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プロローグ
【アタシと珈琲】
漆黒の中に相反する柔らかな白がふわっと広がっていく。
アタシはソレをぐっと一飲みして口内に残るマイルドな苦味の心地良さを味わった。
花のあしらわれた白いカップを机の端に置き、
トロンとした眼で宙を眺め視界に映った無機質な天井から目線を机に戻し机の上に置かれているライトノベルの表紙に描かれている美少女を見つめた。
その美少女は最近水面下で有名になり始めているライトノベルのヒロインで金髪碧眼のとっても可愛らしい少女だ。
他のキャラも彫りの深い美男子だったり、ナイスミドルのおじ様だったり、魅惑的なお姉さんだったりと美形ばかりだ。
なんとも見目麗しい世界……まさに幻想郷である。
アタシは一度猫のように思いっきり伸びをして立ち上がり、
一つの《アタシ専用の部屋》に向かう、別名《パンドラの箱》、《禁断の間》である――。