第7話 気配
僕とカノンは地下室に移動してきた。
「そーいえば、お師匠様、イウリちゃんはどこに行ったのですか?」
「あぁ、イウリはね。今回の戦争を帝国の方か見る為に帝国の地方の都市に行ったよ。聞いてなかったの?」
「はい、私の共和国にある家の机の上に手紙が置いてあって、「ししょーをおねがいします。」って、書いてあっただけで、詳しいことは知りませんでした。」
「そうなのか。まぁ、仕方ないよ。イウリも急いでたんだよ。多分」
「イウリちゃんって、顔に出ませんからねぇ。。。」
「そうなんだよ。まぁ、僕は魔法で相手の気持ちが伝わってくるんだけどね」
「えー!?お師匠様そんなことできるんですかー?」
「うん、最近できるように魔眼を改造したんだよ。あと、嘘も見抜けるようにしたんだ。それでもイウリだけは100%を見抜くことはできないけどね」
「…お師匠様、、、物は相談なのですが、、、、」
「うん?なんだい?可愛い弟子の頼みならば、僕はなんだって聞くよ」
「私にも魔眼を下さい」
「それはダメ」
「どぉぉしてぇぇ」
と、カノンはひどくがっかりした。
自分の目を魔眼にすると、それなりのメリットもあるが、デメリットもある。
例えば、制御できないと、暴走することがある。この時の暴走は、勝手に魔眼が魔力を使って魔法を放ちまくるのだ。それで周りに被害が出る。
ほかにも、つけると、鍛えなければすぐに疲れてしまう。魔眼はつけているだけで、魔力を使うのだ。
あとは普通の人に見られると、何気に困る。僕が昔あった例を挙げるとするならば、夜に気を抜いて、魔眼の制御を怠ったために光っている状態で行動していて、それを見た一般人たちが僕に敵意を向けてきたのだ。
カノンにはそんな目に合わせたくないが為に僕はそう言ったのだ。しかし、それだけの理由で言うだけでは無理やり通されると思う。なのでぼくはこんな言い訳をした。
「あのねーカノン、魔眼になるとね」
「はい」
「……僕が悲しむ。カノンのその蒼い目は好きだからね」
これぞ好手。超絶僕崇拝のカノンには僕が…と言う言葉をつけたならば、絶対にそれを無視できなくなる。
「…わかりました」
「うん、物分かりが良くて助かったよ」
「今はまだ、です。」
「ん?カノンどーゆーことかな?」
「言った通りの意味です。私は今、任務中なのでお師匠様のことですから、私の仕事に支障が出ないようそのように言ってくださったのですよね」
うん、違うけどね。
「なので、今の仕事が終わったらお願いします!」
と、今度は上目遣いで僕を見てくる。
「ま、、まぁ、考えとくよ」
イウリ、僕はやっぱり君がいなくちゃダメみたいだ…
「それで、、、お師匠様今日のご飯…」
カノンはそこで言葉を止めた。
「ん、気づいた?」
「はい、私が見てきます」
そう言って、カノンが一階の入り口の方に登っていった。
「この気配、、、だが、あいつはここを知らないはずだが…」
カノンは弟子たちの中で、索敵にも優れている。その最長距離は、なんと3kmだ。
これは人間ではありえないと言える。それもまだ、20代の子がだ。
「カノンはすごいなぁ」
そう僕はいなくなったカノンのことをぼやいていた。
私は私の索敵範囲に入った者を確認しに行った。もちろん家の周りは木々に囲まれていて、走っていくと、面倒なので。空を飛ぶ魔法を使って近づいていく。
目標はここから、だいたい3km。私の索敵範囲のギリギリのところで引っかかったのだ。
それも反応は獣などではない、、、なんと人間だったのだ。
「お師匠様が反応して、私に与えたと言うことは、多分大丈夫だと思うけど、、、」
そう呟きながら私は少し考えていた。
もともと、ここは霧が濃く、この霧は有毒で、普通の人間や魔物に害を与えるくらいほどだ。
まぁ、私たちはお師匠様が作った魔法を常時発動しているから、問題はないのだが。
もともと、お師匠様があそこ住んでにいるのは、昔人々に追われて、行き場を失ったからだと言っていた。あそこには普通の人は辿り着くことはおろか、家の回り10km以内にはいることすら、できやしないはずだ。
なので、このようなことになったのは、私がここにきてからは、初めてだったため、私を行かせたのかもしれない。私の経験のために。
「あと1km。急いで終わらせて、お師匠様に褒めていただかないと」
そういって私はさらにスピードを上げる。
あと半分、、、もう少し、ここで私はその人間の顔を見た。
黒い仮面みたいなのをしている。そのため、顔は見えなかったが、仮面の下から確実に目があった。
とてもすごい殺気だ。浮遊魔法を解いて、近くの木に降りる。押し負けそうなその気迫を乗り切って、私は彼に剣を向け言い放つ。
「この地に侵入せし者に忠告する。ここから先に侵入してくるならば、其方に敵意がなかろうとも、私は其方を心身ともに氷づかせよう。返答はいかに」
すると、仮面をしたものは答える。
「汝の忠告しかと受け取った。しかし、我はこの先に住むものに会う為ここを通らねばなるまい。止められるのなら武力を持って押し通るのみ」
低い男の声だった。そう言って、仮面の男は構える。私は高らかに答える。
「了解した。であれば心せよ。そして、恨むのならば、その運命を恨むのだな。ここでお相手する名を冥土の土産とするがいい。私は『氷結姫』。かつて国を滅ぼした戦慄の姫である」
「その委細承知。なら儂も名乗ろう。我が名は『剣聖』。昔そう呼ばれていたものじゃ」
「いざ、尋常に」
「「勝負!!」」