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第6話

「みっ…未羽!?なんでここに!!」


本来、魔界になんているはずもない未羽が目の前にいる状況に蓮は激しくうろたえた。


「なんでじゃないわよ!!アンタ、魔界まで『嫁探し』に来るなんてバカじゃないの?」

「なんでそのことを…!」

「レン様。どうかなさいましたか?」


騒ぎを聞きつけたのか、そこには寝間着に着替えたアリスがいた。


「お前か~!!蓮をたぶらかしたのは!!」

「未羽!!落ち着いてくれー!!」


アリスに掴みかからんとする未羽を蓮が抑えつけて、落ち着かせるまでには三十分を要した。


「じゃあ何?蓮はこの子と結婚する気はないってこと?」

「まぁそういうことだな…」


蓮に与えられた客間には、蓮、アリス、未羽、そしてリーサが集まっていた。


「本当なの?見た目に騙されたりしてない?」

「騙すって…アリスは悪い子じゃないぞ」

「へぇ…呼び捨てなんて、ずいぶんと仲がいいみたいでよかったわね…」


未羽の目付きがより一層鋭くなり、蓮は思わず息を飲んだ。


「あの、レン様。この方は?」


状況がわかっていないのか、アリスはのんびりとした声でしている。


「あぁ…こいつは未羽。オレの幼なじみだ」

「そうなのですか。わたくしはアリスと申します。アリスと呼んでくださいミウ様」

「じゃあアリス。わ・た・し・の幼なじみがずいぶんとお世話になったわね。迷惑になるし私達は帰らせてもらうわ」

「もう遅い時間ですし、よろしければミウ様もお泊まりになってください」


ことさら蓮との関係を強調して未羽だったが、アリスは気にした風もなく、普段の笑顔を浮かべていた。


「気にしなくて結構よ。あの転移(?)を使えば一瞬でしょ?」

「それなのですが、お二人の世界は常設してある転移ゲートがないようでして…」

「転移ゲート?そんなのがあるのか?」


帰還方法という重要な話になり、蓮も黙っていられず口を挟む。


「ではアリス様の代わりに私が説明させていただきます」

「……っ……」


アリスに代わってリーサが前に進み出たのを見て、まだリーサの姿を見慣れていない未羽が『ビクッ』と反応し警戒心を高める。


「転移ゲートというのは色々な世界に設置されている、言わば瞬間移動の為の装置です。大きな門の形状をしていて通常はこれを使って世界間を移動します」

「でもオレはそんなの使ってないと思いますけど…」

「私も」


蓮は途中、気を失っていた為に確信はなかったが、未羽の方はきちんと覚えているらしい。


「はい。転移ゲートは基本的に各世界に一つ、なので設置されている場所は全て把握されています。しかし、お二人の住むニホン。またはチキュウという場所にはゲートが設置されていないことが判りました」

「なので、そのような場所には悪魔がいるケースはほとんどなく、情報もあまり入って来ません」


リーサの説明を補足するようにアリスが言った。

リーサの日本に対する偏った知識も情報の少なさ故だろう。


「じゃあオレ達はどうすれば?」

「アリス様がおっしゃった通り、情報があるということは方法もあるのです」

「まぁ私達はこっちに来れた訳だし、その逆ってことじゃないの?」


蓮はその方法がよくわかっていないようだが、未羽は薄々気づいているようで、リーサも同意するように頷いた。


「レン様の話から推測するに、レン様のお父上はかなり高位の術者なのではないでしょうか?」

「へっ…!?親父が?」

「転移ゲートがない世界からこちらに毎日のように仕事で来ることの可能な術者は魔界でも十人はおられません。それに一日でレン様、ミウ様と二度の転移をしたとなると驚異的です」

「「………………」」


蓮はもちろん、普段の正一を知っている未羽までもが言葉を失った。

それを見てアリスは不思議そうな顔をしている。


「どうなさいましたか?お父様が素晴らしい方だというのは誇らしいことだと思うのですが…」

「「だって、あの親父(おじさん)だし…」」

「ひとまず、そのような状況ですので今すぐにそのレベルの術者を用意することが出来ません。明日のこともありますし、ミウ様もアリス様の提案通り宿泊なさってくださいませ」

「明日?」

「あぁ…選定戦の祝賀会?があるらしくてな。どうするにしろ出席しないといけないらしくてな」


それを聞いた未羽は怪訝そうな顔をした。


「アンタそうやってズルズルいったらどうするのよ!!いいわ。私もその祝賀会に出るわ」

「どうしましょう…祝賀会は関係者しか入れないのですが…リーサ。何か方法はありますか?」

「そうですね…一つだけ方法はありますが……」


思い当たる方法はあったようだが、リーサは言いづらそうにしている。


「なんでもやるから言って頂戴」

「その決意、しかと受け取りました。ではミウ様こちらへ」

「えっ…?いや、今のは言葉のアヤで……ちょ…まっ…!」


未羽はリーサに引きずられるようにして部屋を出ていった。


「大丈夫なのか…?」

「まぁ…リーサも変なことはしないと思いますが…」


-それから30分-

「お待たせいたしました」


リーサが先に戻って来たが、未羽の姿はない。


「あれ未羽は?」

「ミウ様。もう入られてはどうですか?」


リーサが扉に向かい声をかける。


「ミウ様、そちらにいらっしゃるのですか?」

「早く入ってこいよ」

「うっ……うぅ…ぅぅ……」


既にうめき声にしか聞こえない声がしたかと思うと、未羽が扉の影からゆっくりと姿を現した。


しかし、その格好は

「メ……メイド服…?」

「レン様の使用人ということにすれば問題ないかと思いまして」


未羽はどこからどう見てもメイドにしか見えない格好をしていた。





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