表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/134

41:我、ついに書庫発見。

 新しい朝、後ろ首を摘ままれ持ち上げられて我起床。

 おあよーございまふ、と片前足を挙げてシェラさんに挨拶するとかかげた前足に人差し指タッチで応答してくれた。

 どうやら良い感じでシェラさんの好感を稼げているようですね、うんうん。

 さっきまで運動でもしていたのかうっすらと汗ばんだシェラさんと仲良くお風呂にどぼーん。

 朝から入浴とか贅沢し過ぎでちょっと反動が怖いけど先の未定より今の現実ですよね、あ~ごくらく。


 推定風魔術(ドライヤー)とブラッシングでさっぱりした我を肩に乗せ、シェラさんが向かった先は使用人用食堂。

 パン、スープ、野菜サラダにスクランブルエッグ&カリカリベーコン、それにミルクというなんとも豪勢な朝ごはんでした。

 ただしサラダはレタス、トマト、胡瓜に削りチーズとクルトンのトッピングで人参様は影も形もありませんでした、ぐすん。

 昨日ちみっこに貰ったクッキーはごっついさんのお陰でマーライオン、夕飯もコップのラビ子さん状態になった挙句食糧供給役のシェラさんを怒らせてしまった事で大幅減給。

 結果、お腹いっぱいになるまでにシェラさんがお替りを受け取りにカウンターへと赴いた回数は五回。

 最後の方は厨房にいたおばちゃん達もやってきて呆れ顔で我を眺めていたけど知ったこっちゃありません、うまうま。

 おばちゃんの内三人ほどが仔ラビ料理についてぼそぼそと話しているのが聞こえた気がしたけどきっと気のせいです、我みたいに掌サイズじゃ食べ応えないだろうしどうせ関係無い……よね?


 ちなみにおばちゃんズの後ろに我を追い回してくれたグリーンアフロのクリーチャーもいたけど我には気付かなかったご様子。

 またあれと追いかけっことか考えたくもないです、連鎖的に悪魔の果実(キャロットンガラ)まで思い出して欝になりそうだし。




 食後のひと時を過ごした後はシェラさんの頭に乗っかってお部屋へごー。

 …の、筈が髪の毛がさらさら過ぎて振動で少しずつずり落ちていって部屋についた頃には後頭部に張り付いてました。

 あと2~3分時間がかかってたら多分力尽きて落っこちてたねこれ、めっさ前足ぷるぷるしてるし。

 テーブルの上でぐで~と伸びる我にシェラさんが目線を合わせてくる。


 「流石にあなたを連れて仕事をする訳にはいきませんからお留守番です。

  昼時には戻ってきますのでおとなしくしておくように、いいですね?」


 人差し指をおでこに当ててきてうりうりしながらそんな事を仰いました。

 まぁ昨日部屋を抜け出した挙句ごっついさんのお世話になってたしね、信頼なんてないよね。

 右前足を持ち上げて敬礼のポーズ、いえすまむ。


 「…昨日から気になっていましたが、もしかしてあなたこちらの言葉を理解していませんか?」


 oh....、ヤッチマッター!?

 思わず身を硬くした我であったが……。


 「まぁ、探せば探しただけ新種が沸いて出るラビ種なら人の言葉を理解するくらい不思議でもなんでもありませんか」


 …へにゅ?


 冷や汗だ~らだらでうまく誤魔化す方法を必死で考えていた我にそんな言葉を投げ、シェラさんは何事もなかったかのように部屋を出て行く。

 扉の閉まるパタン、という音がやけに大きく室内に響いた。

 …とりあえず、せーふ?

 どうやらラビの謎生態のお陰で疑われる事もなくスルーされたっぽい、助かったけど釈然としませぬ。


 某国民的RPGのスライム枠らしいから種類が多いのは理解できなくはないんだけども。

 ルシェル曰くドラゴンより強いのとかゴーストとか妙なのも多々いるっぽいのよねぇ、ラビって。

 どこかにラビの研究してる人とかいて、その研究記録を見れないものかなぁ。

 もしくは次にルシェルのところに遊びに逝った時にラビの一覧表みたいなのを強請ってみようかしら?

  そんな益体も無い事を考えながらしばし待機。

 シェラさんが戻ってくる気配がないことを確認後窓の外へ視線を移し、てれぽーとっ!

 シェラさんとの約束? お昼の時点で部屋に戻れてればイーンダヨ?

 …そこ、フラグとか言うなし。




 芝生の上をぴょこぴょこ、途中窓から中を覗いて人がいないのを確認後、廊下目掛けててれぽーとっ!

 目指すは書庫、行くアテも辿るべき指標もな~んもないけど頑張って探すます。

 行き当たりばったりだけどきっとどうにかなる、筈っ。

 我ってば悪運にだけは恵まれてるっぽいし。

 最悪そこら辺の部屋に片っ端から忍び込んで本っぽいもの探して廊下にぽいしておけば見つけた誰かが戻しに行く……んじゃないかなぁ?

 駄目だったらもう総当たりで城中の部屋という部屋に押し入る覚悟でっ。

 …高確率で捕まってポイorコロコロされる未来しか見えないから最後の選択肢を実行せずに済むことを願うけども、切に。



 ぴょこぴょこ跳ねながら書庫っぽい扉を探すこと暫く。

 半開きで室内から声の聞こえる部屋を発見、とりあえず覗いてみませう。


 部屋の中には執事なおじ様とメイドさん。

 や~んな現場? ないない、おじ様は机で書き物してメイドさんはあれやこれやと紙や本を広げたり片付けたりしてまする。


 「フィリル、ミラ法国建国以前のあの地方の歴史文献も頼んでいませんでしたか?」


 「…え? あ。 す、すみません。

  すぐに取ってきますっ!」


 メイドさんが慌てた表情でぱたぱた走ってきたので慌ててエアジャンプ、鴨居に乗っかってやり過ごす。


 「廊下を走っては……聞こえていませんね」


 ぱたぱたと遠ざかる足音に嘆息するおじ様、メイドさんの教育おつかれさまです?

 て、ゆーかドア開けっ放しで出て行くとか見習いメイドさんかしら?

 ま、いいや。 大事なのはそんなことじゃないし。


 おじ様とメイドさんは紙だの本だのを広げてなにやらやっていた。

 で、今メイドさんは文献を取りに行くと言っていた。

 どこに?

 文献が収められている場所、普通なら書庫とかデスヨネ?

 ニヤリとひと笑い、メイドさんの後をエアジャンプで追いかける。

 いや~、やっぱり我持ってるわ。

 欲を言えば悪運じゃなくて幸運の方がいいけど、贅沢言って悪運すら尽きたら笑えないし自重自重。



 ぱたぱた走るメイドさんの後を物音を立てないようエアジャンプで追いかけること数分。

 意匠がこらされた重厚な扉の前でメイドさんが立ち止まって扉に手をあてぜーはーと荒い呼吸を繰り返している。

 そんな息切らすくらいなら走らなきゃいいのに。

 途中でベテランっぽいメイドさんや騎士っぽい人に目撃されてたし、顔まで見られてたらたぶん後で怒られるよ?

 ある程度呼吸が落ち着いたのかポケットからハンカチを取り出し汗を拭い、一つ深呼吸をしてメイドさんが扉に手をかける。

 我はエアジャンプを解除してメイドさんの足元やや後方に忍んでます、自力じゃ扉開けれないから一緒にお邪魔させて貰わないと置いてけぼりになっちゃうしね。

 かと言って宙を跳んで行って司書の人とかに見られたらマズいし、いるか知らないけど。


 「失礼します」


 ギィィ、と扉を開け一声かけながらメイドさん御入場。 続いて我も抜き足差し足忍び足。


 「おや、フィリル嬢ちゃん。

  もう資料を返しに来たのかね?」


 敷居を越えた瞬間に室内から声が聞こえて思わず立ち止まる。

 ぎぎぎ、と首を回すと胸元近くまで伸びた白いお髭のおじいちゃまが開いてるんだか閉じてるんだか分からない目でこちらを見ていた。

 どうやら我の事は認識していないっぽいので今のうちに視認距離にある本棚の陰目掛けててれぽーとっ。


 「い、いえ。

  頼まれていた文献をすっかり忘れちゃってて……」


 「相変わらずドジじゃのう。

  その立派なものに回す栄養をもっと脳に回すべきだったんじゃないか?」


 もじゃ~な眉毛が動き、好色の色を宿した瞳がメイドさんを射止める。

 正確にはメイドさんの胸部装甲を射止めているっぽい? メイドさんも気付いたのか自分の胸元をガードし、身を捻り視線をかわしつつジト目でおじいちゃまを睨んでいる。


 「う~、レグさんせくはらですっ。

  侍女長に言いつけますよ」


 「…土下座でもなんでもするんでそれは勘弁してくれんかの?」


 おじいちゃま、弱っ。

 いや、単純に侍女長(シェラさん)のヒエラルキーが高いのかな?

 っていかんいかん、あっちの会話に耳を傾けてる余裕なんてないんだった。

 早いとこ地図と使えそうな本をげっとして部屋に戻らないとシェラさんに怒られるです。

 ぎゃいのぎゃいのと言い合う二人の掛け合いに後ろ髪を引かれつつも書庫散策開始です。

 正直馬鹿みたいに広い上に本棚さん容量が八段もあるんで軽く心が折れそうだけどガンバリマス、我強い子だもん。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ