Back to the past
未だ先に在るアクアマリン港を目指し、
俺は上機嫌で歩いていた。
「フンフ〜ン〜♪ フンフフ〜ン〜♪
上物のオカズが沢山手に入ったなぁ。
最近はめっきり息子とのスキンシップが
減ったし、早く町で宿借りて、思いっきり
上下に高い高いしてやりたいなあ。」
あらゆる角度から撮り、焼き増ししたレスカの
痴態が写った写真を眺めながら鼻歌を
歌う。
「ねえ、デリカシーって憶えてる?
アンタが羞恥心と一緒に無くした物よ。」
ご機嫌な俺に水を差すシルフィーが、ジト目で
睨んでくる。
ああ……、さてはコイツ……。
「ゴメンなシルフィー、俺が悪かったよ。」
「あ、あら? 随分素直ね?
やっとアンタも人並みの気の使い方が__」
「俺のオカズコレクションに入れなくて
拗ねてたんだろ? よし、じゃあまずは後ろを
向いて、前屈みで自分のお尻を
鷲掴みにするんだ。そして掴んだ尻を両開きに
くぱぁ………っと__」
「どんな気の使い方よっ!? 違うわよ!
アンタ以外は女の子なんだから、自重しろって
言ってるのよっ!!」
「充分してますぅーっ!!
本当なら今すぐ そこらの茂みでコスコス
したい所を、鋼の理性で一生懸命に
我慢してるんですぅーっ!
お前わかってんのか!? 男はな、したい時に
やるのが一番気持ち良いんだぞ!!」
「知らないわよド変態っ! 耳が腐るから
喋らないでちょうだい!!」
「ま、まあまあ2人共、落ち着きなよ。
と、ところでソラ? 要らない心配だと思う
けど、使う写真は勿論レスカだけ…だよね?
僕の写真は……。」
「バカだなぁ……、安心しろよ。
途中まではレスカを ご使用するけど、最後は
ほらっ、最初に撮ったお前の手皿受け顔。
これに おもいっきりぶちまけ__」
「うわああああああーっ!!?」
カヤは俺が見せびらかした写真を
引ったくるように奪い、破り捨てた。
「お、お前、人の宝物に何してくれんだ!?
どれだけ楽しみにしてたと思ってんだ!
ふざけんなよっ!?」
「明らかにこっちのセリフだろうっ!?
本人の前でよくもまあ、恥ずかしげも無く
言えたもんだよ!」
せっかく撮った写真は風に運ばれ、彼方へと
飛んで行ってしまった。
「あーあ、もったいない。1枚減っちゃった
じゃねえか……。」
「ふんっ、自業自得だね……って、1枚?
ねえソラ、今 1枚って言って__」
「そうだよ? これからの旅の長さを考えて
50枚程、焼き増ししといた。フィニッシュ用
に使うからな、1枚使ったら衛生面を考慮して
捨てるつもりだ。」
「人の顔何だと思ってるんだっ!!」
ギャアギャアとやかましいカヤを放置し、
再び歩みを進める。
__と、その時だった。
「キャアアアアアアアーーーーッ!!?」
背後を歩いていたレピィが悲鳴を挙げる。
振り向くと__
「何だよ、コレ…………。」
「それ」を一言で表現するなら、紫色のスライム
と言うのが近いだろう。
ただ、その大きさだけは、近くに見える山と
同程度に見えた。
さらに加えるなら、そのスライムは人間の「手」
のような形をしており、レピィを鷲掴みに
していた。
「う、嘘でしょ……? デスアメーバ……。」
シルフィーがポツリと呟く。
デスアメーバ? それって確か……、俺がカヤと
勝負した時にレピィが言ってたヤツか?
ハッと我に返ったシルフィーは、妹分を救う為、
強めに魔力を練る。
「今助けるわレピィッ!!
喰らいなさい! "エアロ___!!」
「ダメだシルフィー! 魔法は撃つなっ!!
忘れたのかい!? デスアメーバは……!」
「____っ!」
悔しそうに顔をしかめ、シルフィーは魔力を
萎ませる。
「ソラッ!! 持ってる食料を、アイツ目掛けて
手当たり次第に投げるんだ、早くっ!!」
全くワケが分からないが、カヤがこんなに焦る
なんて、よっぽどだと思い、言う通りにする。
「どこのはぐれメ◯ルだが知らねえが、ウチの子
を離しやがれ! おらっ!」
手持ちの食料を掴んでは放り投げ、
それが瞬く間にデスアメーバに吸収され溶ける。
半分程 食料が減った辺りだろうか__
「__えっ? ふわぁっ!?」
腹が一杯になったのか、デスアメーバは地面へと
潜り姿を消した。
それと同時に掴まれていたレピィも
自由の身となり、地面に落とされる。
「レ、レピィ! 大丈夫!?」
すぐさまシルフィーが駆け寄り、レピィを
抱きしめる。
「だ、大丈夫ですよ、シルフィー様……。
どこも溶かされてません……。」
「ホントに? ホントに大丈夫?
よ、よかったあぁー……。」
安堵の息をもらし、再び力を入れてレピィを
抱きしめるシルフィー。
何だったんだ今のは………。
「ソ、ソラもありがとね。危うく死んじゃう所
だったよ……。」
死…………!?
「おい、今のヤツってそんなに危険な生物
なのかよっ!? カヤお前、何でシルフィーに
魔法を撃たせなかった!?
コイツならあんなスライムもどき、木っ端微塵
に出来ただろっ!」
「デスアメーバはね、魔法に籠められた
魔力を吸収して成長するんだ。
どれだけ強力な魔法を撃とうとも、効かないん
だよ。もし、あのままシルフィーが
エアロブラストを放っていたら状況はさらに
悪化していただろう……。」
そうだったのか……。
「僕達 精霊にとっては天敵だよ。
人間達も大昔から危険生物に指定している。
討伐、もしくは捕獲すれば莫大な賞金が出る
そうだ。とはいえ……」
「まあ、無理でしょうね。魔法は効かないし
物理攻撃は通らない。凍らせても、蒸発させて
も分裂して復活する。対抗手段と言ったら、
さっきみたいに_」
「しこたま食料投げて、満足して消えてもらう
ってわけね……。完全に裏ボスじゃねえか。
しかも、ランダムエンカウントとか……。」
マジ無いわー……。
あんなチートモンスター、2度と会いたくない。
「まあでも、結果的にはみんな無事で良かった。
今後もしアイツに会っても、今回と同じように
食料放ってさっさと逃げる、いいな?」
全員、神妙に頷く。
ついでに今後は多目に食料を買っておこう。
今回はまだトパーズから出発して
それほど経ってなかったから良かったが、もし
ダンジョンや未開の地で迷ったら、食料が残り
少なくなって追い返せなくなる。
__と、そこまで考えていると、レピィが
うつ向いているのに気づいた。
「お、おいどうしたレピィ? やっぱりどっか
痛むのか? 大丈夫か?」
「う、ううん……。どこも痛くないよ…。
でもね……。」
「でも? あ、ひょっとしてアレか?
実は都合良くパンツだけ溶かされちゃった
みたいな___」
俺が場を和ませようと、ふざけていると
レピィは___
「ご、ごめんねソラ……。
私のせいで食料半分も無くなっちゃって…
私があのまま食べられてたら__」
…………………………………………………あ?
今コイツなんつった?
「ちょっとレピィ! アンタ何馬鹿な事_!」
「で、でもシルフィー様……、私いっつも足を
引っ張ってばかりで……」
「ざっけんなっ!!!」
こんなに声を荒げたのは
いつ以来だろう。
でも、叫ばずにはいられなかった。
「ソ、ソラ……? 何で怒って__」
「お前がふざけた事言うからだよっ!!
何が食料だ! こんなもん残ってもお前が居な
くなったら、喉も通らねえわっ! 足を引っ張
ってるだぁ? 自惚れんな! 俺の方がよっぽど
引っ張ってるんだよ!」
「ソ、ソラ……。」
「何でそんな寂しい事言うんだよ……。
やめてくれよ……。」
気づくと 目が滲んでいた。
けど それ以上にレピィは__
「ごめんねソラ……。でも私ね、自分が情けない
んだぁ……。自分から旅に付いて行きたいって
言っといて、いつもシルフィー様達に守られて
ばっかりで…、私……、わ、私……。……っ!」
ポロポロと_
俺以上に涙を流していた。
「シ、シルフィー様みたく……強い魔法も使え
ないし、カヤ様のようにべ、便利なアイテムも
作れない……。レムちゃんみたいに身体を張って
ソラを守る事もできない……、私なんて……、
わ、私……なんて……!」
なんだよコイツ………。そんな事思ってたのか……。
いつも笑顔でいるから、コイツがそんな風に
考えてるなんて、想像もしてなかった……。
けど……、だとしたら、俺はコイツに…、レピィに、
なおのこと言いたい事がある。
「…………………初めて会った時の事……憶えてるか?
シルフィーの居た谷での事だ。」
「……………え? う、うん…。」
「お前さ、初対面でいきなり
谷で うつ向いてた俺に
「ねーねー、何やってんの? 死んでんの?」
って言ったんだぜ? で、顔上げてみりゃ
乳丸出しの女がパタパタしてるじゃん。」
「う、うん………。」
「夜も近いのに追いかけっこしたよな?
お前メチャクチャ怯えてるんだもん、話する
にも、一苦労だったわ。」
「うん………。」
「でもさ……、俺、嬉しかったんだぜ?
今だから言うけど、あん時結構、キツかったん
だよ。その日暮らしの冒険者やってさ、同業者
には馬鹿にされるし、精霊の事は何にもわから
なかったし、あげくの果てに丸呑み鳥に追っか
け回されるし。」
「そ、そうだったんだ……。」
目を瞑れば思い出す。
最初は異世界転生って聞いてワクワクしてた。
その内何かスゴい力が覚醒して、強い敵を倒して
色んな女の子にモテモテで、旨い物食べまくって
贅沢三昧な日々。
そんな事を思い描いてた。
でも現実は違って_
飯は不味くて、先は見えなくて、相談できる
仲間も居なけりゃ、金も無い。
正直、異界の扉どころじゃなかった。
「嬉しかったなぁ……。
話かけてくれて、親切にしてくれて、
俺の嘘もあっさり信じてくれて、シルフィーに
殺されかけた時は自分の危険も構わず
庇ってくれて。」
「う…ん………。うん…。」
「だからさ、すっげぇ感謝してるんだよ。
お前が……レピィが居なかったら、たぶん俺、
シルフィーに会う前に死んでたかもな。
だからさ……だから……!」
「うっ……っ………ううっ……!」
「側に居てくれよ……。
一緒に居る理由なんて…、何でもいいからさ…。
「私なんて」とか…言わないでくれ……。」
「………っ……! う…うん………!
ごめんねソラ……ごめんね……!!」
____
_________
_______________
「返してっ! 私のパンツ返してっ!!」
「絶対に断る。雰囲気に呑まれてせいもあるけど
メチャクチャ恥ずかしい事言わせやがって、
これは償いとして貰っておくからな。
充分に堪能したら返してやる。」
あの後__
場の雰囲気に流され、青春ブタ野郎も真っ青の
青春ラブコメを繰り広げた事に、無性に恥ずかし
くなった俺は 反動のせいか、アクアマリン港に
向かう道中、レピィにセクハラをしまくっていた
「感動したのにっ! 私本当に嬉しかったのに!
どうしてソラはいっつもそうなの!?
あと、いつの間に私のパンツ盗んだのさっ!」
「安心しろ、感謝してるのは本当さ。
だから今だって、俺にパンツを恵んでくれて
すっごい感謝してる。はー、くんかくんか。」
「わっ、わあああーっ!!?
変態変態! ソラなんてあの時助けるんじゃ
なかった!」
「あっ? ホントなら脱ぎたてが良かった所を
予備のパンツで我慢してやってるのに
何だその言いぐさは!? 文句があんなら
かかって来いやっ!!」
「絶対に許さない! 私の感動を踏みにじった事
も、パンツ盗んだ癖に開き直ってる事も、もう
絶対に許さないからっ!!」
「いいのかい? アレ。」
「まあ、ソラは後でシバくとして……。
いいんじゃない? あのコも溜まっていた思い
が吐き出せたみたいだし。」
「マスター、レムは何だか、一歩出し抜かれた
ような気がします。
ちょっと混ざってきますね。」
「そうしてきなさい。既にソラがボコボコに
されているからね。加勢に行ってあげると
いいよ。」
「くそっ、このっ! その また大きくなった
おっぱいに免じて許してやるからやめろぉっ!
あっ! 俺のパンツ返せっ!!」
「私のだよっ!! あっ、ほらっ!
バカな事してる間に着いちゃったじゃん!」
そういえば潮の香りがしてきた。
という事はここが___
「ほら行くよソラッ! アクアマリン港!!」
モ◯さんのマジメすぎるつき合い方は
タイトルに恥じない 素晴らしい健全漫画ですね
全国の小中学校の図書館に政府が導入するべき
ですよ まったく。
というワケで
どうも、オムラムライスです。
いやあー、シリアスなシーン書くのムズい!
だって書いてて、心が痛いんだもん。
やっぱり卑猥な事を書いてる時が
私の心が満たされますね。
え? 結局最後はいつも通りじゃないかって?
ハッハッハッ!
私には これしかないんだよっ!!




