真実は いつも ひどく
せっかく念願の精霊様に会えたというのに
危うく天に召される所だった俺は
「だから悪かったって言ってんだろ!
そもそもお前が勝手に知り合いとか勘違い
したんじゃねえか!少しはその胸の栄養を
脳に回せよ、そうすりゃ ちょっとはマシな
鳥頭になるだろ!」
「散々ガン見しといて、よくそんな言葉が
出てくるね!?もう絶対に許さない!」
この異世界に来て初めてモンスターと
リアルファイト中。
「ね、ねえアンタ達……、何しに来たの?
何でアタシは痴話喧嘩を見せられて
いるのかしら…?ねえってば!!」
「うるせーぞ!関係ねーヤツは引っ込んでろ!!
くそっ!この!そのエロさに免じて見逃して
やるから離せ!!」
「この期に及んで よくそんなセリフが出てくる
ね!!まる呑み鳥にすら勝てない人間の言葉
とは思えないよ!しかもシルフィー様に対して
その無礼な言葉!とっちめてやる!!」
貧弱な俺がハーピーなんて身体能力の高い
モンスターに勝てるワケなく、あっさり取り押さえられてしまった。
「ま、まて!話をしよう!話をしよう!」
「話す事なんてもう何も無いよ!キミが
私に浴びせた卑猥な暴言の分だけボコボコに
してやるからね!その後まる呑み鳥のエサに
してあげるよ!!!」
なんて恐ろしいことを考えるんだろう。
エロい見た目と人懐っこい性格で油断していたが
コイツも立派な魔物。
だか俺にも切り札があった。
これは俺も使うか迷っていたが……。
「おいレピィ、今すぐ俺を離せ。さもないと
お前は主人の前でとんでもない恥部をさらす
ことになる!」
その言葉を聞いたシルフィーが急激に
顔を赤くする。
「ちょっ……!アンタ達の夜のお楽しみの事
なんて聞きたくないわよ!
しかも とんでもないって……!初対面なのに
どんなプレイしたのよ!?」
コイツはコイツで中々の耳年増である。
「してません!してませんよシルフィー様!!
なんてタチの悪い悪あがきをするのさ!
別にやましい事なんてしてないでしょ!!」
ほう……すっとぼけるか……。なら、遠慮なく
聞かせてもらおうか!
「お前……何で俺の名前知ってたの?」
「!」
質問したと同時に思い切り顔を背けるレピィを
見て 俺はコイツはクロだと確信した。
「え…なに?それくらい知ってて当たり前
じゃない。アタシの所に来るまでずっと一緒に
行動してたんでしょ?」
唯一 事情を知らないシルフィーがきょとんと
している。
「確かにお前の言う通り、俺達は昨日この谷で
会ってから、お前の所に来るまで ずっと
一緒にいた。でもな…その間に自己紹介を
したのはレピィだけなんだよ。」
「………?どういうこと?ならレピィは
どうやってアンタの名前を知ったのよ?
ここに来た時、アンタよりも先に名前を
言ってたじゃない。アタシの知り合いの
ソラ様ですって。」
__そう、まさにそこだ。
俺から名乗りをあげてない以上、あの時レピィが
俺の名前を俺より先に言うのはおかしい。
名前を知る時があるとすれば……。
「谷の奥に行く前日、俺はレピィの巣穴に
1泊した。そして朝起きた時 ちょっとした
口論になったよな?主に眠ってる俺の身体に
お前がイタズラした件で。」
「え!?」
驚愕の表情を浮かべるシルフィー。
「し、してないよ!ちょっと自分との体の
違いを見てただけだよ!!」
「そう、お前はそう言ってたな。
でもそれって、「どこまで」見たんだ?」
「!」
再び顔を背けるレピィに
俺はさらに追撃した。
「俺から名乗りをあげてない以上、
残った可能性は俺の持ち物だ。」
凄まじい冷や汗がレピィの顔を流れる。
「でもな、あの時俺が持ってたのは、キノコと
地図くらいだったんだ。もちろん名前なんて
書いてない。」
レピィの顔色がどんどん青くなる。
それを尻目に俺は尚も続ける。
「持ち物にも名前が無い以上、残っているのは
「身につけているもの」だ。」
「レピィ……アンタ、まさか………。」
おっと、シルフィーは察したご様子。
「昨日の夜俺が身につけてたのは
今日とまったく同じ格好 シャツにズボン、
靴下と靴 そして…「パンツ」だ。」
そこまで聞いたレピィは
いよいよ顔色がおかしくなる。
「この中で俺が名前を書いたのは
「パンツ」だけだ。」
そこまで言って俺は大きく息を吸って
「お前………やったな?」
「レピィ……アンタ……。」
「ち、違うよ!?いや違うんですシルフィー様!
これは あの、……その……。」
どんどん声が小さくなるレピィ。
すでに俺から離れ、必死に主に弁解する言葉を
探していた。
往生際の悪いレピィに
俺はトドメを刺す事にした。
「いいかシルフィー、よく聴け。
お前の部下はな……寝ている男の衣服を剥ぎ取り
散々 視姦を楽しんだ上、下着にまで手をかけ
ようとした 超絶ムッツリドスケベ女だ!!」
「ぶっ殺すよ!!何でそんな言い方するのさ!」
「何かおかしいか? え?反論する資格が
お前にあるんですかねぇ?
この卑猥の権化!いやらしの化身!!
俺の純潔を返してもらおうか!!!」
「う、うう……うわああ〜〜ん!!!」
とうとう羞恥に耐えられなくなったレピィは
翼を羽ばたかせ逃げて行ってしまった。
悲しい……事件だった………。
「………下僕が失礼をしたわね。
お詫びにアンタの話を聞いてあげるわ。」
さて、…ようやく本題だな。
まったく、なんて卑らしい娘なんでしょうね。
生みの親の顔を見てみたいものです。
さて、ようやくシルフィー様と
1 on 1です。果たして お力を貸してもらえる
んでしょうか。




