華麗なき勝利
ー尿意ー
水分を吸収し、膀胱にそれが溜まることで
神経を刺激して排泄へと至らす意思。
そんな生物として当然の生理現象を俺は
「冗談でしょ?……ねえ、冗談よね…?
キャアアア!ちょっと!!
アンタ バカじゃないの!バカじゃないの!」
「何とでも言え!!こんな所で死ぬワケには
いかねーんだよ! おっと!言ってる間に
大までもよおしてきたわ!!!」
ボス戦の必殺技として使ってました。
「信じらんない!アンタ人としてそれで
いいの!?この場面で頭おかしいでしょ!!」
なけなしのヒールキノコもはたき落とされ
こっちが出せるのは言葉と体液くらい。
「心配すんな、竜巻に吸い込まれながら
するのは初めてだが、なあに そこら辺は
長年の経験でカバーするさ。」
「誰がアンタのトイレ事情を心配
してるのよ!!そんな所でやったら
全部アタシのトルネード・ジェイルで
吸い込まれて大惨事になるでしょうが!!!」
「それが狙いですが何か?」
「この下衆野郎!!
ち、ちょっと待ちなさいソラ!落ち着いて、
落ち着くの!冷静になりましょう?」
「ソラ?さっきまで散々、下等な人間だの
豚だの言ってくれてたじゃないか。
随分と急にフレンドリーになったモンだな?」
「うぐっ…!で、でもわかってる?アタシが
スペルキャンセルの呪文を唱えれば、そんな
ものは全くの無意味になるのよ!?」
「呪文ってことは当然詠唱があるんだろ?
大丈夫、そうなったら詠唱中のお前に
飛びかかって ぶちまけるだけだから。」
「ね、ねえ、本気?そんなことしたら
アンタも大変な事になるのよ?
い、一緒に他の方法を考えてみましょうよ?」
「俺の事ならおかまいなく。
畑仕事で慣れきってるから、今さら自分の
糞尿なんて何とも思わないよ。」
さあ、喋っている内に下半身が冷えてきて
いよいよ限界が近い。
「ちょっ!なに全てを諦めた表情してるの!?
まって!ねえお願いまって!!!!」
「最初に勝負と言っただろう?
お前が負けを認めるか、俺がやられるか、
これはそういう話だったハズだ。」
「そ、それは…
〜〜〜〜〜〜!!わ、わかったわよ!!
負け!アタシの負けでいいから!!
お願い早く引っ込めてー!!!」
こうして___
史上最低であろう戦いは
俺が人として失ってはいけない何かを犠牲に
する事で幕を閉じた。
__
____
________
「それじゃあ、行ってくるわね。」
「は、はいシルフィー様…。」
あれから__
俺の華麗な勝利で幕を閉じた後
「最低最低!!キミって本当に最低だよ!
あんな勝ち方して恥ずかしくないの!?」
「ホント最悪よ!アンタは今まで見てきた
どの人間よりも汚らわしいわ!!」
俺の勝利のおかげで仲直りしたというのに
いきなり2人して非難を浴びせるのは
やめて頂きたい。
「うるせーー!!!勝ちは勝ちなんだから
いいだろうが!武器もスキルも無しに勝った
ことを、少しは褒めてくれてもいいじゃん!」
「そっちで勝ってくれた方が100倍よかったよ!
なんでキミってば、いつもそうなのさ!?」
「言うに事欠いて褒めろですって?!
どうやったらそこまで図太くなれるのよ!
アンタ本当にゲスね!!」
あれほど機転をきかせて勝利を納めた俺に
もう少し優しくして欲しい。
「勝ちは勝ちだ。お前が負けを認めた以上
こっちの要求は飲んでもらう。
さあ!俺の仲間になってもらおうか!!」
「ううっ……!わ、わかったわよ!
ムカつくけど言った事は守るわ。」
よしっ!ようやく最初の1人目!!ここまで
長かったわ〜!
「じゃあ…ほら、早く出しなさいよ。」
「?」
なんだろう…散々俺の事を変態扱いしておいて
実はコイツもまんざらではなかったのか。
「いやまあ、出せと言われてもさっき
戦いが終わった後に全部使いきっちゃったん
だよなあ。まあでも、お前がお望みなら
もう少しだけ頑張ってみるわ。」
そう言ってチャックを卸そうとして…
「ブチ殺すわよド変態!!!
誰がそんなの出せって言ったのよ!?
契約石よ契約石!!持ってんでしょ?」
「?」
………………………。
「ねえ、なに「コイツなに言ってんの?」
みたいな顔してんの?腹立たしいから
やめてちょうだい。アタシを仲間にしたいって
言うなら契約石持って来てるハズよね?」
「いや…そんなん無いけど……。」
………………………。
「ハァッ!?冗談でしょ!!?
契約石も無いのにアンタなんでアタシに
仲間になれって言ったのよ!?」
「いや、てっきり勝ったからそのまま仲間に
なりたそうに こっちを見てくるとか
シルフィーをゲットした!みたいな、そういう
感じかなって…つーか契約石
ってなに?そんなんいるの?」
それを聞いたシルフィーは信じられないという
表情で
「う、嘘でしょ……!?ア、アタシ……そんな事も
知らないバカに負けたの…?」
「シ、シルフィー様!お気を確かに!
ねえ、キミ本当に契約石持ってないの?
精霊に力を貸してもらうなら無いと
おかしいよ。」
そんな事言われてもなあ…。
「その…契約石っての?どんなのだよ?」
「アタシの契約石は「オパール」よ。
リングフォレストの近くに同じ名前の町が
あったでしょ?そこの何処かにある宝石よ。」
アタシの……?
「なあ、ひょっとして契約石って精霊によって
違うのか?」
「当たり前でしょ、精霊に力を貸してもらうには
その精霊の近くの町や洞窟から専用の契約石を
手に入れる必要があるわ。言っとくけど、
専用の契約石は1つしか無いからね、別の
契約石じゃ精霊は力を貸してくれないわよ。」
マジかよめんどくせー。
「じゃあお前の契約石が無いと、ここから
離れられないのか?」
「別に、ただ旅について行くだけならできるわ。
でも力が極端に制限されちゃうの。
魔物相手ならまだしも、他の精霊や異界の扉を
相手にするのは無理ね。」
ここに来てまさかのフラグ回収ミス。
まあでも、場所がわかってるのならありがたい。
サクッと見つけて契約して、次の精霊を探すと
しよう。
そうして____
「それじゃあ、行ってくるわね。」
「は、はいシルフィー様…。…」
「じゃあな、レピィ。色々助かったよ。
全部終わったらもう会えないから、ここで
お別れだな。」
名残惜しいが仕方ない。
俺達はそう言って出発しようとすると
「…………あ、あのソラ!シルフィー様!
わ、私も連れて行ってもらえないでしょうか?
私もお二人の旅について行ってみたいんです!
あんまり役に立てないかもしれないけど…。」
「……」
俺とシルフィーは顔を合わせ
「そうね、よくよく考えたら
こんなド変態と二人だけなんて危険すぎるわ。
是非、アンタも一緒に来てちょうだい。」
「自惚れるにも程があるからな?
お前って、風の集合体みたいなモンだろ?
それってつまり雨や雪に発情するようなもの
じゃん、生憎 自然現象にムラムラする程
上級者じゃないんだよ。」
「言ってくれるわねゲス男!!
アンタその自然現象相手にどんな
変態プレイしたと思ってんのよ!!!」
「あれは自然の中、追い風に合わせて
立ちションしたようなモンだ!
人聞きの悪い事言わないでもらおうか!!」
「旅立ち早々、ケンカしないで下さい!
じゃ、じゃあ…いいんですね?」
「ああ、よろしく頼むわ。あと、人の里では
下着をつけるのはNGだ。脱いでからついて来る
ように。」
「わ、わかった!じゃあちょっと待っててね。」
「そんなルールあるわけ無いでしょ!!
どさくさに紛れて なにやらせてんのよ!」
そうして、三人で騒がしくオパールの町に
戻りはじめた。
ども、おむらいすです。
いやー、風の精霊編 完結です!
ようやくパーティーが増えましたよ。
レピィちゃんもついて来て にぎやかになりそうです。
え?主人公の勝ち方に恥ずかしくないのかって?
ハッハッハッ!
常識など押しつけないでもらおうか。




