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73:我、相変わらずの部屋なき子。


 「それで、一体なんの御用で?」


 どうにか床から起き上がるも相変わらず右腕を押さえ涙目の縦ロールさんに問い尋ねるシェラさん、はいいんだけども……。

 用件(それ)ってふつー床に叩き付けて関節極める前に聞くことなんじゃないカナ?


 「そういう事は普通まず最初に尋ねるべきでしょうっ!?」


 縦ロールさんの魂の叫びっぽいもの。 うん、我もそう思いまする。


 「話し合いの場を作る為にも、先ず礼節を躾けるのは重要な事かと」


 が、どうもそれは我と縦ロールさんの認識であってシェラさんの認識とは異なった模様。

 なんか真顔でそんな事を仰って下さった訳ですがシェラさんや、メイドさんが王族に躾ってどうなのさ。


 「どこの世界に王族に躾を施す侍女(メイド)がいますのっ!!」


 「ここにおりますが何か?」


 真顔であっさりと言ってのけるシェラさんに絶句状態の縦ロールさん。

 そりゃまぁ普通は階級差って絶対だもんねぇ、王政なら。

 侍女長ってゆーのがどの位の地位なのか分からないけど少なくとも王様を半殺しにしたりお姫さまの関節を極めたりしていい地位じゃないこと位は我にだって分かるし。

 これはシェラさんが規格外なのかこの世界じゃ実はこれがデフォルトなのか……迷うまでもなく前者よね、多分きっとおそらく間違いなく。


 まぁそれはさておき、う~みゅ……。

 なんだかさっきから縦ロールさんと我、意見が合ってばかりである。

 縦ロールで一人称が 『(わたくし)』 、口調が 『~ですわ』 の人と似たような感性を持ってるなんて友達に噂とかされると恥ずかしいから勘弁して貰いたいものでありますな。


 (そもそも友達なんていましたっけ、マスター)


 どやかましいわっ!

 生まれてこの方出会いの場なんてなかったんだから仕方ないでしょーがっ!!


 (マスターがぼっちでも私はマスターの味方ですよ?)


 慰めるふりしてトドメを刺す高度なプレイですねこんちくせう。

 今に見てろし、友達100人作ってみせるもんっ。


 (100匹、の間違いでは?)


 …友達100人、が友達100匹、に変わった瞬間すごく寂しい人みたいに感じられる不思議。

 いやまぁ今の我は毛玉だし100匹、の方が正しいんだろうけどさー…。

 その、なんだ。 なんかもにょるってゆーか抵抗感ががが。


 (受け入れれば楽になりますよ?)


 元とはいえ、人としての尊厳をかなぐり捨てるのはちょっと。

 あっ、ちなみにルカはお友達にカウントしても……?


 (実体化しない限りマスター以外に認識されない相手を友達呼ばわりするのもマスターの自由ですし別に構わないと思いますよ?

  周囲の目が妙に生暖かくなったとしても私は責任を負いかねますが)


 …縦ロールさんといい我といい、この世界の主って従者に弱いものなのかしら。


 「貴女は何様のつもりですのーっ!!」


 「フォーンですが?」


 「侍女長(フォーン)にあんな権限を与えた方、責任を取りなさいっ!!」


 「苦情は王祖へどうぞ」


 …あ、あっちもまだ続いてるのね。




 あれから暫く…──。


 必死に抗論するもあっさり流された挙句逆にやり込められて最後には言葉を無くした縦ロールさん。

 気持ち左右の縦ロールの萎れた彼女が 「約束を果たしただけですのに何故こんな目に…」 と涙目で呟きながら差し出してきたもの。



 それは 鳥籠と言うにはあまりにも華美すぎた。

 細工だらけで 宝石が散りばめられ (まばゆ)く そして 居住性をまるで考慮していない。

 それは 正に 装飾品(インテリア)だった。



 …うん、ベ○セルクファンの皆さんごめんなさい。

 けどさ、これどう見てもただの美術品やん。

 明らかに実用性皆無です本当にありがとうございます、ってゆーかこれに住むとか絶対に嫌でござる。


 「…これは?」


 そう尋ねるシェラさんも我と同じ事を考えているらしく呆れの色が多分に混じった眼差しを縦ロールさんへと向けている。

 一方の縦ロールさんは、相変わらず空気が読めないのか相手の顔色や声音を伺うという事を知らないのかえっへん、とばかりに胸を張り。


 「帝都で最高の鳥籠を用意させましたわ、これなら文句はありませんでしょう?」


 などとほざいてやがられます、そのドヤ顔を蹴り飛ばしてやろうかしら。

 ちなみにシェラさんは相手が本気でそう言っているらしい事を察したのか深く溜息を吐いている、心境お察ししますですよ。


 「?」


 想像と違う反応だったのか、縦ロールさんが嬉しくありませんの? と言いたげな顔で首を傾げているがそんなもん知ったこっちゃねーです。

 我とシェラさんは一度顔を見合わせ、そして同時に深い溜息を溢すのであった。


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