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第6話 楽観

「あぁ、腰が痛い」

先ほどまで、干し肉を機械の中に入れる為に猫背になっていたせいか、僕の腰はひどくダメージを受けた。

そのため、かなり腰が痛い。まぁ、こんな言い方してるけど、ようは筋肉痛だ。


「弟子たちがいてくれたらなぁ…」

弟子たちは僕のことを好いてくれてる。なので、このくらいなら僕からのお願いとして、やってくれると思う。だがしかし、今は、イウリ含めた誰もいない。


「お腹すいた。イウリもいないから、誰もつくってくれないし…このままだと、餓死で死んでしまう…」

そう呟いたその時!


僕の探査の魔法に誰かが引っかかった。その気配を読み取ると僕は、寝転がっていたソファーから起き上がり、入口の方に行く。


「この気配は、、、まさか!!!」

そう、僕はこの気配に見覚えがあったのだ。それはそれは何年も前に出会い、旅立ってからと言うもの二週間に一回くらいのペースでやってくるという、甘えん坊さん。その名は、、、


そう言って、僕は入り口の扉を開いて、その子と顔を合わせて言った。

「お帰り、カノン」


「ただいまです!お師匠様ー」

そう言って、僕に抱きついてきた。


「おっと、カノン。先週ぶりだね」

「はい、お師匠様!『氷結姫』カノン。ただ今帰還しました!!!」





『氷結姫』それは、僕の7番目の弟子である、カノンに付けられている別名である。カノンは、薄藍色の目と髪で女性の身長の平均くらいである。


なぜ、『氷結姫』と、呼ばれているのか。それはとある国で、カノンがおこなったことによって名付けられたからである。


まぁ、どんな感じかと言うと、なんかとある国で、僕こと『天災』を邪神の権化と奉ったことがあったらしく、それを聞いたカノンは怒り狂い、その国は3日で、人民、王、司祭などなど全て、カノンの魔法によって、氷の偶像となり、滅んだから、ということから来ているらしい。(イウリ情報)


先程聞いてもらった通り、カノンは、、、超絶僕崇拝なのである。まぁ、それにも理由があって、、、

カノンは昔、とある国の村で、蔑まれていた。理由は、髪の色だ。カノンの生まれ育ったところでは、

村人全員が髪の色が黒色だったらしい。ただそれだけの理由で、子供たちにいじめられ、そして大人も黙認していた。


それは、自分の両親も含めてだ。


まぁ、髪色や目が違う子はたまにあることだが、村のバカどもが無知であったが為にカノンを蔑んでいた。

そして、ある時、事件が起きた。その村が野盗に襲われたのだった。もともと小規模な村だった為に、警護兵は少なく、あっという間に村は壊滅した。そしてその時運良く生き延びたカノンは、偶然僕たちに拾われた。


あ、もちろん。あとで話を聞いて、その野盗たちは殲滅といたけれど。


それ以来、彼女の中で僕は英雄みたいだ。


そんなことを思い出しながら、となりの椅子に座っていたカノンに尋ねる。

「それで、カノン。先にやるべき報告は?」


僕は、弟子たちが帰ってくると、必ず最初に近況報告を聞く。

そして弟子たちは、僕に話す内容をレポートにまとめて、渡すというのがここでの決まりだ。

まぁ、このシステム考えたの僕じゃないんだけどね。


「あ、はいですー。」

そう言って、椅子の下にあったバッグの中にあったレポートを渡してきた。


内容は大まかにまとめると、今起こっている紛争が、このまま発展して大きな戦争になるかもしれないと言うことだ。


ただ、気になる点が一つ。


「カノン、共和国乱入の可能性、、、ってどーゆーことだい?」


「はい。私今実はー、商人として共和国に行ってたんですけど。そこで話をきくと、どうやら共和国の王家が、武器や作物を買い占めているようだったんですー。それで、もう少し調べようと、王宮のメイドになりすまして潜入して、盗聴してたらなんと!「近々侵略を行う」って言ってたんです」


「ふむ、そうなのか、、、特定はできなかったのか?」

「特定するのは、もう少し時間がかかりそうだったので、先にお師匠様にお会いしよーかと思いまして」

そう言って僕の手を自分の頭の上に乗せて、いかにも撫でて欲しそうな顔をしてくる。


「うん、まぁいいか」

そう言って僕はカノンの頭を優しく撫で始める。

カノンは気持ちがよさそうに首を振って、鼻歌を歌い始めた。


しばらく撫でて、またカノンに質問する。

「それで、またすぐ戻るの?」

「いえ、それが、イウリちゃんが「ししょーが1人でずっとだらけていると思うので、私の代わりにお世話をお願いします。」と言ってきましたので、何日かは滞在する予定ですー」


おお、そうかそうかそれはありがたい。これで僕がやらなきゃいけない干し肉作りもやってくれるだろう。

そんな自分勝手なことを考えている僕にカノンは、

「お師匠様ーカノンと一緒にいれて嬉しいですかー?」

と尋ねてきた。


「もちろん、カノンが一緒にいてくれて僕はとても嬉しいよ」

とこたえ、またカノンの頭を撫で始める。


「えへへー」と嬉しそうなカノンの顔を見ていると僕も、にやけてくる。

そして、僕のことを考えて、弟子を呼び戻してくれたイウリに深く感謝したのだった。

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