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新米魔女の初めての冒険者ギルド

初めましての方、初めまして、初めてではない方いつもお世話になっております。

継母と王子、現在進行中の連載の今の章と、テーマがかぶっている事をプロット作って、エピソード書き始めてから気づきました。そんな話が好きかもしれない。って理由で誤魔化したいと思います。


 魔法大国ラクアノール、軍事国家イグリオン、そして我が国、牧歌的なクロドール。このクロドールが2つの大国に挟まれ平和的に暮らせるのは、2つの理由がある。


 1つ目が、2つの大国の力が今のところ拮抗しているおかげ。2つ目が、クロドールが力を入れている政策として冒険者ギルドの運営が、魔物を討伐する事によって無限に出てくる金鉱を掘り当てたほどこの国の資金源となってきている。それと同時に屈強な冒険者も手にいれつつある現状だ。


 本当は3つ目もあるけど、ここで割愛して……。


 グロドールの国内で、冒険者ギルドで一番有名な街フルキォール、そこから馬車で約1日の距離に魔女の森と言う大森林が、人の手を拒みひっそりと生い茂っている。


 そして魔女の森の奥深くには魔女の住処があり、魔女ギアール住んでいる。


 彼女のもとにへ、うちの里からの紹介で私ことエクレアは3年前、13歳で弟子入りした。


 そして魔女の修行中の私は、師匠からの新しい修行として冒険者ギルドに所属し、冒険者の黒魔術師として3年間の実践訓練を積むことになった。


                 ☆☆


 とにかく一昨日の夜、お風呂上がりの師匠が真っ裸で、「エクレアはこれからしばらく実戦に出て貰います。3年後に、ラクアノールの魔女の住処にいる予定だからいらっしゃい」と、言った。


 「あぁー!?」

 思わず、驚きのあまり洗面台に作ったばかりの化粧水を落とし、3分の1が減ってしまった。


 「大丈夫? エクレア、気を付けてね」と、師匠はいつもの調子だったので、その時はなにかの冗談か、聞き間違えかな?ってと思っていたけど……。


 けれど次の朝、師匠のラクアノールの魔女の住処の書かれた地図とともに、師匠のお手製の保存のきくチョコクッキーとプレーンクッキーが皿の上にあった。


 冗談じゃなかったのですね。と、そう思い、机の上のお皿にきれいに並べて置いてある師匠のクッキーを一枚だけ食べた。


 「美味しい……」


 いつもながらサクサクとして甘さが丁度良くてプレーンクッキーだけど、とても美味しい……これが一年も食用可能なんてまさに夢のよう、魔法だけれど……。

 

 それにしてもしばらくクッキーや魔法の道具を、てきぱきと作る師匠を見ることが出来ないのね……って思うと、少し胸がしめつられるような気持ちになる。


 でも、私はそんな気持ちと、残ったクッキーをがぶって食べて、私は出発の準備をする。


 そして新しい魔法を、迎えに行くの。


          ☆☆

 

 4月の今、春の風はまだ冷たい、新天地、フルキォールの街へと魔法使い見習いの私は、絨毯生地の旅行鞄と樫の木の杖を持ってやって来た。


 庭先の若葉の緑が、まだ控えめに辺りを染めている。長い枝を湾曲させてさしただろうアーチの門をくぐると、久しぶりの人の平凡で穏やかな暮らしを見ることが出来た。

 

 庭先に置かれた鉢植え、ポスト、寝っ転がっている白いわんこ。


 魔女の住処の自然は自然だけれど、一生懸命にある意味、生活や研究、栄光、成果を目標にして作るのでどうしても、頑張ってます。自然であろうする意思みたいなものがでる。


 だからこの街並みに、私が溶け込んだ時、風景の中の誰かが育てている庭先の花たちや街路樹。植物たちが風景と溶け合って、人の手から自然にかえる途中の独特な美しさがそこにはあって、私の気持ちを懐かしさみたいなもので満たしてくれる。


 魔女の住処では、見る事の出来ない風景……。そして魔女の住処で花々が、普通の家の美しさを保ってたら魔女の住処ではなく、魔女崩れって立ち位置になると思う。もしくは魔女がご臨終なされているか……。

 

                  ☆☆

 

「ギルドかぁ……」

 

 ギルドのジョッキの絵の看板が、今日の強い風に吹かれてゆらゆらと揺れている。


 『ギルドは大通りをひたすらあるけば、そこにある!』これは冒険者として出ていく者の多いうち里ならではの生活の知恵みたいな言葉だけれど、言葉通りに看板はあるにはあったのだが、中はレストラン。レストランの右側は衝立(ついたて)あってその裏にあるのしら? うーんと考えると扉が斜めになる。


 このままここに居ても仕方がないので、体を戻し、冒険者ギルドの扉を押し、中に入った。


「いらっしゃいませ~」そう言った可愛い制服のウェートレスさんが、くるくると忙しそうだに動き回っている。


 運ばれているパンのお腹の減る匂いと、食欲をそそる小麦色、そして一緒に運ばれる飲み物の注がれたコップにはいろいろ飲み物があるのか色とりどりだ。


 そばへとやって来たウェートレスさんに、「ギルドのカウンターってこの奥ですか?」と左に置かれているレジスターの向こうの衝立を指さし言った。


「はい、そうです。お客様は冒険者ギルドは、初めてでいらっしゃいますか?」彼女はとびっきりの笑顔をで言う。


「はい、初めてです。新米冒険者のエクレアです。よろしくお願いします」


 私は、彼女にお辞儀をすると、彼女は「マリーネです。これからよろしくね」と、ふわふわのブラウンの髪の可愛らしい彼女は、右足を下げ、スカートを左手で親指と人差し指でちょっとつまんで可愛くお辞儀をした。


「わぁー」


 ――思わず声が漏れる。凄く、可愛い! 私の目指すべきだったのはこっちだったかも……? 思わず、そう思ってしまう。


「冒険者ギルドに新しく登録すると、ウェルカムドリンクのサービス券が貰えるから是非使ってくださいね」


 そう言って笑顔とひらひらと揺れる手の振り方、どっちもとっても可愛い! 可愛いさだけを残して、彼女は玄関の対面にある出入り口へと入っていった。


 あの出入り口は厨房とつながっているのかな? お皿を運ぶウェートレスさんがひっきりなしに行き来している。


 レストランの奥側の壁には、お酒の瓶がずらーっと並んだ棚が見える。その手前に備えつけられているカウンターには、昼の今は細身の清潔感ばっちりなウェイターさんがコップを拭いていた。


 そしてウェートレスさんやって来て「お願いしまーす」と言って注文票を置くと、コップを置きオレンジジュースをつぎだす。どうやら私の視線に気づいたようで、素敵な笑顔で笑いかけてくれた。


 けれど返す、私の笑顔は何となく、ぎこちない感じになってたような気がする……。


 このギルドだけでも里とも、魔女の住処とも違う、洗練されたたたずまいを感じる。


 ――うん、私が田舎者なだけなのかな。って顎に手をやり考え……、よく考えたらキョロキョロしてたり、いちいちうーんとか考えてるのって凄く田舎者ぽかったかも。そこで、ハッと気づく頭を抱える前の手を、さっと首に添えてスリスリと擦る。……癖ぽく誤魔化せただろうか?


 緊張しつつレストランと厨房を分ける壁とレジスター間の円形の人が5人ほど座ればそうなソファの横を通り抜けると「エクレア?」少し不安そうな聞き覚えのある声がする。目の前に木で出来た背もたれの付いたベンチを見ると、里で仲が良かったナナミちゃんが白い聖女様の様な恰好でこっちを見ていた。


「ナナミちゃん久しぶり、えっ、もしかしてこの街に住んでいるの?」

 久しぶりの再開に、すごく嬉しくなって、私たちは手と手を取り合い少しピョンピヨン跳んだ。


「うん、お兄ちゃんと2年くらい前からかなー? ここで住んで冒険者やってるよ?」


「えっ、ノア?」私は気を抜いていたので、あからさまに、声に不快感が混ざってしまってハッとする。


「そう、ノアお兄ちゃん、エクレアは相変わらずノアの事に苦手だねー、そういうのは良くないと思うよ。お兄ちゃんはエクレアに嫌な事言ってないでしょう?」

 

「そうなんだけど……」

 

 確かに、嫌な事は言われてはいない。ノアは有能で、里の当主の息子だけあって彼の年頃の子どもは皆、ノアを崇拝していた。ノアに気に入って貰えるように努力する。その姿勢を大人たちは褒め称えもしていた。けれど……。


 ノアは人を選び付き合うところがあるから、1つ年齢が違って、彼らの輪かから外れてみると、その様子はノアのまわりにいる者のように手放しで素晴らしいとは言えな面が見えていたのだ。


 けれどナナミちゃんはそんなノアに付いて行き、そして私はそんなナナミちゃんの横に付いて歩いた。


 そんな3人が、里から遠いこの地でふたたび出会う事に、因縁めいたものを感じずにはいられない。


   続く


見ていただきありがとうございます。


またどこかで。

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