表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチのギルドマスターが可愛すぎる! ~一流ギルドから不当に追放されたら超弱小ギルドにスカウトされたので、ちょっと復活させてみます~  作者: 抑止旗ベル
1章【エル・プルート】始動編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/42

13話 絶賛ギルド改装中ー1


 それから数分後、第七通りの外れにある【エル・プルート】が本拠地を構える道路にて。


「すご……」


 生まれ変わったギルドを見た瞬間、エデンの口から思わず声が漏れた。


 外壁は落ち着いた紺色に塗り替えられ、窓は新品に取り替えられている。


 それだけでも十分見違える出来なのだが、加えてもう一つ。


 ギルドの入り口には【エル・プルート】と刻印されたプレートが取り付けられている。


 アイシャが守り続けたギルドの証――それがようやく日の目を見る時がきたのだ。


 その技術に感動しつつ、エデンはギルドの入り口で多くの大工に指示を飛ばしている人物に話しかける。


 肌が茶色に焼けている壮年の男性――戦闘の直後にエデンの肩を叩いたのは彼だ。


「どうもこんにちは」

「おお兄ちゃん! もう動いて大丈夫なのか?」

「ええ、どうにか。それにしてもすごいですね」

「なぁに、俺達にかかりゃ楽勝よ! もう一階の工事は終わってるぜ。家具なんかも入ってるから見ていきな。おーいお嬢ちゃん! ちょっとおいで!」


 その威勢のいい声とは対照的に、控えめな声色がギルド内から返ってきた。


「ブラオさん。お嬢ちゃんって呼ぶのは恥ずかしいからやめてください。私は……あ」


 ギルドから姿を現した人影はエデンに気付くと言葉を失った。


 その表情は、目を見開く驚いたものから嬉しそうな笑顔に変わり、少女はそのまま駆け寄ってくる。


 そして。


 ぎゅうっ、とアイシャはエデンに抱きついた。


「エデン! エデンだぁ……!」

「久しぶりだなアイシャ。心配かけてごめん」

「うぅん。無事でよかった。魔力切れで寝込んじゃう人は普通二、三日で元気になるはずなのに、エデンはそうじゃなかったから……アイシャ本当に不安だったの……」

「あー……一回切れると貯まるのが遅い体質なのかもな」


 そう言うと頭の中で括弧から『使用者の魔力量が常人より多いためだと推測されます』という横槍が入ったが、エデン以外には聞こえていないのでスルーする。


「それにしても驚いたよ本当に。寝てる間にこんなことになってるなんて、やるじゃないかアイシャ」

「ア、アイシャは何もしてないよ? みんなが助けてくれたから、こうやってギルドが新しくなってるの」

「いやいや、ここの指揮はお嬢ちゃんが執ったようなもんじゃねえか。兄ちゃんがせっかく掃除してくれたから、全取っ替えでリフォームするのは嫌だって言ってな」


 ガハハ、と笑いながらギルドの裏手に回っていくブラオ。


 アイシャはそれを頬を膨らませて睨んでいる。


「もう、ブラオさんはホントにもう……行こうエデン、一階のギルドスペースを見に」

「ああそうだな。それじゃあ……えっと、そろそろ離れてくれないか?」


 と、エデンはアイシャに提案する。


 再会を果たしてからずっと、話している間もずっとずっと抱きつかれたままだったのだ。


 しかし。


「イヤ」


 そんな答えが返ってきた。


 以前のアイシャからはおおよそ予想もできない返答だったので戸惑うエデン。


「は、離れないと二人とも歩きづらいだろ?」

「アイシャ寂しかった。毎日寝ているエデンに声を掛けて、今日あったことを話しても……何も言ってくれなかったから」

「アイシャ……」


 長い間一人だった少女は、エデンに出会って再び人と関わるようになった。だが、その矢先でもう一度孤独になる悲しみをチラつかせてしまったのだと、エデンは気付いた。


 アイシャの頭を優しく撫でながら――彼は言う。


「大丈夫だ。もう絶対アイシャに寂しい思いをさせたりしない」

「……ホント?」

「ああ、約束する」

「じゃあ……手、手を繋いで。これはギルドマスターの命令です」

「了解。仰せのままに」


 差し伸べられたアイシャの手を握り、優しく引いて、エデンはギルドへ入る。




ここまで読んでいただきありがとうございました!

★5をいただけると作者の励みになりますので、もしよろしければぜひ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ