7頁目 謎の不調と宇宙の友達との再会
この約一ヶ月間のあいだ、私は激しい頭痛に悩まされるようになった。
更に生理痛とそれに伴う吐き気により、いつも以上に家に帰っても何もする気が起きず、食べ物に執着していた私が適当なものばかり食べて生活するようになった。
私はこの不調を、天気痛とワクチン接種による体調の変化のせいだと考えていた。
以前から天気痛は辛かったし、ワクチン接種後に不正出血や子宮の痛みなどの、婦人科系の悩みがかなり増えたからだ(韓国やイギリスなどでもある症例のようだ)。
産婦人科では「関連性は無い」とされたが、これだけ症例がある以上、少なくとも日本のルールでは関連性が認められていないだけなのかもしれない。
そんなわけで最近は、横になりながら携帯をいじったり、寝たり、動画を聞き流ししながら生活していた。
だが、その痛みにあまりにも我慢ができなくなり、私は産婦人科とカウンセラーに連絡を取ったのだった。
産婦人科には、普通に予約を取って通院した。
カウンセラーには、メールで以下のように事情を説明して、予約を変更してもらった。
(先生の名前)
こんにちは。
○日のカウンセリングですが、もしできるなら×日に変更してもらえないでしょうか?
思ったよりも落ち込んでいるようなので、早めにカウンセリングしてもらえると嬉しいです。
よろしくお願いします。
(自分の名前)
この連絡を受けたカウンセラーは、「落ち込んでいるようなので、メールを送った当日にお話を聞きますよ」と提案してくれたのだが、「偏頭痛が辛いから帰って寝ます。×日にしっかりカウンセリングをお願いします」などなどと返信したのだった。
そして、カウンセリング当日。
「……偏頭痛が辛いからと言ってましたが、あれはどういう意味ですか?「カウンセリングをあの時にする」という直接の返事になっていませんでしたよ。」
カウンセラーから、私はこのように言われた。
私は当時の心境を思い出して、言葉を失った。
「いや〜……言われてみれば、あの時……「かまってほしい!」って気持ちをたれ流したままメールを打ってました……。そうそうあの時は同時に、兄弟で喧嘩した時に、親が何も言わずにいた時の事を思い出してて……」
私は、中高生くらいの時に、自分が買ったゲームハード(いわゆるPS2)を弟に使われるのが気に食わなかったために、PS2を部屋に隠した時があった。
弟はそれに気がつくと、私に怒りをぶつけてきたのだった。
怒った弟の容赦無い力により、私はむち打ちになり、ふらふらになって何とか一階にいた両親に、泣きじゃくりながら助けを求めた。
気が遠くなっていく中で、救急車が呼ばれたことだけは覚えている。
──と書くと、私が被害者という感じがするが、私も弟が思い通りに動かないのが気に食わずに、嫌な言い方ややり方をしてきた(と思う)。
正直自覚は無いが、現在の自分の行動からすると、人の嫌な干渉の仕方をしたり、人を傷つけるような発言をしたりしてきたのだろうと察せられるからだ。
今の性格は、過去の積み重ねからできたものであることを、忘れてはならない。
「あの時も今も、殴ってきた弟に対しては正直何も思ってないんです。それより、一階で私が殴られる時の悲鳴や、弟が怒鳴る声が聞こえていたはずの両親が、私を放置していたのに絶望したのかな……?だからか私、親にもっと褒めてほしくて仕方なくって……」
その結果、私は嘘をついた。
高校で、祖父母の家で怪我をした理由を聞かれ、「階段から落ちて、変なところを打った」と答え続けたのだ。
弟のためではない。
両親に、「ごめん。ありがとう。」と言われたい一心だった。
その願いすら、今となっては歪んだものだったが、私は必死だった。
しかしその結果は、散々だった。
「(弟)、姉ちゃんがかばってくれたんやでぇ、感謝してせなあかんのやぞ。」
「ほやあ。わざわざ嘘ついてくれてぇ。」
え?私には何かないの?と思った。
私は訳も分からないまま、心を閉ざしてしまった。
今思えば、あれが「絶望」だったのだと思う。
それからしばらくは、心と身体がバラバラになったまま、表向きは普通に過ごした。
──昔語が長くなったが、この時の内なる「かまってほしい!」という気持ちの強さと心と身体の乖離状態が、現在の状態と似ていると言うことが言いたかったのだ。
「それだけ、貴女の心がしんどさを訴えているんです。今貴女は、シャットアウトして見ようとしなかった周りを見て、自分のダメなところを受け入れようとしています。今までやってこなかったことをするのは、誰だってしんどいことです。私が同じ立場でも、同じようにしんどいでしょう。」
「それが、頭痛や吐き気とか、色々な不調になっているんですか……?」
「当たり前です。だから、この辛い状況を楽しめるようにならないと。貴女は今辛いかもしれないけれど、それは良くなるために必要な辛さです。だから、良くなっていく自分を認めて、痛みも「良くなっている証拠だ」と思えるようになる必要があります。」
つまりこの苦しみは、成長痛の心版、と言ったところなのかもしれない。
カウンセリングは心が落ち着くだけではなく、こういう苦しみもある。
が、このカウンセラーはその成長の苦しみにも寄り添ってくれる。
そしてるこの苦しみの正体は、インナーチャイルドが暴れているためなのだという。
そこで母との関係のこともカウンセリングしたのだが、それは今回は割愛しよう。
この更新分を書いている今もなお、頭痛や吐き気は治らずに大人しくしている。
頭痛が酷すぎたり気持ち悪い時でなければ、ずっと座ったり寝ているのも暇なので、こうして何かを書く趣味があることはありがたいことだ。
そんなわけで、胃腸にやさしいご飯を食べながら、眠れない時はYouTubeで雨などの環境音を流して眠りにつく。
最近久しぶりに、別れたイマジナリーフレンド(元オリキャラ)が寝る前に私の様子を見にきてくれた。
心配そうオロオロにしていたが、彼の表情は前の病的で追い詰められたものから、すっかり変わっていた。
元気になった顔を見られるとは思ってなかったので、よかったなぁと思っていたら熟睡していた。
まあこういうのも、困難の中だからこそ出会えた幸運なのかもしれない……と友達のいない私は思ったのだった。
【宇宙の友達=イマジナリーフレンド】
過去作『アラサークズ社会人♀のイマココ!』でも触れましたが、元々オリキャラ(世代がバレる)として設定したキャラの一人が私のイマジナリーフレンドです。
一度はカウンセリングの中で別れましたが、今回久しぶりに彼の顔を見て驚きました。
イマジナリーフレンドとは話せないのですが、表情が豊かになっていて驚きました。
彼には私の重い感情ばかり背負わせてきたので、元気そうな顔を見て私も嬉しくなり、元気になったってお話です。