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慣れによる過信

 師匠と別れフルキォールの街へやって来て、ギルドのカードを手に入れるところまで着々とこの街での基盤作りを行ってきた私、エクレアであったが、同郷の幼馴染のお願いを断れず彼の兄がリーダーを務めるパーティーの加入する事になってしまった。


 それもで新しい街は楽しくてワクワクする、そんな私の新生活はもう始まっているのだ。


 お買い物を終え、ふたたびナナミちゃんの泊まる宿屋戻り、宿屋の亭主さんと話したところ師匠の話でまた話が弾む。


 結局、ナナミちゃんたちとは違う階の部屋を、ギルドの割引よりもっとお安く借る事が出来た。なんでも庭に出来たハチの巣を、師匠がただで取ってくくれたとの事だったが、なるほど。


 ハチの巣のあの素敵な設計は世界の神秘の触れていような感じだし、師匠にはよくある事だろう。


 それらの報告と、ノアのパーティーに所属する報告とを兼ねて、引っ越し祝いの乾パンを持って2階のあの共同のリビングを訪ねた。


 しかしそこにはもうノアは居なかった。


「お兄ちゃんたちの部屋はこっちなんだよ」とナナミちゃんは嬉しそうに案内する。いつでもノアの後をついて歩こうとする、そういうところは昔と変わらないなぁと、思いながら彼女の後を付いていく。


 ――トントン


「ノア、エクレアの事なんだけどー」


 ナナミちゃんが扉の前で声をかけると、隣の部屋からカリストさんが顔を出す。


「ノアなら、錬金術師の工房へ行ったぞ。それから……パーティーを組むなら、ギルドでの手続きをやっといてと言われた。後、エクレアに伝言『お前も、もうプロなんだから、ナナミの言うことばかり聞いてんなよ』だと、後、これ」


 そう言うと、パシッ、パシッ、っと小瓶を投げて来た。私は次々右手でキャッチする。


 両手に小瓶を持ち、「これは?」


「ウェルカムドリンク、魔力が尽きそうなったら飲めって」


「カリスト、私のは?」

「この前、貰ってただろう?」


「そんなのすぐに無くなっちゃうよ」


 それを聞き、カリストさんは首の後ろを掻きながら「うーん、それはノアには伝えない方がいい」と、少し困ったように言うと「じゃ、伝えたから」そう言って部屋に入って行った。


「もう、お兄ちゃんめ! ごめんエクレア。部屋に、その小瓶置いたらギルドに戻ろうか」


 こうして私たちはギルドに戻り、ノアのパーティーに入る手続きをしたのだった。


 ☆


 剣士ノアは、剣に魔法をまとわせて、わりとトリッキーな戦い方をしていた。彼がメインで戦うかと思ったが、メインはカリストが務めている。私は多くの魔物が集まった時、魔法を使ってすべての敵を一度に倒したり、眠らせたり、毒性の魔法で弱らせたりするのが主な仕事だった。


 ナナミちゃんは回復とか、体を強化させたりしている。


 ノアたちの受けているギルドクエストは、町外れの迷宮の魔物を1ヶ月単位で減らす仕事。倒した魔物の魔石を集め、量によってはボーナスが出る。


 毎日、毎日、初級の迷宮ウサギを倒す。朝から夕方まで戦い、終わり間際にノアが小瓶を投げて寄越すので、それを持って帰り、次の日持って行く生活をしていた。


 それでも魔力はよく無くなり、自分で魔力回復の薬を買って持って行く。良い経験をしているのだろうなと思う反面、実力不足を金銭面で補う事になるパーティーは大変家計には優しくなかった。


 ノアのパーティーに入ってもうすぐ1ヶ月になろうとしていたその日、外は小雨が降っていて皆、濡れながら迷宮へ入った。


 湿っぽい迷宮が余計じめじめして、キノコが生えてしまいそうな勢いだ。


「最悪だよー急に雨が降って来るなてさー」

「お前はう る さ い」


 軽く兄妹喧嘩が起こり、ノアは何かに聞き耳をたてるような雰囲気を漂わせる。こういう時、ノアに逆らっても目に見えて激怒する事はないが、黙り込んだり、後でひどいしっぺ返しをしそうな雰囲気があるので、みんなあえて逆らわない。ナナミも逆らう事はしないから、怒ればやはりただでは済まさないタイプなの?


 そしていつもの狩場に行くと聡神さんが居て、迷宮ウサギを狩っている。


「ノア、どうする?」

「合同で狩る? それはなら私言ってくるけど、どうする?」


 カリストさんとナナミちゃんがノアへ矢次早に質問する?


「いや、あの速さだと食い合いになる」


 そう言うと、ノアは私とナナミちゃんを見比べて、少し考えたのち「下の広場でやろう、トカゲなら雨せいで動きも鈍くなっているかもしれない」


「はーい。トカゲ楽しみ」


「ノア属性、何使うんだ?」

「水かな、いや氷にしょう多分こっちの効くはずだ。ナナミ」


 そう言って彼は、ナナミに向かって小瓶をなげた、ナナミが取り損ね私がキャッチする。それをナナミに手渡すと、「ノア、エクレアありがとう」そう言ってナナミはポケットにしまった。


 ふと顔を上げると、ノアがこちらを見ていた。「あのー何か?」


「いや……、お前のはこっち」


 バシッ、パシッノアにしては見当はずれの方へ少し行ってたが、取る事が出来てよかった。


「お前……」


「ノア、広場はここだったよな?」

「……あぁ、今日のターゲットは大トカゲだ。ここの大トカゲには毒があり、歯と爪で襲ってくる。後、何かあったような気がしたが忘れた。後、この天候だ。炎の魔法は利きが弱いかもしれない」


 私たちは小さな広場で狩りをすることにした。後ろは階段まで一本道で退路も確保でき、誰が置いているのか謎のたいまつも多く付いているので、広場全体の見通しもきく。しかし一箇所だけ広場の奥に、小さな広場がありそこにトカゲは群れをなしているようだ。順調にいけば、今の広場がのトカゲが居なくなったのち、そこからトカゲが引けるが……。


 ――うーん、正直トカゲの習性が一部未定なので、そこが怖いところではあるが、これ以上進んで挟み撃ちにされる恐れもある。結局ここが一番なんだろう。


「わかりました」

 そしてナナミちゃんの強化の魔法を受ける。


「神よ、そのお力をわが身体におろし、神の御業をこの者たちに」


 彼女がまわりに風がまき起こり、両手を結ぶ彼女を取り囲む、私たちのまわりにも風がまき起こり強化魔法のかかった事がわかる。


「では、始めるが、今日は新しい場所だから逃げる時はそれを知らせてくれ。必ず、ナナミから逃げてくれ。じゃ、行くぞ」


「「はい」」


 ノアの第一声で始まる。


「凍てつく刃!」


 ノアが剣を振り下ろすと冷たい波動が、トカゲに当たり体の一部をパリ、パリーンと氷つかせる。それにより怒り狂ったトカゲがドドドッドドドドと音をたててこちらへと走って向かってくる。


 最初は一匹、一匹ずつ確実に倒していたトカゲ、しかしその動きは慣れた二人によって倒すスピードが速くなってくる。


 そしてそんな時、不用意なミスも起こりうる。例えばそれぞれ相手をしているトカゲに、新たな3匹目が気づき、やって来てその場で、ノアの足を噛んだ。


 そんな事も――……。


「お兄ちゃん!?」彼女の悲鳴にも似た叫び声で、遠くに居たトカゲたちが一斉の頭を上げる。


「ナナミちゃん早く、回復して撤退しょう! 向こうの集団がこちらに気付いた」


「どうしょう……魔力が尽きたみたい……」

「うそ」私は慌てて口を閉じた。後衛に向かって来る危険はこれ以上避けるべきだった。


「いいからこれ飲んで」彼女もまだ持っていたかもしれないが、ノアの小瓶を私が出す方が早い。それを彼女の手に握らせると彼女は、震える手でそれを開けようとする。


「俺はいいから撤退してくれ、すまんカリスト肩を貸してくれ」

「わかった」


 こうして私たちは撤退することとなった。階段までは遠く。新たな敵が迫り来る確信を感じながら……


 続く




見てくださりありがとうございます!


またどこかで~。

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