ボロンッ
「どわああああ!!!」
「待ちなさい!なにあれだけタンカ切って
逃げ出してるのよ!?
恥ずかしくないのアンタ!!」
野犬に追いかけ回された時から 何一つ
成長していない俺に無茶言わないで頂きたい。
「このっ!逃げるな!
「ウィンド・ブレード!!」」
ギロチン状の風の刃が上空から降りそそいだ。
「ぬああああっ!?危ねえっ!
おい、まあ待て落ち着け!!俺達は言葉が
通じ合う!ここは一旦休戦してお互いの
性癖でも語り合おうじゃないか!!」
「この期に及んで火に油を注ぐなんて
よほど惨たらしく切り刻まれたいようね!!
ならお望み通りにしてあげるわ!!!」
なんて物騒なヤツだろう。せっかくお互いの心を
さらけ出して仲良くなろうとしている
俺のご厚意を無下にするなんて。
「でもお前レピィが俺のカラダにイタズラした
って言った時、随分と卑猥な想像を働かせてた
じゃないか!!なんだかんだ言って嫌いじゃ
ないんだろ?大丈夫、恥ずかしくないよ!」
「よしっ!まずその下品な口から刻んで
あげる!!そうすれば少しは静かになって
仕留めやすくなるわっ!!!!」
怒りで我を忘れてらっしゃるシルフィーは
木だろうが岩だろうが お構い無しに
風の刃を乱れ撃ちしていた。
「お顔が真っ赤ですよシルフィーさん!
大丈夫、スケベなのはお前だけじゃない!!
俺だってレピィだって、お前が殺した
ハウリングウルフだって、みなエロス!!!
種族も差別も無いのが
素晴らしいんじゃないかな?!」
「黙りなさいお下劣冒険者!!
アンタはアタシが今まで出会った人間の中で
ぶっちぎりのド変態よ!「エアロブラスト!」
強烈な風の衝撃波で足元を吹き飛ばされた俺は
その風圧により身体が空に舞ってしまった。
「おわあああああっ!!!!!
高い高い!死ぬぅぅぅぅ!!」
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!
このままじゃ地面に激突して即死だ!!
リアルたかいたかーいで死を覚悟した俺は
眼をつむり、あの黒光りの神様に会う準備をした
……………………………?
身体にいつまでも死の衝撃が来ない事に違和感を
覚え、俺はゆっくり目を開けた。
「………あれ?」
「なっ、なっ……!」
俺の目には驚愕の表情で俺……………の上。
空中で俺を抱えたレピィを見て驚くシルフィーの
姿が映っていた。
「レピィ!!!アンタどういうつもり!?
その人間を助ける意味がわかってるの!?」
いや、俺も驚いた……。
コイツさっき俺に泣かされて逃げて行ったのに
わざわざ戻ってきたのか?
「おい、お前は何してんの?助けてくれたのは
礼を言うけど、ご主人様が激昂してんぞ。
それとも俺のカラダが忘れられなかったのか?
無事に戦いが終わったら相手をしてやぶっ!」
高度を低くされた後、地面近くで叩きつけられた
助けてくれたと思ったら 勘違いだったらしい。
「おい、もっと優しく降ろせよ!
お前らと違って、俺のカラダは繊細なんだ!」
「だったらもう少し卑らしい発言を控えなよ!
2秒で助けた事を後悔したじゃん!」
戦闘中にも関わらずアホなやりとりを繰り広げる
俺達に
「なら今からもっと、助けた事を後悔するわね。
どういうつもり?何かこの男に弱みでも
握られているの?」
目の前には青筋を立てて俺とレピィを
睨みつけるシルフィー。
「い、いえ決してそのような事は……。
ですが、シルフィー様!ここはこのレピィに
免じて、この人を逃がしていただけ
ないでしょうか!!!」
こいつは何を言っているのだろう?
「おい、なにアホな事言ってんだ。
お前は関係無いんだから、下がってろ。」
「ヤダ。自分でもバカだなって思うけど
キミを見殺しにするのは なんかイヤなの。」
こいつ………。
と、俺達2人の話を聴いていたシルフィーが
「残念ね……。どうやら本当にその人間に
懐柔されたみたいだわ……。」
これはいけない、このままでは俺どころか
レピィまで一緒に殺されそうだ。
……………覚悟を決めるか。
「おい、シルフィー。俺と勝負しないか?」
「勝負?さっきのまで散々逃げ回っていた男が
勝負ですって?笑えない冗談はキライって
言ったのを忘れたのかしら?」
「お前こそ忘れたのか?俺はまだ切り札を
使っていない、つまりまだ勝つ確率が残って
るんだよ。」
そう、正直これを使うのは非常にマズイ。
もし仮に勝ったとしても失うものがデカすぎる。
「なるほど……つまりその切り札とアタシの攻撃
どちらが上かを勝負するワケね。」
「話が早くて助かるよ。レピィ、下がってろ。」
「だ、大丈夫なの!?」
「ああ、任せてくれ。」
それを聞いたレピィは わ、わかったと離れた
場所にある岩影に隠れた。
「ずいぶん強気じゃない。それで?
アンタが勝ったら何を要求するの?」
「俺が勝ったら異界の扉を開ける手助け、他の
精霊を見つける旅に同行すること。それと…」
「?」
「レピィを…許してやってくれ……。」
「…………わかったわ。」
「俺が負けたら___」
そこまで言って急に風の向きが変わる。
「アンタが負けたら?そんなの簡単でしょ?
ただ死んでもらうだけよ!!!」
とんでもない悪寒を感じた俺は、慌てて近くの
木に捕まった!
「トルネード・ジェイル!!!」
シルフィーを中心に近くのものが吸い寄せられて
いく。そしてその全てが切り刻まれていた。
「この技はアタシがスペルキャンセルしない
限り止まらない!さあ見せてみなさい!
アンタの切り札を!!その全てを塵に
変えてあげるわ!!!!!」
その言葉を聴いた俺は覚悟を決めた。
_____やるか。
俺は吸い込まれないように大地を踏みしめ
シルフィーの近くまで移動した。
「………なんのつもり?この期に及んで
命乞いじゃないわよね?」
「確認したい事があってな、お前のその技は
お前の意思でしか止まらない、そうだな?」
「そうよ、だったら何!?」
その言葉を聞いて安心した俺は、今こそ切り札を
使うことにした。
「さあ、切り刻まれなさい!!
…………え!?ちょっとアンタ!何下半身ゴソゴソ
してんのよ!?」
「さっきお前は全てを塵にすると言ったな?
それってつまり___」
俺はとても良い笑顔で
「俺のこの「尿意」も受けとめて
くれるんだよな?」
………………………。
「い、いやあああああああああああ!!!!!」
さあ!というワケで、シルフィー戦もいよいよ
佳境ですよ!!
いやー、戦闘シーンって文字だけだと
難しいですね!
もっと文章力を磨きたいです。
え?このオチは酷すぎる?
ハッハッハッ!
……………なにを言ってるのかね?ありきたりなど
求めないでもらおうか。




