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53:我、お勉強継続中?


{魔術:

 大気中に存在するマナと身の内に宿る魔力を術式により融合、変化させる事で人為的に奇跡を行使する技術、知識体系。

  一定以上の魔力を身の内に溜め込む素養を持ち、魔術学に精通した者が為し得る現実を一時的に塗り替える幻想。}



{魔法:

 世界の法則を歪め、乱し、書き換える、奇跡を自在に操る御業。

  高位のシステムアクセス権限とシステムプログラムへの干渉権限を持つことでのみ行使可能な現実を侵食する幻想。}




 …せんせー、調べてみても意味がよく分かりません。


 「能力的、身体的に恵まれた者が必死に勉強をして、その末にようやく使えるようになるのが魔術。

  マスターのように脳みそお花畑でも使用許可を貰うだけで鼻歌混じりに魔術行使の結果を上回る力を使えるようになるのが魔法です」


 すっごい馬鹿にされてる気がするっ。


 「されてる、も何もマスターは馬鹿じゃないですか」


 異議ありっ!


 「却下します」


 なんでさっ!?


 「一つ一つ、懇切丁寧に解説付きでマスターの言動を紐解きながら根拠の説明をしましょうか?」


 ヤメテクダサイ、心が折れる予感がしまする。

 真顔で仰ったルカ的に考えて多分容赦なく我の心をへし折る暴言の嵐が襲ってくるのは間違いないと思われ。

 我、精神崩壊とか御免でござる。


 「おまえら仲いーのな」


 あ、落ち込み状態から立ち直ったっぽい。

 ちょっと破廉恥痴幼女さんや、おねーさんなら妹のことちゃんと躾けてくれてませんかねぇ?


 「いや、姉ったって会ったの今日が初めてだし?

  そもそも俺様が先に造られたからそう呼ばれてるだけで血縁って訳じゃねーし」


 なんか凄い代物っぽい説明を受けた割にとんだ役立たずですね、あなた。


 「シバき倒すぞちびもふ」


 ぼーりょくはんたいでござる。


 「さっきから俺様、散々言葉の暴力を叩き付けられてる訳だが?」


 キノセイデス。


 「よし、シバく」


 言うが早いか破廉恥痴幼女の姿が消え、次の瞬間には我の目の前に、そしてそのまま片手で掴まれ持ち上げられる。

 な、何をするだァーッ!

 ってゆーか今の、まさかして空間魔法!?


 「いんや、単なる高速移動」


 我の目に止まらないスピードで動いた割に風も衝撃も襲ってこない不具合?


 「そういう常識を無視するのが魔法であり魔術ですから」


 ルカさんや、説明ありがとうだけど助けてくだちぃ。

 なんだかよく分からないけどこの破廉恥痴幼女に掴まれてから転移ができないとです。


 「マスターの魔法による転移、という現象改変をお姉様が更に上書きして改変前の状況に戻しているようですが、普通できませんよそんな事。

  見た目と人格は兎角、お姉様の実力は本物のようですね」


 「…俺様褒められてんの? それとも貶されてんの?」


 「両方です?」


 間髪入れず返ってきた返答に破廉恥痴幼女ががっくりと項垂れる、ただし我を拘束した手はそのままに。

 ちくせう、落ち込むついでに手の力緩まれよぅ。

 必死にもがいたり手に噛み付いたりしてるけどまるでびくともしやしないし。

 放せー、我を解放すれーっ!


 「…従者の無礼は主人の咎だよな、ちびもふ?」


 唐突に投げかけられる、そんな言葉。

 嫌な予感に襲われながらおそるおそる目線をあげると据わった目でこちらを見つめる破廉恥痴幼女。

 …もしかして、八つ当たりデスカ?


 「八つ当たり? 正当な報復の間違いだろう?」


 ノー! ノーッ!! 人類みなブラザーですよっ!?


 「ちびもふはラビ、俺様はサポートユニット。 どっちも人類じゃねーからノーカンだな」


 ほわぁっ!?

 て、訂正っ! 生物みなブラザー!


 「じゃあ俺様もちびもふの姉って訳だな。

  姉が妹に躾をしたり、時には叱りつけるのは別に何もおかしい事じゃあねえよなぁ?」


 や、やめろぉ、ジョッカー!! ぶっとばすぞぉ~!?


 「できるもんならやってみ?」


 そう言いながら嗜虐的な笑みを浮かべた破廉恥痴幼女がもう片方の手を我へと伸ばし。


 「お姉様」


 そこでルカの声、止まる破廉恥痴幼女の手。

 ルカさん、我信じてました。 きっと我を助けてくれるって……。


 「程々にお願いしますね、傷や痣が残ると色々と面倒でしょうから」


 …ん?

 なんか、今、我の期待とまったく別の言葉が聞こえたような気ががが。

 うん、きっと気のせいだよね? ルカさん心優しいからきっと我を助けてくれるよね? ねっ?

 願いを籠めた我の眼差しに、ルカはにっこりと微笑み。


 「少しくらい痛い目に遭った方が後のマスターの為です、しっかり調きょ……躾されてくださいね?」


  神 は 死 ん だ 。

 どこからともなく 「いや、ふつーに生きてるから」 という突っ込みが脳内に響いた気がするけどそれどころじゃありませぬ。

 やめれ、破廉恥痴幼女。 我の身体はそんな方向に曲がらないから。 関節の稼動域そんなに広くないからっ!

 あかん、あかんですって。 そんなに曲げられたら……あ゜ーーーっ!??!!



 その後暫く、声無き我の悲鳴が謎空間に響き渡った。


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