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第8話 激戦①

「ふむ、まずは小手調べじゃ」

そう言って、剣聖は、上下の斬り込みからの斜め二本、そのまま続けて八連突きを放ってきた。


私はそれを余裕で、受け流す。

「効かないですので、もう少し早めてもらってもよろしいですか」

「うむ、分かった」


私の武器はレイピア、それに対して、剣聖と名乗った人は、片手剣。けれど、ふつうの片手剣とは違う。明らかに業物。それに剣聖さんの技量がすごい。一呼吸だけでここまでの連撃を放ってくるとは。私が挑発した後もさらに早くなったし。どれだけ鍛錬したんですかねー。だけど、



私は、隙を見て、腹部の右側に打ち込みを入れる。

「っふ!」

「ほー。よく見とるなぁ」


確実に決まったと思ったその突きは、見事に受け流された。


「むぅー」

「ほっほっほ。可愛らしい声を出すんじゃなお嬢ちゃんは」

「お嬢さんじゃないです!私は二十代です!!」


「ほー。そうなのか。けど儂に比べたらまだまだ童」

そう言って、剣聖はさらにスピードをあげてきた。


上、下、斜め、切り返し、斜め下からの三連突き。そのまま腕を上に持ってきて、それ繰り返し。

けれど、一回一回繰り返すごとに、またさらに早くなってきている。そして、


「!!」

動きがいきなり変わった。それにコンマの単位で私は少し遅れてしまった。

「もらうぞ!」


「いーや、まだです!」

そう言って、私は瞬時に何層にもなっている氷の盾を生み出す。


ギィィィン。硬い氷と剣がぶつかる。

「ほぉ」

剣聖は笑った。実際は仮面をしていてわからないが、笑ったような気がした。


私は大きく後ろに跳躍し、一息ついた。

「ここからは本気で行きます」

「いいだろう。来るがよい」


そう言われたので私は氷の槍を自分の背のところに8本生み出し、すぐさま剣聖さんの方に向かって放つ。

「ふむ」

そう言って剣聖はすぐさまそれに反応して撃ち落とす。


しかし、剣聖は気がつかなかった。なぜなら、氷の槍を斬り壊した時に生じた冷気が地上との露点に達して、霧が生まれたことによる視界の遮りによって。見えなかったのだカノンの動き出しを。


「!?」

仮面の下で驚いている気がする。私は剣聖の死角であった、真上からレイピアを振りかざす。

獲った!っと思った。しかし、実際は違った。


「………リヴァイアサンよ。放て」

そう呟いた瞬間!私の目の前に水の塊が生み出された。

そしてすぐさま爆発する。


この一発だけで私は、相手の位置がずれたことに気がつけず、真上からの奇襲攻撃は失敗してしまった。

私は一時体制を立て直そうとするために、また後ろに跳ぼうとする。


しかし、

「あ、、、あれ?なんで、なんで体が動かないの…」

そう、原因は不明だが、いきなり体が動かなくなったのだ。


「それは儂の魔法のせいじゃよ。。。先ほどの魔法で、嬢ちゃんの動きを止めさせてもらったわい」

そう言って、私の方に近づいてくる。


「…どうしようか。体は動かない…敵は残り1人…。なら切り札使おうかな」

そう私は小さく呟いて、瞬時に今ある魔力を全て体内の一箇所にあつめる。


「!?」

剣聖は異変に気がついたのか。すぐさま反応して、私の方に剣をかざす。だが、

「もう遅いです」


そう私が呟くと、私の胸のあたりから白い、光り輝くものが広がって行く。

これがカノンの氷魔法最大の威力を誇るもの、それは。


絶対なる氷の世界グレイス・アブソリュート!」

その輝かしい光は、あたりを照らすように広がっていった。

その時私の中に、ふと、昔の記憶が広がってきた。



これは、もう何年も前、私はとある国の辺境で生まれたのだった。そこではみんな、活き活きと暮らしていた。家族も、世話をしてくれていた人たちも、みんな私を愛してくれていた。私はこの生活がずっと続けばいいのにと思っていた。


しかし、そんな楽しい生活は突然に終わりを告げた。

ある夜のことだった。私は、その日の朝から父の手伝いをしていて、疲れ果てて眠ってしまった。

起きると、扉の向こうから、父が怒っているような声が聞こえてきた。


「娘を今更返せだって!?どのツラ下げていっているんだ。あの子はもう王族ではない。私たちの子だ!」

「いえいえ、たとえ一度手放したところで、王族には変わりありません。すぐに出していただきましょうか」


私は混乱した。私はここで生まれた。王様が住んでいるところで生まれてなんていない。けれど、父の話し相手は太っていて、服装やらで、いかにも身分が高そうな人だ。その後ろに何人も武装した騎士がいる。何より、父がもう、と言っていた。と言うことは、今の家族は本当の家族ではない?


悩んだ結果、私はそのことを確かめる為に扉から出て行った。

「!?なぜ出てきたんだ!」

怒ってくる父。それに対して太っといる人は、

「これはこれは、王女殿下。お迎えにあがりました」

と言ってきた。


私はもうわからなくなった。しかし、ひとつだけ確かなことがあった。

「私は王族ではありません。この地で生まれた一般人です。貴方の言うことには従いません。お引き取りください。」

私はそういった。父は笑顔でこちらを見て、さらに弁論した。


その次の瞬間だった。急に太っていた人が、

「こいつら、私が、この私が自ら言ってやっているのに従わないなんて、不敬罪だ!全員殺してやる!」


「まずい。逃げろ!」

父が私に言った次の瞬間。剣を持った人が私の父を後ろから斬ったのだ。


私は目の前が真っ黒になった。

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