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第3話 過去①

僕は、帝国の辺境の村でとある家の長男として生まれた。

この村は少人数で、皆、自給自足の生活で生きている。

僕は、もともと才能があったのか、魔法を簡単に使えるような人だった。


僕は主に、三人グループで行動していた。遊んだり、ご飯を食べたり、眠ったり。

僕は2人のことを友達だと思っていた。


村の人たちも優しくしてくれ、皆仲良く協力して暮らしていたが、僕が10才のとある日。突然、王都からの使者と騎士がやってきた。


村の人たちを集まると騎士は、開口一番に唱えた。

「今、帝国は未曾有の危機に落ちいている。その危機とは戦争だ。よって、この村から兵士となるものを徴収する」


皆の中に動揺が走る。この村の村長の役割を担っている老人が騎士に尋ねる。

「騎士どの、ご用件はわかりましたが、兵士となるものとは?基準を教えてくださいませ」

「基準だ?そりゃー、この村に住む全男手を兵士として徴収する」


「な!それは困ります。私の村では男は貴重なものでして…」

「うるさい!これは命令だ。この命令は皇帝陛下直々に出されたものだ。この命令に背くのならば、皆殺しにするまで」


そう言って騎士達は抜刀する。


「っヒィ!お、お許しを」

「斬られたくなければ、黙って命令に従え」


「は、はい」

そう言って、この村の全員の男性が集まった。


「ふむ。これで全てか。少ないな。よし、女も連れてこい」

「しかし…」

「早くしろ」とまた騎士は剣で脅す。


老人は黙りする。

「おい、聞こえなかったのか早くしろ!」

騎士たちは催促する。


そして、何か思い至ったかのような顔で老人は言う。

「申し訳ございませんが、女手まで差し出すと、この村が衰退してしまいます。何卒ご慈悲を…」

そう老人が言った直後だった。


先ほどまでしゃべっていた老人が、急に倒れたのだ。僕は何が起こったのかよく分からなかった。

しかし、隣にいた青年が叫ぶ

「貴様!!!!!!」


老人の方を僕はよく見る。すると体を一直線に切られた跡があった。血が溢れ、赤い血が流れ出していた。

その血を見てしまったせいか、はたまた騎士が老人を斬ったせいか、ここで僕は気を失った。







次に眼が覚めると、そこは馬車の中だった。

周りを見ると、村の男たち全員を集めたにもかかわらず、今ここにはその半分ぐらいの数しかいなかった。

そして、僕の友達も…。


僕は周りの人たちになぜ半分くらいしかいないのか尋ねた。

「ねぇ、ほかのみんなは??」

すると答えは残酷なものだった。


「死んだんだよ。みんな、殺されたんだ。」

僕は頭の中が真っ白になった。


みんな誰に殺された?【騎士に】


なぜ殺された?【刃向かったから】


なぜ刃向かっただけで殺された? 【皇帝の命令だから】


では、悪いのは誰だ?【皇帝だ】


なぜ、皇帝は命令を出した?【戦争だから】


「それは世界が悪い」

そうだね。元を正せばこの世界が悪い。悪いのはこの世界だ。


【ならば我らに協力せよ】


ここで僕は気がついた。自分が真っ白な世界にいることに


「ここはどこだ?」

『ココハ神域。神々ガ住マウ場所』


「え、なにそれ…」

『我ガ汝ヲ呼ビ寄セタ。汝二神託ヲクダス』


「神託?なぜ神様が出てくるの?」

『汝モ知ッテイルデアロウ。今ノコノ地ハ荒廃シ、荒レ狂ッテイル。イズレコノ地ハ滅ビルダロウ』

「あぁ、さっき言ってた戦争の件でか。でもなんで僕?」

『汝ノ才能ハイズレ神ノ麓マデ辿リ着クダロウ。』


「これが、才能?」

そう言って僕は、手に魔法の花を生み出した。

『ソウダ。我ラガ為ニ協力セヨ。サスレバ汝ノ願いヲ叶エヨウ』


「俺の願い…。僕にはもう望むものはないよ。優しかったみんなも、あの遊んだ場所も、楽しかった思い出も全部全部なくなったんだ」

『復讐シタイカ?』


「いいや別に。僕はもう生きる意味がないんだよ」

『優シカッタ皆モ、遊ンダ場所モ、思イ出モ、また作ればいい』


「けれど、もう誰かと関わって、悲しむところは見たくない。だから………」

『…魔法トハ不可能ヲ可能ニスル為ノ術ダ』


「?いきなりなにを言って」

『ナイモノナラバツクレバイイ。力ヲノゾメ』

「あぁ、それでさっきの願いにつながるのか」


沈黙が流れる。少し考え、僕は答える。

「分かった。受け入れよう。貴方の願いを。そして僕の願いは…」

『…承知シタ。デハコノ世界ヲ頼ンダゾ』


その声がして僕の意識は覚醒した。

「…行かなきゃ」

そう言うと、僕は背中の部分から、羽が生えた感覚がした。馬車の中で誰も僕に気がついた者はいない。


急いで馬車から降りて飛ぼうとすると、騎士たちがこちらを見ながら僕に剣を向けていた。そのうちの1人が大きな声で言った。


「な、なんだそれは!答えろ!」

明らかに声は震えていた。それはそうだろう。なぜなら目の前に翼のようなものが生えた者が現れたのだから。


「お、おい、聞いているのか!質問に答えろ!答えぬならば斬るのみ!」そう言って、切りかかってきた。

「…うるさい」

僕はそう呟くと、先ほどまで僕に剣を向けていた騎士がその場に倒れた。


これが僕が願ったもの『魔法創造』。それは僕が願ったことが瞬時に魔法になると言うもの。

そして今僕が願ったのは、黙らせると言うことなので、僕の願ったことが魔法となり、相手の息の根を止める魔法を作ったと言うことだ。


「!?な、なんなんだ。貴様は」

怯えた騎士の1人が僕に剣を向けて尋ねてきた。

「何者、そうだな。創世神がこの地に生み出した、『天災』だよ」


答えた瞬間、僕の周りから炎の柱が生まれた。

「ははは!!貴様みたいな愚民が、創世神を語るな!死ねぇぇ」


「…死ねのはお前らだけどね」

僕ははっきりといった。次の瞬間、炎の柱が消え、僕の周囲を囲っていた騎士たちが皆生き絶えて、その場に倒れた。


「『天災』…ヒィィィ!」

そう言って、僕の元村の生き残りの人たちは僕を恐れて、皆走ってどこへ行ってしまった。


「仕方ない。この腐った世界を粛清するか」

そこから『天災』と呼ばれる名が広まり始めた。



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