もっと甘えたい
ある日の夜、私は女神様の所に来るよう言われました。
私は女神様と天使がじゃれあっているのを見て、うらやましいなと思いました。
「アカリ、トイレに行ってきた?」
「うん、ちゃんとトイレでだしてきたよ」
「よし、いい子ね」
「ねぇ、ママ。話ってなあに?」
「アカリ、なんで、この前、失敗しちゃったと思う?」
「失敗って?」
「お布団に地図描いて汚しちゃったでしょ」
女神様は笑いながら言いました。
「でも、なんで失敗したんだろう?夜、寝る前にちゃんとトイレに行ったのに」
「なんで失敗しちゃうのか、知りたい?」
「うん、知りたい」
「私はお姉ちゃんだから甘えちゃいけない、でも、ほんとはもっともっと甘えたいよぉ〜って、あなたの心はそう思ってるでしょ?」
私は驚いた。
私はお姉ちゃんとして、お姉ちゃんのように振る舞ってきた。
でも、女神様は私の心の内を分かっていた。
女神様は私の心の中を見ていた。
女神様の前では私は丸裸同然だった。
「はい」
「やっぱり、そうだったのか」
「ごめんなさい」
「えっ、なんで謝るの?」
「だって」
「アカリは子供の義務を果たしていませんね」
「子供の義務?」
「そう、親に甘えるのも子供の仕事だよ」
「甘えていいの?」
「当たり前じゃない。甘えたい時はいつでも甘えなさい、ほらおいで」
「でも、それじゃあ、弟君がかわいそう」
「ふ〜ん、たーちゃんのことは大好きなのに、私のことは嫌いなんだ」
「違う」
「だったら遠慮しないで、どんどん甘えなさい」
「ありがとう」
私は遠慮しながら甘えました。
「こら、遠慮してるでしょ」
「してないよ」
「もー、たーちゃんは私にも甘え、アカリにも甘えて子供としての義務をしっかりと果たしているのにアカリは子供としての義務を果たしていませんね」
「でも、もうお姉ちゃんだし」
「アカリは勉強、お手伝い、たーちゃんのお世話をしっかりやって、どの子よりも真面目に頑張っています。だから、アカリにはたっぷり甘える権利があります。」
「え〜、照れちゃうな」
「子供は適度に頑張り、思いっきり甘える義務があります。そして、アカリはまだまだ甘えん坊です。なので、アカリは積極的に思いっきり甘えましょう」
「でも」
私は少し遠慮した。
「も〜、言うことが聞けない子はこうだ!」
女神様は体のあちこちをこちょこちょしました。
我が家の天使も便乗してこちょこちょしました。
「あ〜、やめてー」
「どうだ!まいったか〜」
「まひりました〜」
「さあ、おいで」
女神様は温かく私を受け入れてくれました。
「ん〜、ママだいちゅき〜」
私は思いっきりスリスリしました。
「よしよし、いい子、いい子」
女神様は優しくなでなでしてくれました。
私は嬉しくなり、満面の笑みを浮かべました。
「ん〜、さいこ〜」
「あらあら、甘えん坊にもどっちゃった」
女神様はとても嬉しそうでした。
「たーちゃん、だいちゅき〜」
私は我が家の天使である弟にも甘えました。
「あ〜、赤ちゃんが二人いる〜」
「ばぶ〜、まぁまもだいちゅき〜」
私は抱きついて、思いっきり甘えました。
少しずつ大きくな〜れ。