど私どうすればいいの?
「あはは…とりあえず縄解いてくれない?」
「グスッ、わがった。」
ちょっと、何泣いてんのよ…
私の方が泣きたいわー(いろんな意味で
バタンッ‼
私の縄をこの犯人さんがとってくれたと同時に警官隊が強行突入してきた。
「大人しくしろ!もう諦めて銃を置け‼‼」
パァン!
警官が威嚇射撃をしてきた。
こんなに簡単に強行突入や発砲していいものなの?令状主義日本カムバック!
「お前が人質としているその娘は犬養総理大臣の曾孫さんだ!今すぐ解放しろ!」
だから、令状が出たのか。それにしても、やりすぎだと思うな…というか、曾孫だってこと犯人に言っちゃいけないと思うんだけど…
「バカいうな!俺がただで返すわけないだろ‼早く現金50万円よこせ‼」
「仕方ない、発砲準備!撃ち方よぉ~い」
えっ⁉本当に撃つの⁉
「くっ、ここまでか…太郎元気でな…」
マジで、この人死ぬ気なの⁉
「発射っ‼」
私には時間が止まったように見えた。
銃弾がゆっくりと名前も知らない病院ジャックの犯人に向かって行く。
私はこのまま、見過ごしていいのか?
太郎くんがこのまま親に会えなくなってもいいのか?
そんなの、
いいわけない!
パァン‼
乾いた音を最後に私は重たくなる目を深く瞑った。