文句の叫び
あれから2年の月日が経った__
言葉の壁に絶望した俺は、最初の1年に
死に物狂いでこの世界の言葉を勉強して
なんとか日常会話が成り立つレベルまで到達し、
それまで身振り手振りでこちらの気持ちを理解
してもらうという地獄の日々から開放された。
そうしてどうにか町に馴染む事ができた俺は_
「日本に帰りてええええぇぇっ!!!!!!」
町の高台で溜まりに溜まった不満を
ぶちまけていた。
「帰りたいっ!!!
異世界もうヤダ嫌い!! 飯がマズい!
固くてボソボソのパン!
めちゃくちゃしょっぱい肉!!
ほぼ味のしないスープ!!!
わあああああっーーーーー!!!!!!」
2年間過ごして分かった事がある。
この世界では食文化がほとんど
発展していない。
「ああ……米が食いたい……!
ほかほかご飯と味噌汁、漬物に焼き魚、
お婆ちゃんの筑前煮いいぃぃ……!!」
俺は自分がどれだけ恵まれていたのかを涙が
出る程痛感した。
「ねえママー、アレなーにー?」
「見てはダメ、目を瞑るの。
そして優しさを学びなさい。」
後ろを通る親子に追い撃ちをかけられ
ことさら涙が流れる。
「ち、ちくしょう…!料理スキルチートでも
持ってたら、絶対この世界で無双できた
のに……!」
俺の怒りはそれだけに収まらない。
必死で言葉を覚え、ようやく本腰を入れて
精霊の情報を集めようとしたのに_
「おかしいだろ………。何で誰も精霊って単語すら
知らねえんだよ…。」
異世界言葉を覚え、集めた情報で分かった事と
いえば、この町の名前がオパールということ。
年中気持ちのいい風が吹き、洗濯物がよく乾く
という事。基本平和なので、討伐クエストよりも
採取や調査のクエストが多いなどといった
精霊とは何の関係もない事しかわからなかった。
「手がかりが何も無いとか、ありえねえだろ…?
何か見落としてんのか…?」
条件があんのか…?
それとも何か特別なアイテムがいるとか……?
いくらなんでも町の住人達が1人として精霊の存在を
知らないのは流石におかしい。
神様から聞かされた話通りなら、伝承やおとぎ話
みたいに何らかの文献なり、人の記憶なりに残っているはずだ。
「う〜ん……考えてても煮詰まるだけだな……。
よし! 気分転換にクエスト行くか!
とりあえず今日の食いぶちくらいは
稼がなきゃな!」
俺は切り替えて冒険者ギルドに向かう事にした。
ようやく一章の冒頭に繋がりました。
そう、ここまでは長い長い回想だったのですよ。
ここからやっとこさ、空の冒険が始まります。
てゆうか読み返してみたら、いきなりトパーズの町に転生してますね。
危うく運命の野犬さんとの出会いが無かった事になっちゃう所でしたよ ヒヤヒヤです。
この時期は手が冷えて文字が打ちづらいですね。
誤字脱字に気をつけたいです。
では、ぼちぼちヌクヌクしたいのでこの辺りで。