成果主義かつ、地域コミュニティが崩壊し、性病対策が容易な現在では一夫多妻のほうが有利
さて、”意外と現在の地球でも一夫多妻は珍しくないらしい”というエッセイで、現在における地球でも、一夫多妻が認められている地域は決して少なくないということを書きました。
これはWIKIの一夫多妻の項目を見てもらってもわかりますが、実際にアフリカから中東、東南アジアまでは、イスラム教徒であればという条件が付く場合も多いですが、ほとんど一夫多妻が可能だったりします。
また、あくまでも国としては認められていないというだけで、中南米やユーラシア、オーストラリアやカナダなどの狩猟民族も一夫多妻が多いようです。
では、イスラム教のハーレムの背景には戦乱で男性の死亡率が高く、女性の生計を立てる手段が少ないため未亡人救済のためという理由があったとして、その制度がなぜ長く残ったのかイスラム教の関係ないアフリカやその他の狩猟民族でも一夫多妻制度が多いのはなぜなのかですが……。
おそらくはですが、一つはヨーロッパや中国などの牧畜・農業中心の平等主義社会と、アラビアのムスリム商業中心主義や狩猟生活の成果主義社会の差ですね。
ヨーロッパや中国などのような農業や牧畜で生計を立ている場合は、一人でできることは限度があるので同じ面積の土地の所持者であれば、実質的な財産の多さなどはほぼ変わりません。
さらに基本的には親の職業を子供が受け継ぐのが普通でした。
一方、商人や狩猟民族にとっては、日々の商売や狩りの結果が、個人の才能・能力によって大きな差がでます。
なので、庶民の多くが農業や牧畜で生計を立ている場合は十分、一夫一妻制が成り立ちますが、商業や狩猟で生計を立ている場合は、財産の多さによって配偶者の数を変えた方が合理的ということになります。
さらに近年は地域コミュニティの縛りが弱くなり、親の職業を受け継ぐというのが普通ではなくなり、自分や配偶者の職業の選択肢が増え、産業の割合もサービス業が大きく増加しているため成果主義が成り立ちやすくなっていますね。
さらに現在は娯楽も多様化しているので性行為よりも楽しいことはいくらでもあるので、恋愛や結婚をして性行為ができるようになりたいということを、人生のモチベーションにする理由も低下しています。
例えば男女が20人ずつ合計40人ほどいて結婚して子供を産むのが13組で、男女1人ずつ2人の子供を産んだとすれば、子供は26人、男女で13人ずつしかいないのでどんどん子、子供が減っていくというのが、現状の先進国の少子化の原因です。
そこで一夫多妻を取り入れて一番財産を持っている男性が妻を4人もってそれぞれ子供を2足りずつ生んだ場合は子供は32人、男女16人ずつということになります。
しかもイスラム教徒の女性は1人当たり平均で3人の子供を産みますので、16人の女性が3人のこどもを、男女バランスよく生んだ場合は48人、24人ずつの男女になり、人口は増加することになります。
たとえば、コミックレンタルで置き換えて考えてみれば、人気の鬼滅の刃のコミックをたくさん取り揃えているのがイスラム式一夫多妻。
鬼滅の刃も他の人気漫画も一冊しか置かずに、その代わりに伝説的打ち切り漫画のコミックも一冊ずつ多数取り揃えているのがキリスト教的一夫多妻と思ってください。
人気の鬼滅の刃が多くの人が読めるのと、鬼滅の刃を誰かがすでに読んでいたら、残りに人は読めずに残っている漫画は不人気な打ち切り漫画だけなら、別に読まなくいて、いいやとなるでしょう。
たとえば、なろうの投稿作品を人気があっても好きな人数が読めるのが、イスラム式一夫多妻。
人気の作品を誰かが読んでいたらもう読めず、強制的に人気のない作品を読まされるのがキリスト教的一夫多妻。
この場合もてない男や伝説的打ち切り漫画、なろうに投稿された人気のない作品の作者の救済というものを一切考えずに、女性やコミックレンタルユーザー、なろう読者にとっての満足を考えれば、全体的な利益は一夫一妻制のほうが高いということになるのですね。
なので成果主義かつ、地域コミュニティが崩壊し、性病対策が容易な現在では一夫多妻のほうが有利となるわけです。
ちなみに農耕や牧畜を始めた人間が一夫一妻になったのは、一人あたりが持てる財産の差の少なさと、大きな集団で一夫多妻を行うと、感染症で集団が大きなダメージを受けるからというのも理由としてあったようです。
小規模な狩猟民族社会では現在でも一夫多妻が多いのはそういったことも理由なようですね。
ちなみにゴリラは一夫多妻ですが、リーダー以外のオスでも、年を取ったオスにも必ずメスパートナーが出来るようで、その理由はリーダーのもとにたくさんメスが集まると軋轢が強くなり、それに嫌気がさしたメスは、ほかのメスの影がない1頭でいるオスのパートナーのほうが楽だと考えるようです。
結構人間社会もそんなものなのかもしれません。